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盲導犬
LAST UPDATE 2003-08-07


 街や電車で時々出会う盲導犬。盲導犬に関わるテレビドラマなんかもありました。
 でも、盲導犬についてボクたちはどのくらい理解しているでしょうか?
 2002年3月6日、kurochanの勤務する高校の解放研で、日本ライトハウスの行動訓練所(盲導犬訓練部)を見学してきました。
 そこで盲導犬について色々とうかがったお話を、ちょっとまとめてみました。盲導犬についてある程度まとまった理解をする手助けになれば幸いです。

盲導犬ってどんな犬?

盲導犬の仕事

ちょっと一声

盲導犬への理解

 ◆こんなサイトもあるよ◆
パピーウォーカー

ユーザーとの生活

reject犬

訓練士になるには?

 ◆参考資料◆


■盲導犬ってどんな犬?
 目の不自由な人の「目」の代わりをして、一緒に歩いたり、危険を知らせたりして、出歩く手助けをする犬のことを盲導犬といいます。

 法的には道路交通法に「国家公安委員会により認定された施設において一定期間訓練を受けた犬が、視覚障害者と共にハーネスを付けて使用している犬」と規定されています。ハーネスとは、犬の肩に取り付けて使用者に犬の動きを伝える白いハンドルのことで、盲導犬にとっては「仕事中だ!」という意識をもたせるものでもあります。

 1938年、アメリカ人青年旅行者が日本に立ち寄った際、盲導犬を連れていたことから、日本でも盲導犬というものの存在が知られるようになったといわれ、戦後日本でも研究がすすめられて、1955年に日本で第1号の盲導犬が誕生したそうです。

 さて、盲導犬には、ラブラドールレトリーバー(上の黒い犬もラブラドールです)が多いようです。カナダのラブラドール地方産という意味で、元々水鳥ハンティングの狩猟犬で、泳ぎが上手いそうです。温厚で人なつっこく、人の役にたって褒めてもらうことに喜びを感じる犬と考えられ、しかも見た目が可愛く威圧感がないし、ハーネスを通じて人の動きを制御するのに適度な大きさであることから、盲導犬向きだとされているからだそうです。といっても、犬の性格は個々の犬で違い、約半数は盲導犬には向かないといいます。このことについては、「reject犬」のところでふれます。また、ゴールデンレトリーバーはラブラドールより少しおっとりしているけど、犬によっては盲導犬に向く場合もあるし、父がラブラドールで母がゴールデンといったかけ合わせた犬も、盲導犬として使われることがあるとのことでした。日本犬は一般に気が短いので盲導犬には向かないらしいです。

 現在日本には、目の不自由な人が約30万人いるといわれていますが、全国9カ所の訓練施設から約875頭の盲導犬が貸し出されているとのことでした。

■パピーウォーカー
 みなさんは、パピーウォーカーって言葉を知っていますか?盲導犬といっても、生後すぐから専門的な訓練をするわけではありません。どんな犬だって生後50〜60日ぐらいまでは、親犬の元で育てないと、精神的に不安定な犬になりがちだといわれますが、盲導犬もやはり、その頃は親犬の元で育てます。普通は、盲導犬の訓練所内で育てるようです。そして、専門的訓練を行うまでに、まだ次の段階があります。子犬たちは、いったん訓練所を離れて、ボランティアの家庭に預けられるんです。盲導犬の子犬を預かる家庭をパピーウォーカーといいます。

 生後2ヶ月ぐらいから、10〜15ヶ月ぐらいまで、パピーウォーカーの元で、いろいろな体験を積みますが、一番大切なことは、人に対する信頼感を持たせることだそうです。犬好きの家庭でワンちゃんは大切に育てられるというわけですが、情が移るのは当然で、訓練所に戻す時には別れを惜しむ人も多く、訓練所の職員の方も、何か悪者になったようで辛い思いをすると仰っていました。その辺も、テレビドラマにもなったりしましたので、よく分かる!という人もいると思います。

 パピーウォーカーは1年前後の間、そんな子犬を大切に育てるわけです。その間、専門的な訓練とまではいえませんが、やはり将来盲導犬として活躍できるように、注意すべき点があるとのことです。例えば、散歩させる時も、いつも決まったコースではなくて、できるだけいろいろな所へ連れて行くそうです。人間の社会や家庭でのいろいろな体験を積み、人との係わりや交通事情などを学ばせるためだといいます。また、ワンちゃんは散歩中にあちこちの匂いをかいで、トイレをしたりするものですが、それをさせないんだそうです。「歩く時には、歩くことに集中させる」必要があるので、気を散らないようにしつけるというわけです。そんな話を聞くと、さすがだなぁ〜、と思ってしまいますね。

■盲導犬の仕事
 例えば警察犬の場合は使用者は専門家です。しかし盲導犬の場合、たいていの使用者(ユーザーといいます)は犬の専門家ではありません。そけだけに、目の不自由なユーザーと生活をともにし、快適で安全な生活を提供できるようになるための訓練には、相当な時間がかかるようです。

 パピーウォーカーのもとから訓練所に戻ると、人に対する信頼感と、盲導犬としての基礎的な素養を身につけたかどうかを、まずチェックするそうです。攻撃的だったり威嚇的だったりする犬は不適格です。花火・雷・シャッターの開閉音などを怖がる犬もダメとのことでした。コンサートで最初の音を聞いた時でも、そんなに驚かないぐらいがいいといいますから、相当なものですね。そんな厳しいチェックですから、半数以上の犬は不適格とされてしまうようです。不適格とされた犬については「reject犬」のところでふれます。

 さて、チェックをパスした犬は、いよいよ専門的な訓練を受けます。盲導犬の仕事は、まず外出時のユーザーの安全確保です。そのための訓練が徹底的に行われるようですが、具体的に言うと、@まっすぐ道路の左端を歩く、A障害物を避ける、B段差の手前または一段目で止まる、C交差点で止まる、D入り口を見つける、ということだそうです。実際にはかなり細かい動作を身につける必要があるようで、特に交差点での微妙な動作をいろいろと説明していただきました。曲がり角があることを伝える時には、少し向きを変えて止まったり、車の音で信号機の色を判断し、青信号でも横断中に赤になるかもしれないから一回やり過ごすことまで訓練するとは大変驚きました。

 また、駅のホームでの危険についても、いろいろと説明してもらいました。盲導犬は常に左側を歩くので、ユーザーが左側に落ちることはありません。しかし、右手に杖を持っていないので右側に余裕があると思い込んでしまい、右端の点字ブロックを左端のものと勘違いして、ホームから落ちやすかったりするそうです。また、2本の線路を両側から挟む形のホームでは、向かいのホームに来た電車を手前のホームに来たと勘違いして線路に落ちたりすることがあるなど、視覚障害者にとって駅は相当危険な場所のようです。駅などで視覚障害者を見かけた時など、盲導犬を連れておられても、「右端を歩いていますよ」とか「向かいのホームに電車が来ましたよ」などと声をかけたいものです。

 そんなわけで訓練所では、盲導犬に、外出時の安全確保のための動作を徹底的に訓練するとのことでした。

■ユーザーとの生活

■ちょっと一声

■reject犬
 「reject=不良品」

■盲導犬への理解

■訓練士になるには?


こんなサイトもあるよ
もうどうけんKEIRU

参考資料


【メモ】
@盲導犬を視覚障害者に貸し出す主体組織は?・・・・各種盲導犬訓練施設[組織]
A盲導犬の世界史は?・・・・1916年ドイツに戦傷盲人援助を目的とした盲導犬学校が開設されたのが始まり。