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人々が去った廃屋を眺めながら 飲むビールがほろ苦い |
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「此処」は東京から西へおおよそ800Km、列島背骨の麓にひっそりと溶け込んだ山間の場所。
県内三大河川の一つの上流に位置するこの場所で、今ダムが完成しようとしている。近くに鉄道は無くおよそ20Km離れたT市から国道を北上して山脈を越し日本海側に抜ける途中にある。
ここから更に10Km程登ると、藤原審爾原作の小説映画化の舞台となった温泉郷がある。作者が「澄んだ水底のよう」と表したこの温泉郷もダム建設
を契機に大きく変貌を遂げた。 さて、此処は何処でしょう? |
ダムの建設は、辺りの様子をすっかり変える。山腹を削り山を突き抜けて道路が作られ、幾代にもわたって長い年月を経て培われてきた里が消える。 春になればそこかしこで山桜が一杯に花を咲かせるが、これを愛でて木の下で宴を張る人々は皆去り、菜の花が咲き乱れる田や畑もやがて湖底に沈む。 昭和32年に計画が発表され平成11年に工事が開始されるまでの長い年月にわたって建設阻止闘争を闘ってきた人達は、何処に去り如何に暮らして いるのだろうか?川畔の木立に羽根を休める白鷺が一羽じっとして動かない。 「左図の場所判った方は連絡下さい」 |
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