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ついんLEAVES

第七回 承前








      はらはらり。



はらはらり。



はらはらり。     




 七色の淡彩で滲んだ夢の世界。



 無数の枯葉が、俺をかすめて舞い落ちる。



 決して触れることなく。



 積もることもなく。



 どこかへと。






『・・・・・・・・・・ま』



 心に直接ひびく囁き。



『・・・・・・・・・んさま』



 振り返る。



 誰もいない。



『ごしゅじんさま・・・・・・・・・』



 すとっ。



 落ちていく。



 黄ばんだ木の葉をかすめながら。



 どこまでも。







 もうすぐ目が覚めるのだろう。



 世界がどんどん暗くなっていく。



 すべてが漆黒に呑まれる。




 その寸前、聞こえた。



 透き通っていて、悲しそうな声。



 その言葉を。










『おわかれに・・・・・・・・・・・・ござります』
















「ッ!!!」


 はっと目が醒めた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 先ず目に入ったのは、いつもの天井。


 寝てるのは、いつものベッド。


 体に感じる掛け布団の重みも、いつも通り。


 俺の部屋だ。


「ごしゅじんさま。お目覚めにござりましょうや?」


 枕元で囁かれる優しげな声音(こわね)も、いつも通り。


「おはやうおはします、ごしゅじんさま」


 夢か・・・・・


「ン、おはよ・・・・・・・・・・・」


 顔をこすりながら身を起こした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」


 いつもの「本日もごきげんうるはしう」が、ない。


 俺は寝惚け眼を傍らに向けた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 そこにいたのは、少しもご機嫌うるわしく見えないメイド服。


 綺麗な、けれど人形さながらの情緒に欠けた貌(かお)


 暗く沈んだ瞳。


 紅い唇は横一文字に結ばれている。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・さくら・・・・・・まる・・・・・?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 シャツに染みた寝汗が、俺の背筋をすぅっと冷やしていった。









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