自作 AM ループアンテナ(Loop-ANT)
AM/FM チューナがあるのに AM/FM ラジオが聞けないという事は、こんな残念なものは無い。FM アンテナについては、市販品である「DXアンテナ鰍フFMB -2CN(トンボ型)」を購入した。さすがにアンテナメーカの市販品であり組立も簡単、感度もまぁまぁです。しかし、AM ループアンテナについては通常チューナ側に付属しているので、一般の電気店ではまず手に入らない。秋葉原にでも行けばあるのだろうが、小生にはそんな若さはもはや無い。従って、思いついたのが自作だった。
考えるより、まずやってみようと思い早速、作業に取り掛かった。
試作1号機
自宅にあった角材を「×」に組み、余っていた直径 0.35mm のエナメル線を活用しました。出来上がりはこんな感じです。ニスも塗り、中々の出来栄えです(笑)。
軒下に設置した状態 | 全体 | 直径0.35mmのエナメル線 |
寸法図 |
一次巻き線(L1)は10回巻き、二次巻き線(L2)は2回巻きにしています。いわば回路的には空芯トランスのようなイメージです。L1側で期待周波数と共振させ、L2側で誘導起電力をピックアップしています。L1側のコイル長は1周2mなので10回巻きで20mです。L2側のコイル長は2回巻きなので2mです。実際にはループアンテナからシールド線で10m余分(往復で20m)に引っ張ってチューナに入力しています。
等価回路は以下の通りです。L1側は、巻き線と直列に可変コンデンサ(バリコン)を入れ、LC直列共振をさせます。
等価回路
因みにLC直列共振周波数 f は、f =1/2π√LCであり、インダクタンス L [H] やコンダクタンス C[F] 等の測定器があれば、理論上求めることが出来るのでしょうが、我が家にはそんな高級な測定器がある訳では無く、実際にAM
ラジオを聴きながらバリコンの調整を行いました。バリコンも手元に無く、高校時代に作ったラジオをばらして流用しました。しかし、そのバリコンもいろいろいじっている間にリード線が根元から折れてしまい仕方なく
100円ショップで AM ラジオを買って来てバリコンを取り出して使用しました。
この試作1号機の注意した点としては、隣接する線間のコンダクタ成分を軽減するために約
1.5mmの間隔をあけています。しかし、約 1.5mmの間隔をあけた効果は全く不明です。(笑)
試作2号機
100円ショップで適当な檜の角材があったので、それを2本購入し、やはり角材を「×」に組みました。以前から自宅で余っていたAWG
#28 のビニル線を活用しました。予断ですが、ビニル線が 610m もあったので、波長の長さそのままで共振させることも考えました。仮に1MHzの波長は、300/1で300mです。しかし、300mものループアンテナは実用的でないので止める事に。結局は試作1号機と同じ理論で、少し大きめにして再度チャレンジしました。
一次巻き線(L1)は10回巻き、二次巻き線(L2)は2回巻きにしています。L1長は1週約2.4mなので24m、L2は4.8mです。巻き方は密巻きです。受信効果を期待し、ひと回り大きめに作成しました。また購入した材料寸法のままで使用しています。
軒下に設置した状態 | 拡大 | 表面から |
寸法図 |
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巻いた直後 | 青がL1巻き線で、橙がL2巻き線 | 端子加工/バリコン組付け |
性能比較
試作1号機と試作2号機の性能測定を行いました。性能測定と言っても先にも書きましたが、我が家には高度な測定器がある訳でも無いので、自分の耳を頼りに性能測定することにします。まず微弱電波を設定します。微弱電波と言えば道路公団の交通状況である1620KHzを思い出しました。我が家と高速道路の交通情報発信距離はどの位離れているか不明ですが、普通のラジオであれば、まず入感しません。因みにアマチュア無線機で1620KHzにセットするとS3レベルで入感しました。また何を言っているかも判断できました。受信機も良いし、アンテナも高感度なのであたり前と言えばあたり前です。この様なことから試験周波数は1620KHzに決定しました。
AM/FM チューナを1620KHzに合わせ、まず試作1号機の調整を行いました。バリコンにて調整すると、なんと交通状況が微小ではあるものの聞こえました。次にバリコンを取り外し、実際に測ったわけでは無いが約100m程のボビンコイルを入れると、たまたま共振したのかバリコン時よりもほんの少し弱いものの入感できました。
次に試作2号機を測定しました。バリコンを最善に調整しましたが、全く交通情報は入感できませんでした。結果的には1号機の方が感度が高いという結果が出ました。試作2号機はバリコン容量を超えるあたりで共振しているのかも知れません。または一次・二次巻き線回数調整で感度が上がるのかも知れません。
2号機の方が一回り大きい。 一号機の1週は2mで、 二号機の1週は2.4mです。 |
チューナに付属のループアンテナ 皮肉にも自作ループアンテナが完成した後に 手に入れることができました。210円也。 |
反省と改良点
[試作1号機]
直径0.35mmのエナメル線なので、設置までの取扱でエナメル線(銅線)が伸びてしまい取扱には特に注意が必要。雨風から防ぐ目的で、バリコンを上に設置してしまったが、バリコン調整時は大分高い位置となってしまい大変であった。この点を試作2号機では改善し、バリコンを下側に取り付けた。
[試作2号機]
操作性は向上したが雨風があたりバリコンが壊れる可能性がある。しかし、ネジ式となっているので、そこからケーブルで引き出して室内からも調整できるようには考慮している。
[共通]
1次巻き線や2次巻き線の巻き数をいろいろ変更できるようにタップを取り付けたかったが、時間的な制約もあり断念している。バリコンの容量がどの程度可変出来ているかが不明なので、もっとしっかりしたバリコンを入手すべきだったと考えています。可変コンデンサを自作しても楽しいかも・・・
自作ループアンテナの使用状況
現在は試作2号機でAM ラジオを聞いていますが、東京タワーから(*)のAM 電波が全て受信できるのでよしとしています。普段、AM ラジオやFM
ラジオを聞く機会も無く、放送チャンネルを良く知っていなかったのですが今回、全ての放送局を調べたので参考に記載します。
(*)AM電波の送信元はNHK第1、第2は菖蒲・久喜、TBSは戸田、文化放送は川口、ニッポン放送は木更津、ラジオ日本は川崎のようです。
本ページを見た方からご連絡いただきました(2010/2/19)。ありがとうございました。
AM 放送局 | FM 放送局 | ||||||||
・ | 周波数 | ・ | 局名 | ・ | ・ | ・ | 周波数 | ・ | 局名 |
594 KHz | NHK第1 | 80.0 MHz | TOKYO FM | ||||||
693 KHz | NHK第2 | 81.3 MHz | J-WAVE | ||||||
954 KHz | TBSラジオ | 82.5 MHz | NHK・FM | ||||||
1134 KHz | 文化放送 | 84.7 MHz | FM ヨコハマ | ||||||
1242 KHz | ニッポン放送 | 78.0 MHz | bay fm | ||||||
1422 KHz | ラジオ日本 | 79.5 MHz | NACK5 | ||||||
1485 KHz | 76.1 MHz | inter FM | |||||||
1620 KHz | 交通情報 | 76.5 MHz | |||||||
77.1 MHz | 放送大学 | ||||||||
78.8 MHz | |||||||||
最後に・・・
一様不便なく受信できているので暫くはこの状況で使用する予定だが改良できる点は更に改良をしたいと思っています。更に「こんな風にすれば受信感度が上がる」等のアドバイスがあれば、メールにてご連絡頂きたいと思います。