「此処」は東京からおおよそ830Km離れた人口８2万の地方都市M市のはずれにある標高311ｍの 小高い山で、山頂からの眺望がすばらしい。眼下には海がせまり、山裾を猫の額ほどの狭い平地が湾曲して南側にはりつき、そこを国道と鉄道が通る。海は何時の季節も穏やかで荒れることはない。 大小の島が幾重にも連なり、その間をぬって通い船が行き来する。春になると山頂一帯を桜が飾り花見客で賑わい、晩秋には海面を覆い隠す程の霧が湧きたって、まるで雲海を思 わせる景観となり写真愛好者にとっては見逃せない撮影スポットとなる。
さて、此処は何処でしょう？

妻が作った少々大きめの握り飯３個を海苔で包み、鶏の唐揚、卵焼きにタクワンを４切れ添えてザックに入れ 出かける。街中を出てしばらく歩くと、やがて急な山道にかかり、老脚を叱咤激励しながらただひたすらに登る。中腹に設けられた休憩所で眼下にM市の街並を一望しながら一休みする。寒いこの 時期に行き逢う人もなく、麓から聞こえてくる街の喧騒を聞きながら一人のんびりとポットから熱い茶を注ぐ。癒えた脚を励ましながら再び頂を目指し、誰も居ない山頂の展望台に辿り着くと、 360度のパノラマが開ける。しばらく眼下に連なる島並を眺めて疲れを癒し、やおらザックを開けて握り飯を頬張る。冬の陽射しは強く、一気に読むビールが美味い。

「左図の場所判った方は連絡下さい」