麓まで自転車で乗り付け、登山道を駆け上がり山頂から自分の住む団地を見下ろす。すぐそこに播磨灘、その向こうには四国が霞んで見える。何だか風光明媚なようだが、現実は雑多な住宅街と工場の煙突が目に付くありきたりな風景だ。しかし私はここから見る風景が好きだった。バイパスを走る車の音、時々通り過ぎる新幹線の帯、よく目を凝らせば海に浮かぶ船、色々なものが一度に私の脳を優しく刺激した。全てが少し遠くから、優しく私の元に届く。そんな空間がとても心地良かった。





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