韓国覗き見の旅路



KAZ 2010年3月11〜13日





 ひょんなことから韓国への旅が出来ることとなり、行ってきました韓国へ。
団体旅行なので行動に制約があり、車窓見学が中心になりましたが、なかなかどうして色々と見所がありました。
覗き見た隣国を、拙い写真と併せてご紹介。


ソウルのりもの散歩 バス編

 ソウル駅からわざわざバスで南大門へ向かわされた道中、車窓にはいきなりBRTの走行路・停留所が。
まずはバスから「見たまま情報」をば。

BRT(Bus Rapid Transit)

 ソウルのバスと言えば、BRTの本格導入が大きな特徴のひとつでしょうか。とも様のサイト●に詳しいご紹介があり詳細はそちらをご覧頂くとして、こちらは写真&見たままの感想をば。

 停留所施設は結構立派、走行路も専用部分はポールで仕切られており、かなりしっかりした印象です。停留所付近の他はカラー舗装の走行路で、総合的な形態としては名古屋市の基幹バス2号線●と同様でしょうか。しかし新しいだけに、こちらの方がデザインは進んだ印象です。

  

 夜には昌慶宮路の路線に、明倫3街(成大入口)停留所から乗ってみました。こちらは都心から少し離れた文教地区といったところですが、大学があるため夜遅くまで若者で賑わうキャンパスタウンです。
 バスはその若者の足として、遅くまで走っています。私が訪れた時は既に日付を過ぎた深夜でしたが、バスは数分毎にやって来ます。


明倫3街停留所

道路中央のバス走行路

バスは結構な速度でやって来ます

停留所も道路中央に

上屋・風防壁も設置

出発案内機も整備

バスは行き先別に停車位置を変えています

専用走行路

 ハードの面では、なかなか立派な設備です。日本人としては時刻表の掲示がないことが気になりますが、他のバス停でも同様なので、韓国では標準的なスタイルの様子。
 聞くところによると、ソウルのバスに関しては時刻表(ダイヤ)を基にした運行ではなく、運転間隔を基にした運行管理となっているようです。GPSを利用した車両位置測定を行い、バスの運行をセンターで集中管理。運転間隔が適正となるよう適宜運行指示を出し調整していくスタイルだそうです。よって、バス停には各系統ごとに運行間隔目安(朝・日中・夕方)のみ掲示され、時刻表はありません。
 実際に利用してみると、確かに時刻表など不要かも知れません。日付を越えた深夜にも係わらず、主要系統は10分と待たず次々とやって来ます。運行間隔の管理や接近案内がきっちりしていれば、それで実用には全く支障はありません。発着系統の経路図は掲示されています●から、どの停留所を経由するか明確。日本式より便利かも知れません。

ソウルのバスシステムについて

2004年に実施されたソウル都市圏の公共交通網再編に基づき、バスを路線の性格毎に分類し整理しています。

車体色 輸送形態 系統番号 基本運賃(T money使用時)
広域バス 青系ツートン 拠点間速達型(定員制) M+3桁 1,700won(均一制)
拠点間速達型(自由乗車) 数字のみ4桁 1,700won(均一制)
一般バス 都市内幹線系統 数字のみ3桁 900won(距離により上乗せ有)
都市内支線系統 数字のみ4桁 900won(距離により上乗せ有)
マウルバス (小型車) 市街地内短距離 地域名+2桁 600won(均一制)
循環バス 都市内循環系統 数字のみ2桁 700won(均一制)
乗継ぎ利用
(T money利用時適用)
地下鉄を含め5回まで無料(乗継ぎは30分(夜間−早朝は60分)以内)
地下鉄−バス乗り継ぎも同様に距離で通算(地下鉄は青・緑バスと同一運賃)
マウルバス・循環バスからの乗り継ぎは差額精算要
(広域バスは乗継ぎ対象外)
現金での利用 乗り切り制(乗継割引・通し計算の適用なし)
一般運賃は100won増
学生運賃の適用なし(大人運賃)

※系統番号の附番ルールやBMS制度の詳細については下記サイトをご参照ください
  とも様のサイト●
  運輸政策研究機構●

 この分類に関しては、広域バスに通称Mバスと呼ばれる定員制のサービスが生まれたり、マウルバスに一般支線用の緑バスが用いられたりと、だんだん崩れてきているようですが、基本的なルールは維持されており、文字の判読が難しくとも車体色で運行形態が見分けられるのは便利です。系統番号も車体に直接書かれているので、運行効率はともかく視認性も良く、利用する側には便利なものです。

 またマウルバス・循環バスの設定については、日本のコミュニティバスに近いものですが基本的な運賃制度はソウル市の公共交通システムに内包されたもので、乗り継ぎの際の通し運賃計算や路線の設定など、狭域でのサービスながらソウル市(都市圏)全体のネットワークに組み込まれたものであることが特徴でしょうか。

 運行管理についても、前述のようにBMS(Bus Management System)によりGPSを用いた集中管理で運行間隔調整を行う形になっており、日本のようなダイヤ運行ではないため時間調整の必要もなく、早く走れる時は一気に走りぬけます。後続バスには管理センターからの指示で先行車との運行間隔が調整されますから、ダイヤレスながらも利用者には混乱を与えないシステムになっています。

バス停&速度抑制用のハンプ
 ソウルに関しては、高速道路でのバス専用レーン実施(2008年10月から)など、上記以外にも様々な取り組みが行われているようで、バスの有効活用に関しては、かなり積極的に取り組んでいます。

 実施されている諸事例は、他国での事例に倣ったものが多いことは事実ですが、それらをアレンジして総合的な管理、運賃の統合、システマティックな運用を行うことにより、より高度なサービスになっています。実際に使う場面で便利なシステムを構築してこそ「使える」都市交通になるのですから、ソウル市及び韓国の取り組みは、素晴らしいものと言えるでしょう。この思想をきっちり引き継ぎ、管理が継続されることを願います(既に一部では路線区分が曖昧になってきているようですので…)

 まずはバスをご紹介しましたが、もちろん地下鉄にも乗っております。
  

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