Top | 書庫 | ついんLEAVES 目次 |
前ページ | 最上段 | 次ページ |
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「すか〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すぴ〜」
「く〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「この・・・・
変態イロボケ野郎〜〜〜〜ッ!!」
どぐっっっ!!!!
「んぐぁぁぁぁ!!!」
「何さくらまるに抱きついてんの!?
さっさと起きなさーい!!」
げしっげしっげしっ!
「イテテテテテ! 痛い! いてえって!」
「痛くしてんのよ、ドスケベ日枝!
さくらまるから離れろーっ!」
「わかった! わかったからヤメ〜ッ!」
「ハァ・・・・・ハァ・・・・・・・・」
「ふぅ・・・・・・ヒィ・・・・・・・」
言うまでもないけど、未だかつてない最悪の目覚めだった。
時計を見ると、7時過ぎ。
「勘弁しろよ・・・・・まだ2時間しか寝てねーのに」
「もう一発蹴られたい・・・・?」
「わーっ、わかったわかった! 起きるからっ」
「最初から素直にそうすればいいのよ」
ちぇっ。
全身をむしばむ鈍痛に苛(さいな)まれながら、体を起こす。
目の前のさくらまるが鼻を鳴らした。
「お?」
・・・・・・・・・どうしてさくらまるが横に・・・・・って、ハダカぁ☆ !?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ−」
そういや、葉っぱを齧られて服がなくなったとか言ってたっけ。
さくらまるったら、ただでさえ刺激的な服が寝乱れて、ミルクのように白い肌がほとんどむき出し。
顔を見ると、紅い唇がほころんで、とろけそうな笑みを浮べている。
俺はこいつとくっついてたわけで・・・・・・・・・・・
もしかして、すっげー幸せな寝方してた?
ビキキッ!
「ヒッ!?」
殺気が走り抜けた。
飛ぶ鳥も落としそうな、ハンパじゃなく強烈な殺気が。
恐る恐る顔を上げると・・・・
修羅。
つまり、修羅の形相をしたフー子。
えーと・・・・・・・天国(さくらまる)と地獄(フー子)ってヤツですか?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よ、よう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あのー・・・・・・・・・・・フー子さん・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「血管が浮き出るほど拳を固めないで欲しいんですけど・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ムチャクチャ怖い。
なんか、ダイイングメッセージを残したい雰囲気。
ちょうどその時、ソファーで寝てたつばさがむくりと起き上がった。
「ふあ〜・・・・☆
お兄ちゃんと・・・・・・・・・フーちゃん?」
「あ、つばさ起きたか・・・・・・」
「おはよ〜、お兄ちゃん♪」
「・・・・・・おはよ、つばさ」
「オッハヨー。どしたの? フーちゃん」
「いつもより早く起きちゃったから、つばさとガッコ行こうと思ったの」
「そ〜なんだ」
「ええ」
つばさのおかげか、フー子の殺気が静まっていく。
た、助かった〜っ。
つばさが救いの女神に思える。
そのちんちくりんの女神様、手の甲で顔を擦って、ん〜〜っと伸びをする。
そこはかとなく猫チック。
「んみぃ〜っ。あやや・・・・・さくらちゃんも居るの?」
「あぁ。もう治ったみたいだぞ」
「ホント!? あ、さくらちゃん笑ってる。
よかったぁ〜〜〜〜♪」
寝癖のついた髪をゆらして、つばさがほわ〜んと笑った。
「ちょっと、つばさ」
「なぁに? フーちゃん」
事情を知らずカヤの外のフー子が、眉をひそめている。
「さくらまるに何かあったの?」
「あったあった! 大変だったんだよ〜っ」
毛布を押しのけ、つばさが身を乗り出した。
「お兄ちゃんがさくらちゃんをベッドに運んで、夜にさくらちゃんが初めてで困ってすんごく痛そうで、お兄ちゃんがご飯も食べないで頑張って、でも今のさくらちゃん幸せそうだからよかったな〜って?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どしたの?」
「どうしたっても・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ぜんぜん意味わかんねーぞ、つばさ。
つかお前、実はまだ起きてないだろ。
「とりあえず顔を洗って来い」
「そうね・・・・・」
フー子も同感らしい。
詳しい話は後にしたほうが良さそうだ。
「ほわぁ〜・・・・」
ちょっと怪しい足取りのつばさが、洗面所に消える。
俺も顔を洗お・・・・って、昨日オレ風呂に入ってないじゃん。
シャワーで汗くらい流すか・・・・・
さくらまるから視線をそらしながら立ち上がった(じろじろ見てたら、またフー子にツッコまれそうだ)。
「ちょい待ち」
「あン?」
「ドコ行くの」
フー子の視線はどことなく冷ややかだった。
「どこって、風呂」
「お風呂? 朝から?」
「体中ベタベタだから、シャワー浴びんだ」
「体中ベタベタ!? き、昨日の夜はそんな寝苦しくなかったじゃない・・・・」
「寝苦しいどころか、ほとんど寝てねーんだよ」
「寝ないで!? ね、ね、寝ないで、一晩中シテたの!?」
「ああ」
虫取りをな。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど、ね」
「フー子、どうして睨む・・・・って、ウヒャ!?」
間一髪! フー子の鉄拳が俺の髪をかすめた。
「なんで避けんの!?」
「なんで殴んだ!」
「自分の胸に聞けっ! この強○魔!!」
ブンッッッ。
「あぶねっ!」
つか言ってる事はもっと危ねー!
「しかもつばさに見せたわけ!? ナニ考えてんのアンタはっ!」
ビュン!
「うわっと! そりゃこっちのセリフだっ。何考えてんだアホ!!」
「今さらトボケんなー! ご飯も食べないで、
一晩中さくらまるにイタしてたんでしょうが!!」
「誰がするかー!」
どん。
「・・・・・・・・・・・・・・・あ」
背中が壁にあたった。
「もう・・・・逃げられないわよ・・・・?」
ポキポキポキ・・・・・
ひ〜〜〜〜〜〜〜〜っ(泣)
「えっとぉ−、フー子さん・・・・?
指を鳴らすと手がゴツくなるから、女の子はやんないほうがいいんじゃないかなぁ〜って・・・・・」
「あんたが何もヤんなきゃ、指を鳴らす必要なかったのよ・・・・・・」
ギロン!(←フー子の目付き)
怖ッ!!
「だ〜か〜ら〜っ、それはお前の勘違いだって」
「メイドさんを押し倒すド外道色魔の言葉なんか信用できるか!」
「押し倒しとら〜ん!!」
つんつん。
「あのぉ〜〜・・・・・・涼島様」
「なによ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
いつの間に近付いたのか、さくらまるがフー子の肩をつついてる。
今の騒ぎで目が覚めたのだろう。
病み上がりのせいか、ちょっと表情が硬い。
「え、あー、さくらまる?
うるさくしてゴメンね。いま仇を取ってあげるから」
「いえ、そうではございませんで、
妾(わたくし)のごしゅじんさまに荒ぶる力を振るわるるはご遠慮いただきたく・・・・・」
「・・・・・・・・・へ?」
フー子がぽかんと口をあけた。
それみろ。
「さくらまる、平気・・・・なの?」
「はい。妾の力足らずして、多事ござりますれど・・・・
ご覧の通り、こと無きを得ております」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、そ」
フー子の肩から力が抜けた。
俺の体からも、一気に。
ふへーっ・・・・・・・・・・・・・
何とか収まりそうだ。
「ではごしゅじんさま、参りませう♪」
さくらまるが、フー子と俺を遮るように体を割り込ませた。
微笑とともに俺の手を取る。
「参るって?」
「湯浴みをされるのでしたら、妾がお背中を流させていただきます♪」
「んなっ!!」
さくらまるの向こうで、フー子の顔が思いっきり引きつった。
「いや、いいって! 自分でできるからっ」
「ごしゅじんさま、ささ、ご遠慮なさらず」(にっこり)
さくらまるってば、一片の曇りもない笑顔で俺を引っぱるけど、言ってる意味わかってんのか?
「遠慮じゃなくて命が惜し・・・・・あー、だから、つまり恥ずかしいんだよ!」
無論いのち惜しさが本音だ。
見ろ、フー子の顔。
隈取(くまど)りしたらそのまま歌舞伎に出られそう。
でもさくらまるの瞳には、俺しか映ってなかった。
「侍女(まかたち)に何さま恥ずかしがられましょうや。
それにごしゅじんさまとて、妾の身様(体)を隅々までご覧におなりでしょうに」
「す、す、す、すみずみーっ!? 隅々まで見たの!?」
「わー! バカ、何言ってんだ!」
「日枝ッ! アンタやっぱり!!」
「違う! フー子の考えてるよな事ない! ぜんぜん全く誤解だって!」
「うるっさい! 今の言葉のどこに誤解する要素があるの!!」
「最初から間違ってるー!」
木の股や葉っぱの裏側を見ただけで処刑なんてあんまりだーっ!
「そこまで言うならハッキリさせましょ。さくらまる!」
「はい、涼島様」
「あんた昨日の晩、このドスケベ主人にどんな事されたわけ」
「ですから、妾がごしゅじんさまの寝所(ねどころ)にて痛みを堪ふる間、
一夜(ひとよ)をかけたまひて、我が身を一分の見逃しなくご検分くださりましたので。
ことの仕舞ひには、身動きならぬ妾の下(しも)を懇ろにお清めし給はれ・・・・
をう、なんと情け情けしきごしゅじんさまでせう!」(ぽっ)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ぽわ〜ん)」←さくらまる
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ぽわわ〜ん)」←さくらまる
ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あのさ、日枝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あたし思うんだけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「たとえ合意のうえでも・・・・人としてやっていい事と悪い事があるんじゃないかなぁって−」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、日枝」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「辞世の句は、詠んだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「走馬灯は、見た?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「覚悟、いいわね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「地獄におちろ!!
このエロ大王〜〜〜〜っっっ!!!」
「みぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
☆おしまい☆
○あとがき
「いきばた企画」にふさわしい突発サイドストーリー、これにて終了〜っ♪
今回の話、ネタ自体は第三回進行中からありました。でも続けてさくらまるの話は不自然、という理由で寝かせていたものです。
寝かせるつもりだったんですが・・・・
第四回のノリが今イチ悪い。一週間に1ページしか書けない。
そこで気分転換に書き始めたら、進むこと進むこと!
三日で第一稿があがっちゃいました。
分量もそれほどないので、こっちを先に掲載することにしました。
なお、第四回の終了後、この話は第五回として本編に組み込む予定です。
第四回の更新再開は、7月中旬〜下旬を予定しています。
ここまでご覧下さいまして、ありがとうございました!
03/6/29 管理人
Top | 書庫 | ついんLEAVES 目次 |
前ページ | 最上段 | 次ページ |