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「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・」



「あーっ! このワルガキ、またつばさちゃんを泣かしてぇ!」



「ボ、ボクのせーじゃないよ、ママッ。コイツすぐ泣くんだもん!」



「うぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」



「それを泣かさないのが男の子でしょ!?

もーっ、ゴメンナサイね、つばさちゃん」



「ンみぃ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・」



「ほら、つばさ。こっちにいらっしゃい」



「ままぁ〜・・・・」



「っとに悪い子ねえっ。いつもいつもいっっっっつも、迷惑かけて・・・・

 はいっ、ちゃんと謝る!」



「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・」





 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・。




 ・・・・・・・・。







プロローグ

みたいな

エピローグ

1








「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 目を開くと、斜めから差し込む陽光。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふあ〜」


 昨日いそがしかったわりに、すっきりした目覚めだ。


「ん〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・」


 伸びをしながらカーテンを開ける。

 向かいの家の庭に、ちらちらと白いものが見えた。

 日陰の、しかも風の通り道にあるせいで、咲くのが遅いマグノリア(山蘭)

 花弁を見る限り、今日は風が穏やかみたいだ。

 天気も悪くない。

 雲の多さがちょっと気になる程度。


 暑くもなく、寒くもなく。


 絶好の入学式日和。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



 コンコン。


「お兄ちゃ〜ん」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 夢でも現実でも、最初に聞くのはコイツの声か・・・・・・


 がちゃっ。


 ドアが開けられた。


「お兄ちゃ〜ん、朝ゴハンできたよ〜っ」


「わかった。今行く」


「・・・・・ふえ? お兄ちゃん、起きてた?」


「ついさっきな。おはよ、つばさ」


「うん! おっはよー♪」


 今日もつばさは元気一杯だ。


「お兄ちゃん。ご飯とお味噌汁、よそっていい?」


「ああ。着替えてすぐ行く」


「は〜い♪」


 とたとたとた・・・・


 軽い足音が遠ざかっていく。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 今日は入学式。


 俺とつばさの入学式だ。


 今日から俺は高等部、つばさは中等部に通う。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行くか」







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




 高等部に入学する朝・・・・・・




 夢を、見た。




 つばさと、俺と・・・・・・・・・・・・の夢。




 懐かしくて−




 胸の痛む、夢だった。









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