TOPIC 1
講演会(座談会)




#1 「住まい環境フォーラム」
建築主座談会 より




















この「住まい環境フォーラム」とは毎日新聞大阪本社の後援を得て、 
私を含む6名の建築家が住まいの専門コーディネーターを事務局とし 
て、一般の方々(主に毎日新聞の読者)に向けて、年6回のセミナー 
や見学会などを行い、建築主と一緒に「住まいづくり」を考えていこ 
うという会で、今年で8年目に入っています。           

今回のお話は、2001年5月19日(土)に行われた       

         「第43回『住まい環境フォーラム』 “建築主との座談会”」

において、                           

「挟間が丘の家」 が取り上げられたときのものです。        
記事は事務局長の佐藤善秀氏がまとめています。          





第43回「住まい環境フォーラム」例会報告 より

テーマ:
建てた会員さんに聞く

「建築家と家をつくる」ということ






■はじめに


  何年か前にも新築された会員様何組かの方に御登場いただき、
  お話を聞く場がありました。今年度は、一度に一組、年間何組
  かのすでに新築された方に御登場いただき、「建築家と家をつ
  くるということ」はどういうことだったのか、これから新築、
  増改築などを考えていらっしゃる会員様に、より具体的に参考
  になる場を提供させていただくことになりました。

  そこで、本年度第一回は「住まい環境フォーラム」スタート時
  からの会員さんで2年前に新築された本田様御夫妻にご出席い
  ただき、お話をお伺いいたしました。

  当日の司会、進行役は事務局の佐藤が務め、まず設計・監理を
  された小南さんから本田邸の概要説明があった後、本田様御夫
  妻に経緯等について質問をしながら途中、他の会員の方、又、
  建築家メンバーからも質問していただく、と言う形式で行いま
  した。

  当日の内容の一部を御紹介させていただきます。


  
  当日会場風景


  当日は出席された会員の方は少なかったのですが、出席された
  方からは「いやぁー本当によかった」「私達が気になっていた
  ことが具体的に聞けた」等の評価をいただきました。又この日
  初めて参加された方は、帰りに、「こんな会があるとは知らな
  かった。会員になって是非勉強させていただきます」と早速入
  会されました。

  (事務局長 佐藤善秀)


■いつ頃から家づくりを考えておられたのですか?

  本田:

  家を建てる、というのは10年くらい前から漠然と考え
  ていましたね。実際には建てられるかどうかわからない
  けれど、積み立てみたいなものはしていましたね。それ
  と趣味的な感じで色々な土地を見て歩きました。





■フォーラムにはどういうきっかけで入られましたか?

  本田:

  土地を購入後、家を建てるときに色々(住宅)メーカー
  の展示場をまわったのですが、価格設定は、ちょっと安
  いのですが、自分の望むものを色々と付け足していくと、
  そこそこの坪単価になるのと、工法が自分の思っている
  のより安易な作り方かな、と言う感じがありましたね。
  そう考えていた時にこの会を知って、参加してみようか
  と思いました。3年間で建てないといけない、との条件
  がありましたので、とにかく1年間はここ(フォーラム)
  で勉強させてもらおうと思いました。








■フォーラムに入ってみてどうでしたか?

  本田:

 (フォーラムについて)何もわからずに来ましたから、
  あんまり期待感はありませんでした。実際にどこまで
  確実な話が出来るのか?、建築家ってどんな方か?、
  どこまでやってくれるのか?、
  とか・・・それと、肌で感じてみたかったから事務所
  訪問を利用しました。それが一番役に立ちましたね。
  建てられた作品が見られましたし。イメージと言うも
  のがありますから。やっぱり、皆さん全然違います。
  色々個性があります。






■小南さんに決めた理由は?

  本田:

 (設計された)作品ですね。RCをイメージした作品
  が多かった。僕の思っているものと近いから、言葉
  では難しいけど、結構、作品がデザイン的にすっき
  りしていた。あと、年齢も一緒なんで、結構気楽に
  出来るかなと・・・




■設計に当たって、どんな注文をしましたか?

  本田:

  口では、具体的に言ってもわからない、と思い、僕
  は雑誌の切り抜きを山ほど持っていきました。あと、
  あまり部屋割りをしたくない、広く開放感のあると
  か、庭を広く欲しいとか。(雑誌の)切り抜きを出
  したのは、決して強要しているわけではなく、僕の
  想っている“匂い”を伝えたい。僕が伝えられるの
  は、それ位なので・・・






■小南さん、雑誌の切り抜きを見てどうでしたか?

  小南:

 (分量が)かなり分厚くて・・・ただ、熱心にされて
  いるのが伝わってきました。でも、バラバラ。水廻
  りはこんな格好、リビングは・・・出てくるものが
  全部違いましたね。でも、(何を)求めているかが
  わかりました。「枕木を使えませんか」と言う提案
  から素材感がわかりますし、資料(雑誌の切り抜き)
  から、こういう水廻り、サニタリー廻り等のイメー
  ジをつかめました。とにかく、バラバラでもいいん
  です。





■他の建築家メンバーの方にお聞きします。
 どんな風に注文したらいいのでしょう?


  古和:

  私はそういうものをもらうのは嫌いでしたけど、昔
  よく押しつけられて、若い頃、お施主さんと喧嘩を
  したことがあります。最近はそういうものは貰うこ
  とになりましたけど、たまにあります。結論から言
  うと、やっぱり写真でも見ないと、よその家ですか
  ら。本当は言葉で語ってもらえたらありがたいです
  が、言葉でうまく語れなければ、やっぱり写真も必
  要かな、と言う風には思いますね。だから、どうい
  う方法でもいいけれど、建て主としての1つの手段
  として、何かを語って下さればいいんですよ。


  長尾:

  まぁ、設計の時から、写真とか(雑誌の)切り抜き
  がちょこちょこ出てきます。来月竣工する住宅があ
  りますが、まだ、(写真などが)出てきてますね。
  ドア一枚でもこだわっていて・・・だけど、否定は
  出来ないです。気持ちというか・・・どうしてもお
  施主さんの気持ちとか、肌とか、イメージを外れた
  ものは絶対に出来ないですから。
 「(お施主さんに)気に入っていただけるか?」「手
  掛ける私達がどれだけ施主の気持ちを、どう突き詰
  めて形にしていくか?」ということなんです。






■見取り図なんかを書いてくる人もいますしね

  萬川:

 (お施主さんが)図面を書いてきても、大抵便所が抜
  けていたり、2階への階段がずれていたり、抜けて
  いたりするんです。もちろんプロがやるわけではな
  いですから、仕方ありません。とりあえず、思い立
  った時にメモでも何でもいいですから「(例えば)
  キッチンに立った時、何が見えたらいいか。何が聞
  こえたらいいか。」住まいで朝昼晩の設定をして、

 「朝は何が見えて、誰かの声が聞こえる。」
 「鳥の鳴き声が聞こえる部屋が欲しい。」
 「朝起きた時、陽が射している寝室だったら嬉しい。」

  そういう風に箇条書きにしてもらうようにしていま
  す。もし、(お施主さんが)プランを作るのなら、
  よそに行った方がいいでしょうね。「大工さんに行
  った方がいいでしょう。」という話になってしまい
  ます。


  古和:

  先程、本田さんが写真をお見せするのに、その“匂
  い”とおっしゃった。あれは非常にいいですね。つ
  まり、その“匂い”を伝えたらいいんです。他のこ
  とを伝える必要はないんです。そのための手段が(
  本田さんにとっては)写真だった。と言うだけで、
  それが言葉であっても図面であっても構わないと思
  います。ただ、図面で問題があるのは、まず私が20
  代で独立前で、前の事務所で計画の主任をしている
  時に、その頃は図面を持ってくると、見てる前でヒ
  ュッと丸めて、ゴミ箱に入れていたんです。まぁ、
  色々と喧嘩していたんです。
  それ以降、「無理だな。言葉で喋ろうにも出来ない
  んだな。」と言うのがわかって、言葉の代わりとし
  て図面を受け取って、と言うようになってから、お
  施主さんの描いた図面の意味を読み取って、自分で
  ひくと言うようになりました。

  そうすると非常にスムーズに行く(笑)。

  ですが、その方法だと一つ難点がある。
  やはり、可能性が少なくなる。だからあんまり図面
  はお描きにならない方が、もっと広い可能性があっ
  たのに、と思います。















■まとめ

  佐藤:

  建築家にどう依頼すればいいのか、大切な点だと思
  いますので、整理してみますと、色々と皆様のため
  に確認しておきたかったのは、その計画段階で

 (これが非常に重要な、一番キーになると思いますので)

   ・その建築家とどう付き合うのか?
   ・どういう形で依頼した方が一番いいのか?

  を知っていただきたかったのです。

  「なるべく具体的なプラン等を
           出さない方が得をする」と。

  言い方は別として、出来たら自分の生活の“匂い”と
  か、先程、萬川さんが言われた「星が見える」とか
 「陽が射してくる」とか、そういう“抽象的な”事を言
  った方がいい。

  「それを具体化する(考える)のが、
            あんた(建築家)の仕事や」


  と言う風にした方が得をすると言うことですね。

  素人がプランを考えるよりは、百戦錬磨で毎日毎日、
  何十何百と考えている人の方が遙かにいいものを考
  えられるのは当たり前です。自分でプランを出した
  ら、その人達(建築家)の能力の何分の一しか使わ
  ないことになる、つまり、損をするから、プランは
  出さない方がいい。

 「“匂い”だけかいでもらって、言いたいことだけ言って、
      抽象的な言葉だけ言って、あとは考えてもらう。」

  と言うのがよいようですね。













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 注:
 (掲載誌)紙面の都合で計画までになってしまいました。
 後は、工務店の選び方、業者との対応の仕方、予算の話、住まわれての感想など、
 様々な角度からお話を伺いました。

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