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『・・・・・・・・・・・・・』
めいせきむ(明晢夢)っていうそうだ。
「これは夢だ」ってわかってて見る夢のこと。
保健体育の"心の仕組み"で、先生がそう言ってた。
・・・・・俺は今、その"めいせきむ"を見ている。
ひらひら。
ひらひら。
ひらひら。
真っ白な夢の世界。
無数の桜の花びらが、俺をかすめて舞い落ちる。
決して触れることなく。
積もることもなく。
どこかへと。
『・・・・・・・・・・ま』
耳じゃなくて心に直接ひびく囁き。
『・・・・・・・・・・さま』
振り返る。
誰もいない。
『・・・・・・・・んさま』
すとっ。
落ちていく。
花びらをかすめながら。
どこまでも。
もうすぐ目が覚める・・・・・
真っ白だった世界がどんどん暗くなる。
すべてが漆黒に呑まれる。
その寸前、聞こえた。
透きとおった美しい声。
その言葉を。
『ごしゅじんさま・・・・・・(はぁと)』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
最後の(はぁと)って何だ。
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