更年期障害について

1.更年期の概念

 更年期あるいは更年期障害とは、女性特有の病気と考えられていますが、現実には男性 にも存在するものです。女性ほど鮮明な変化が現れず外見からは解りずらい故に、とかく 軽視されております。その代表的なものに更年期時に現れる鬱病がありますが、ここでは 女性を対象とした更年期の話です。

 更年期とは45〜55歳頃の時期を言い、更年期障害とはその病的現象を示します。従 って更年期だから必ずしも更年期障害が出るとは限りません。更年期の期間は閉経前後の10年間であり、生理が乱れ始めると更年期前期に入ったと 見なし、閉経後5年間を更年期後期と呼んでいます。

2.更年期の生理的機序について

 生理の乱れ方には、早くなる、飛ぶなどがありますが、機能性出血と言って絶えずチョ ロチョロと出血することもあります。ガンではないかと心配する患者もいますが、これは 更年期特有の卵巣機能が衰えた結果であります。ところが20歳前にも起きることがあり ます。これは卵巣機能の不全、即ち卵巣が未熟故に起きる現象です。この両者は、共に女 性ホルモンのアンバランスが引き起こす病症で、無排卵性月経や黄体ホルモンの機能不全 から起きる結果であるので、女性ホルモンを服用することで簡単に改善されるようです。

 更年期の病状では、のぼせ、火照り、発汗の三つを三大徴候と呼びますが、これが現れ ると更年期に入った、或いは更年期障害が頭をもたげてきた、と判断します。更年期障害 は女性ホルモンの不足からくる自律神経の失調症で、女性の9割が自覚すると言われてい ます。

3.更年期の病症について  

更年期障害は、自覚的・他覚的にさまざまな形で現れるのですが、検査では異常が出ませ ん。故に自覚的・他覚的な症状が診断の基準になります。疲労感、動悸、息切れ、スタミ ナ不足などの不定愁訴も増え、突発的に血圧が上下する血圧の変動、めまい、耳鳴りなど も現れてきます。

 具体的な症状を次に挙げてみましょう。まず膀胱炎があります。これは細菌やトリコモナスの炎症性の症状で、水分を大量に摂 取し細菌を洗い流すことにより、ある程度の効果があるようです。下痢と便秘を繰り返すようになります。これは大腸ガンの後発症状なので、場合によれ ば検査の必要がありますが、異常が無ければ更年期の不定愁訴の一つと考えて間違いあり ません。関節痛、肩、首、背部の凝りも多発してきます。

 また女性に多いのですが関節リウマチも増えてきます。ただし、更年期障害の関節痛や 関節の変形はリウマチと似ていますが、リウマチ検査反応は出ません。皮膚や粘膜が乾燥き踵が荒れ痒くなってきます。

 検診の結果、尿検に潜血反応を診ることがあります。これはガンの可能性は少なく、尿 道や膀胱からの出血が目に見えぬ形で続いているのです。粘膜の抵抗が衰弱したため潜血 反応が現れてくるのです。

 不安感、落ち込み、イライラ、物忘れ、頭のぼんやり感などの精神症状もあります。若 い頃に鬱病があると、更年期になり症状が一層強くなることもあります。

 このような諸々の不定愁訴は30代後半から出現します。30代で65%、40代で8 8%、50代で90%の女性が自覚すると言われています。

4.その他重要な病症について

 膣の乾燥と性交痛・・・この症状は25%の人が訴えるようです。

 更年期鬱病・・・不眠・便秘・食欲不振・自殺願望等々を訴えるようです。

 脳腫瘍・・・・・良性のものが多い。

 骨粗鬆症・・・・指関節の変形・背、腰の変形等々。

 貧血症・・・・・更年期前期に発症する。

 子宮内膜症・・・月経痛・下腹部痛・性交痛。

 乳癌・子宮癌・卵巣癌等々。

5.更年期病症の症例