Essay#9-1

中国福建省「客家土楼」を訪ねて
第0回 はじめに



■はじめに


 こ数年、地球環境問題が大きくクローズアップされてきました。熱帯雨林

伐採をはじめとする環境破壊。CO2排出による地球温暖化。資源枯渇と石油代替

エネルギーの問題。ダイオキシンに代表される廃棄物処理問題。生物遺伝子にも

悪影響を与える地球化学物質の増加問題等々・・・数えればキリがない様相を呈

しています。


 18世紀末の産業革命以降、驚異的なスピードで進展してきた科学技術文明は、

様々な形で、私達の暮らしを豊かにしてきましたが、同時に、高々この200年

で地球環境の自然循環サイクルにも影響を与えるまでになりました。これから私

達の暮らしを守るためには、大きな意識の変革と産業の在り方、科学技術の方向

性を変えていく必要があります。住まいづくりをはじめとする『建築を創る』と

いう行為にも、日々の暮らしのライフスタイルにも変化が求められています。




三方山に囲われた風水の地


 このような状況下、1998年4月科学技術文明とは一定の距離を置きながら、

昔ながらの自然な生活様式を守り、慎ましく生きる「客家の人々」(中国南部の

少数民族:漢族の一系統)の暮らしと建築を学ぶ旅に出ました。既にTV等で「

土楼(とうろう)」という特異な集合住宅に住み、自然な生活を営む民族として

紹介され、ご存じの方も多いと思いますが、これから、その実践取材の内容を

エッセイとして連載していきたいと思います。



 *(書き下ろし)





次へ



BACK