ニューヨーク旅日記PartV

10月14日(木)
 今日の出発予定時刻は8時。睡眠時間は4時間半…。それでも遊びの為なら起きる。7:20、食事班の部屋に集合して朝食をとる。メグ、えりさん、私はスコーン、カホはセサミのバケット。それにハムエッグと紅茶。メグ&カホの食事班出動で、ガイド班(?)のえりさんと私は、ひたすら食べる人。
 予定通りの時刻に出発した。地下鉄に乗って、まずは早朝から営業しているというディスカウントストア
「センチュリー21」へ向かった。朝のせいか、ビル風が強くて寒い。センチュリー21は広くて、スーパーのような感じ。ところが、2階の洋服売り場では、よく見るとハンガーラックにPRADAGUCCIとシラッと書いてあったりする。値札を見ると、安い安い!いろいろ物色して、試着室へ行くと、入口にお姉さんが2人。持ち込む洋服の数が書かれた札をもらって中へ入ると、鏡がズラッと並んでいるだけで個室ではない。久々に、こういう試着室を見た。地下1階へ行くと、雑貨がたくさんある。10月なので、ちょうどハロウィンのグッズが多く置いてあり、お土産用にちょうどいい。1階化粧品売り場でも買い物を済ませ店を出る頃には、みんな大きな手提げ袋を持っていた。

 ここから、しばらく観光モードに入る。道を挟んで向かい側の
ワールドトレードセンターの展望室へ向かった。中2階のチケット売り場へ行くと、午前中のせいか、人が思っていたほど多くない。セキュリティのチェックを受けてから、エレベーターに乗る。一気に107階まで上がった。午前中で天気もよいせいか、窓越しの景色は素晴らしい。
一周歩き回りながら、写真を撮った。マンハッタン方向を見れば、エンパイアーステートビルをはじめビルの海。自由の女神の姿は遠く小さくても、ニューヨークを実感させる。ふと見ると、上へ行くエスカレーターがある。どこへ行くのかと思いながら乗ると、110階の屋上展望デッキに続いていた。外へ出られるなんて思わなかった。屋外へ出てみると、風がめちゃくちゃ強い。大きな手提げ袋を持っているので、風にあおられて吹き飛ばされそうなくらい。それに天気は良いのに、寒い!寒すぎる。髪もバッサバサになりながらも、きれいな景色と写真をバチバチ撮って、早々とビルの中へと退散した。高い所からの景色を充分満喫して、1階へ降りるエレベーターに乗ると、いろんな所からの観光客でいっぱいだった。陽気な係員さんが「どこから?」と順番に聞いたり、日本語では「KOCCHI(こっち)」が「This way」だということを説明したりしていた。
 もう少し観光モードは続く。Church St.を下って、トリニティ教会の角を左に曲がる。寒さに震えながら風が舞うトリニティ教会沿いの道を回って、教会の正面に出た。高層ビルの間にあっても立派な雰囲気がある。道を挟んで向かい側のウォール街に入って行った。ニューヨーク証券取引所や、ワシントン像の立つフェデラルホール・ナショナルメモリアルの前は、狭い道なのにビジネスマンとたくさんの観光客で、ごった返している。あまりの人の多さに辟易して、サッサと写真を撮って退散した。

 お待ちかね、予約なし飛び込みで
「NOBU」へ向かう。「NOBU」は、トライベッカにあるロバート・デニーロ経営の日本料理店。雑誌では「予約が入れば奇跡」と書かれるくらい人気のお店。結局、予約をせずにチャレンジすることになった。さて、どうなることか。
トリニティ教会沿いの道を戻りRector St.駅から地下鉄に乗った。途中の駅で他の乗客が皆降りていくので不安になって、車掌さん(?)に尋ねたら、このまま乗っていけとのこと。私たちだけを乗せたガラガラの電車は目的のFranklin St.駅に着いた。ホームは、今までに私達が降りたような人の多い駅とは少し違う雰囲気。夜は、かなり恐そう…。地上に出ても、人通りは多くない。迷いながら道の名前だけを頼りに店を探した。倉庫街を通り抜けウロウロしていると、工事中のパイプに囲まれた一角に、木の看板「NOBU」を発見!さりげなさすぎて全然めだたない。入れるかどうかとドキドキしながら、ドアを開けると、そこに東洋人の顔。「1時半までの1時間でよければ。」ということでOKがでた。やった〜!ランチだもん。1時間で大丈夫!席に案内され、ホッとした。うれし〜!

 店内は、床も柱も木を使い従業員もアジア系の人を雇って、和風でありながら、ありきたりの琴の音が流れるような日本料理店とは全く異なる雰囲気を出している。ただ床に描かれたピンクの桜の模様は、いただけないが…。担当のウェイターさんは、親切なアジア系の人だった。メニューとにらめっこで何を頼むか考える。メニューにあるケプルというものが何だかわからないので尋ねると、Sea plantsとの答え。「海の植物…、おぅ、海草か〜。」てな感じ。まず飲み物は、メグ、えりさん、私がNAPAのグラスワイン、カホはオレンジジュース。お料理は、The Sashimi Salad(カツオのたたき)、T〜−Nobu Style−(平目のカルパッチョ・レモン&唐辛子のソース)、ケプルSalad(海草サラダ)、天ぷらうどん(かぼちゃ、しいたけ、ズッキーニ、エビ入り)、お寿司はCut Roll(巻き)でカリフォルニアロール、エビ天、ハウススペシャル(海苔の替わりがキュウリの薄切りの巻き寿司)。オーダーしていると、ウェイターさんが「うちで一番人気の一品で、味噌で焼いた魚で、西京焼きのようなの、どう?」(訳:適当)と勧める。なんだかおいしそうなので、それも頼んだ。出てくる料理は、どれもとってもおいしい!雑誌にも載っていたカルパッチョは、辛いのが苦手のメグにとっては、ちょっと辛すぎたらしい。うどんは、ちょいと薄味か。お寿司は、エビ天がサクサクしてて、おいし〜。勧められた西京焼きは、とろけるような口当たりのタラで、
めちゃくちゃおいしい!一番人気もよくわかる。最後に緑茶をもらって全部食べ終えると、おなかはパンパン!この旅行で、初の満足な食事だった。あ〜食った食った。
 時間を少しオーバーしたところで、店を出た。「NOBU」を少し奥に行った所にある、同じくロバート・デニーロ経営の
「トライベーカリー」で、翌朝の朝食用のパンを買う。きれいなお店。フランスパン、ブリオッシュ、ベイグル、クルトンを買ったら、大きな紙袋に、買ったのと同じ数ほどのオマケのパンを入れてくれた。なんてサービスがいいんでしょう!見るからに日本からの観光客と思ったのか、お店のハガキも4枚入れてくれた。ご機嫌がよくなった私達は、お店の前で記念写真まで撮ってしまった。完璧オノボリさん。

 さてさて、
SOHOに向けて、来た道を戻り、少し北に歩いてCanal St.に出た。もう1筋、北の道まで行けばよかったのに、ちょいと勘違いをして、Canal St.を右に曲がり、気がつくと、どう見ても中華街。あやしい雰囲気の店が並んでいる。そこから軌道修正して、やっとSOHOらしき雰囲気の街に入れた。すぐ近くが中華街とは思えないほど、ブティックや、おしゃれな雑貨屋が密集している。ミュウミュウ、プラダスポーツ、ゾナ、アフターザレイン、ケイト・スペード、などなど、次々と見て回った。4時頃、歩き疲れたところで、お茶をしようと思ったら、見まわしてもカフェがない。そういえばカフェを見かけない。こういうところにこそ、おしゃれなカフェがあるといいのに。アメリカ人は歩き疲れないのか?どうしようかと思っていたら、メグがミュウミュウの斜め前にカフェがあったことを思い出した。行ってみると、よさげなガラス張りのお店。名前は「(THE MERCER)KITCHEN」。いっぱいだったけれど、少し待っていたら、狭いけれど席を作ってくれた。チョコレートケーキとラズベリーケーキをひとつずつ頼み、お茶はEarl Gray with blue flowersにした。お茶は、なんと一人分ずつ、鉄瓶に入って出てきた。和風の線を狙っているのかも。なかなかいい雰囲気。私達の大忙しの旅には、珍しくほっこりした時間だった。
 SOHOからは、タクシーでホテルまで戻った。夜のミュージカル観劇に出発するまでには少し時間があったので、それぞれの部屋でゆっくり過ごすことができた。  
 ミュージカルの前に軽い食事を取りに、タイムズスクエアの北7th Ave.沿いのヴァージン・メガストア内の
「ヴァージンカフェ」へ行った。地下のカフェの前が、かなりの人だかり。カフェが混んでいるのかと近づくと、そうではなくサイン会の準備をしている。立て看板を見ると、リック・スプリングフィールドのサイン会らしい。CDとポスターを持って並ぶ女の子の列を横目に、私達はカフェへ。それぞれ、クロワッサンやサンドイッチと飲み物を買って、席につく。ちょうどその頃、カフェの外ではサイン会が始まった。フラッシュの光に誘われて、えりさんはカメラを持って突入して行った。スタッフに止められながらも、しっかり写真に納める。さすが!
 おなかも落ち着いたところで、7:30。これまた、楽しみにしていた「ライオンキング」観劇に向かう。42 ndを曲がると、New Amsterdam Theatreの前には、すでに多くの人達が集まっていた。座席はフロントメザニンなので、エレベーターで2階へ上がる。席に案内されると、舞台全体が見渡せて、こういうのもいい。劇場内も、やはりバルコニーが両脇に2段あったり、壁の装飾も凝っていて日本にはない雰囲気だ。客層は、演目もあって家族連れの姿も目立つ。日本の「ライオンキング」で舞台の前にいたパーカッションの人は、舞台よりのバルコニーの中にいる。そして、開演直前、山羊役のキャストが、バルコニーに現われた。劇場が暗くなり、ラフィキの歌声が響く。ラフィキと山羊のかけあいが劇場を包み、「Circle Of Life」にのって、舞台奥に太陽が昇り、上手からキリンがゆったりと姿を現す。客席からは象の親子が舞台へ上がる。プライドロックが舞台から、せり上がり、
たくさんの動物がシンバの誕生を祝う。なかなかチケットが取れないと聞いていた舞台を、本当に今、ブロードウェイで観ていることを実感。それにしても、客席を行進してくる動物が、日本の四季版より少ないような気がしたのだけれど…?他の舞台セットや衣装は、ほぼ日本も同じだけれど、キャストの歌声や存在感が、やはり日本とは全然違う。特に、ムファサの力強い歌声、そしてシンバの「He lives in you」の歌には、鳥肌が立った。この2人はオリジナルキャストらしい。ずっと同じ役を演じ続けるのも実力なのだろう。ストーリー全体に流れる「生命の環」というテーマ、「He lives in you」で変わることへの恐れを乗り越え、自分が何物であるか何をすべきかを思い出しプライドロックへ帰ろうと決めるシンバには、感動した。カーテンコールでは、私も我慢できずにスタンディングオベイション。ブロードウェイで観ることができて本当に良かった。
終演後、階段を下りると、出口は隣にあるディズニーストアを通るしかないようになっている。さすがディズニー。商売っ気たっぷり。それにつられた訳ではないけれど、観劇(感激?)の記念にパンフレットを買った。

 劇場を出てタクシーを拾おうと思ったら、これが全然タクシーが拾えない。交差点に出てみても空車はなく、通りにはタクシー待ちの人が溢れている。すごく寒いのに、どうしようかとウロウロしていると、中ほどの車線を空車で走っているタクシーの運転手さんと目があった。私達に向かって指でOKサインを出してくれているが、道の端に寄ってこれない。運転手さんが「向こうへ行け」と手で合図を送って交差点を越えて行った。私達は走る、走る。空車に気づいた外人さん達も走る、走る。タッチの差で負けたか〜と思ったら、運転手さんが「彼女達を乗せるから。」(訳:適当)と断ってくれた。なんて、いい人なんでしょう〜!とっても寒かったので救世主のようだった。チップは、はずみます。
 ホテルに戻ると11時を過ぎていて、それから翌日のスケジューリング、入浴…としていると、結局、ベッドに入るのは夜中も2時を過ぎていた…。ハァ〜…。