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  ビールの容器には「瓶」と「缶」の2種類あることは皆さん既にご承知のことと思います。 近年缶ビールでの出荷比率はどんどん増え、今や瓶を追い越す勢いであります。「缶ビールはどうもネ。やっぱ瓶でないと・・・・」と言ってられる時代は 過去のこととなりつつあります。今では「やっぱ瓶でないと・・・・」は気取ったレストラン、料亭あるいは夜の蝶舞う「社交場」くらいでしょうか? 家庭の冷蔵庫には、最早「瓶」の居場所はありません。
巷にあふれる自販機でも「ゴットン!」と瓶が出てくるのは殆ど 見られません。 重いケースを担いだ威勢のいいお兄さんが、勝手口から「ちわー!三河屋でござい!」とビールを配達してくれる時代は再び来ないのであります。 業界では「缶」が「瓶」にとって代わる割合を「缶化率」といいますが、わが国での「缶化率」は今や60〜70%に達しているのであります。 米国ではゆうに90%には達しておりますようで、むしろ「瓶ビール」は希少な存在となっております。 アメリカ、中国、ドイツ、ブラジルに次いで 世界第5番目のビール生産国であるわが国「缶ビール」、はいったい何時頃から出始めたのかご存知でしょうか?そして、「缶」はいったいどのように して作られているのでしょうか? このあたりを多少とも「缶」の製造設備に関った者の僅少なる知識をもとに少々お話してみようと思います。 「ビール缶」に感心を寄せられている方々のご参考になれば幸いであります。
なを、最近になって「缶」の様子もいろいろと様変わりしてきました。ラミネート缶ボトル缶の出現であります。
ラミネート缶は、缶体にポリエステルフィルムを貼り付け(ラミネート)た缶の呼び名です。 皆さんが手にされる缶の中で、特に炭酸飲料缶あるいはコーヒー缶等によく見かけられる「底が白い缶」がその一つですが、これがTULC缶(Toyo Ultimate Can) と呼ばれ東洋製罐によって開発された新種缶であります。
TULC缶は成型する前の原材料である鋼板にPETフィルムがラミネートされており、 成型加工の際にフィルムが潤滑剤の役目を果たしますので、従来の2ピース缶のように成型に際して潤滑材(クーラント)を使用する必要がなく「洗浄工程」が不要と なるばかりか、塗装の必要もないことになり製造工程が極端に短縮され産業廃棄物、CO2の大気排出が大幅に低減され地球に優し い缶」のキャッチフレーズで今日の市場を大きく占めるものとなりました。 TULC缶は、従来通りの方法でフイルム上に印刷され ます。
一方成型された缶胴に印刷済みのPETフィルムをラミネートした「2ピースグラビアラミネート缶」(大和製缶の開発)があります。従来の2ピース缶はオフセット印刷 により外面印刷されますが、この缶の場合はグラビア印刷によりフイルムに印刷されますので美粧性の高い缶ができるメリットがあります。
ボトル缶は、その名のとおりボトル(瓶)の形をしており、従来瓶に使用されているキャップで 蓋された缶です。一度開けた缶に再び蓋ができるメリットで、ここ2〜3年のうちに随分と市場に出回ってきました。缶胴と缶底が一体となった2ピース型と、缶底が別となっ た3ピース型とがあります。
    ■缶の履歴書 ■缶の誕生