御樋代木奉曳式(内宮)

第62回神宮式年遷宮が平成25年に行われますが、今年は遷宮に向けた諸行事のスタートの年です。
先月5月2日には最初の祭事として内宮、外宮両宮にて山口祭、木本祭が行われました。
そして6月3日には長野県上松町にて御杣始祭が、6月5日には岐阜県中津川市(旧加子母村)にて
木曽御用材伐採式が行われ、それぞれで切り出された内宮、外宮のご神木が各地を奉曳され、
最終目的地伊勢に入り、内宮では川曳きにより3本のご神木が御神域内に運ばれました。

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天気予報では曇りの予報だったのですが、小雨混じりの天気となってしまいました。
外宮での参拝を先に済ませ、9時少し前に内宮宇治橋前に到着しました。
平日と言うこともあって、参拝されている方はまだほとんどありません。
しかし、数時間後には川曳きを見るための人々でいっぱいになります。


    

宇治橋下の五十鈴川です。ここを川曳きのご神木が通って行きます。
水量は少なく川底が見えます。お木曳きの幟が宇治橋たもとに掲げられています。
小さい幟には伊勢市内各地区の名前が入っています。


    

五十鈴川の御手洗場です(写真左)。水量が少ないこともあって鯉の姿は確認できませんでした。
五十鈴川から直角に曲がり島路川を遡ると、風日祈宮に通じる風日祈宮橋の下に至ります。
この風日祈宮橋のすぐ下に木で作ったスロープが設置されています。
このスロープから川曳きされてきたご神木が陸に揚げられることになります。


    

正宮に向う参道脇の茂みでガサガサと音がするので横を見てみたらなんと鹿の親子がいました。
神社で鹿というと、奈良公園の鹿がすぐ頭に浮かびますが、伊勢神宮で鹿が見ることができた
ことは驚きでした。それだけ自然が残されていることなのだと思いました。

五丈殿前庭に木材が2列に並べられていますが、ここにご神木が置かれ、移動させるための
レールと思っていただければ結構です。最終的にご神木は五丈殿内に安置されます。


    

ひととおり内宮御神域内のご神木が移動していく場所の下見を終え、腹ごしらえも兼ねて
おかげ横丁に向いました。私のお勧めは豚捨さんの串カツ、コロッケ、メンチカツです。
揚げたてにウスターソースを少しつけて食べる。これがまたいいんです。
メンチカツ110円、串カツ・コロッケは80円です。

横道にそれました。12時半すぎ、おはらい町沿道に旗を持った人々が並び始めました。
もうそろそろご神木を載せたトラックがここを通るということです。
写真の場所は赤福本店のすぐそばです。日の丸の旗を持った白い帽子をかぶった女性
の一団は赤福さんで働く女性の方々です。赤福本店で赤福を食べたことが有る方なら
お分かりかと思いますが、御餅に餡を載せる作業をされている方々なんです。

12時40分を回った頃でしょうか、パトカーに先導されたご神木を載せたトラックが
ようやく視界に入ってきました。沿道の人々にご神木をご披露するためにゆっくりと
人が歩くぐらいのスピードで進んでいきます。トラックのナンバープレートに注目です。
今回の御遷宮は第62回であることと、今年が平成17年なので6217のナンバーなんです。
しかもこのトラックは新車で、最初に載せた荷がご神木ということです。

上松陸送とありますから、御杣始祭が行われた長野県上松町からご神木を運んできた
トラックです。但し、載っているご神木は桑名市の桑名宗社で岐阜から運んできたご神木と
いっしょになり内宮に運ぶご神木と外宮に運ぶご神木に載せ替えられますので、このトラック
には長野と岐阜で伐採された内宮のご神木が載っていることになります。


    

三本のご神木はゆっくりと宇治橋に向っておはらい町を通っていきます。
紅白幕に飾られたトラックは名古屋の嫁入り道具を運ぶトラックのイメージです。
ちょっと不謹慎な感じがしますが、瞬間そう思ってしまいました。


    

宇治橋前にご神木のトラックが到着しました。多くの拍手で持って迎えられました。神宮式年遷宮用材
奉曳本部長の加藤光徳伊勢市長が「伝統の川曳きが行われることを、心からお喜びします」
と挨拶をした後、万歳三唱でご用材の無事到着を祝いました。時間にして5分ほどのセレモニーでした。


    

ご神木を載せたトラックの先には、神職、舞姫や神宮職員の方々もご神木を
お迎えするために整列されていました。トラックの運転席には天照皇大神宮(内宮)、
豊受大神宮(外宮)それぞれの神宮大麻(お札)が飾られていました。

この後、ご神木を載せたトラックは川曳きがスタートする県営体育館横の河川敷へ向いました。


    

川曳きが始まるまで一時間ほどの時間がありましたので、またおはらい町に戻りました。
伊勢音頭保存会の茂登路連と伊勢音頭市民連の約60人が、御樋代木の到着を祝い、
そろいの踊り衣装で伊勢音頭を披露してくれました。


    

いよいよ川曳きが始まります。スタート場所は浦田橋下の宇治橋よりで始まります。
スタート場所まで3本のご神木を移動させているところです。川岸にはご神木をお迎え
する神職が提灯と榊を先頭にご神木を見守っています。このお迎えの神職は、ご神木
が風日祈宮橋下で陸に揚げられるまでずっと付いておられました。


    

3本のご神木が所定の位置に着きました。全員が菅笠、白衣、太一と白く染め抜かれた
黒の法被を着ています。幣(ぬさ)のようなもの(正式名称が分かりません)持った方が
木遣り歌を歌い、士気を揚げていきます。歌が終わり、幣(ぬさ)が振り下ろされると、綱を
持った曳き手が一斉に駆け出し、木そりに載った五十鈴川の中をご神木が動き始めました。



    

簡単にはご神木は動いてくれません。たびたび川の中で立ち往生します。
そのつど、木遣り歌を歌い士気を揚げて生きます。ご神木のそばにいる曳き手
は手に持った棒を梃子のように使い、立ち往生した木そりを動かしていました。


    

宇治橋が見えてきました。この辺りが一番水量が少なく、かつ石畳となっています。
この石畳部分に乗せるのにだいぶ手こずったようで、二番木の曳き手が後ろから
参加して一番木を曳いて行きました。ご神木が宇治橋下を通過する間、宇治橋では
何人の通行もできないように規制されました。神聖なご神木の上に人が立つことは
許されないからです。


    

何とか苦労して一番木が宇治橋を通過すると、二番木は一番木の様子を見ていた
せいもあってすんなり宇治橋下を通過していきました。三番木は宇治橋上から
見ることができました。この角度から見るとご神木を曳く隊列がよく分かります。


    

ご神木が宇治橋を越えて先に行ってしまったので、急いでご神木に追いつかねばなりません。
火除橋のところでご神木をお迎えする役目の神職の列に追いつきました。
いつの間にこちらに来ていたのでしょうか。ご神木ばかり見ていたので分かりませんでした。


    

さて、ご神木が風日祈宮橋下に到着しました。ここは五十鈴川に流れ込む
島路川で川幅も狭く水量も少ないのでご神木の移動は更に大変そうでした。
お迎えの神職もあとわずかということで心配そうに見ているようでした。


    

ご神木をスロープに載せるために、ほぼ直角にご神木を回転させなければなりません。
ここではご神木のそばにいた梃子をもつ曳き手が活躍をしました。梃子を木そりの
下に入れて、持ち上げるようにしてその向きをスロープ側に向けていきました。
あとは最後のひと頑張りです。号令とともに一気にご神木はスロープを駆け上がり
神楽殿前の階段下まで進みました。



    

一番木に続いて、二番木、三番木が次々と陸に上げられ、神楽殿前の階段下に
並べられました。ここから曳き手が神宮式年遷宮造営丁の職員に替わります。
ご神木が並べ終わると、川曳きを行ってきた曳き手たちに盛大な拍手が贈られました。


    

造営丁の職員により五丈殿前に曳かれるのを待つご神木です。
いよいよ御樋代奉曳式が始まります。神職の参進を知らせる太鼓が鳴り響きます。


    

参進する神職は二手に分かれるようです。最初の神職の列はおそらく正宮に
向ったものと思われます。二番手の神職は到着したご神木を迎えるかのように
神楽殿下の階段を降りてご神木のそばに並びました。


    

神職が横一列にご神木に向かい一礼すると、再び階段を上がり五丈殿前に向かいました。
さあ、いよいよご神木を曳き上げることになりました。曳き手の人数は川曳きの曳き手より
数が少ないので大丈夫かと思いましたが、意外と簡単に動いていくようです。
水の抵抗や川底の土砂、足場の悪さなどがない分、陸を曳くほうが簡単なのでしょうか。


    

曳き上げたご神木を今度は90度回転させねばなりません。これは見ていて大変そうでした。
ご神木のそばにいる二人の梃子さばきは手際がよく、あっという間に参道に沿う向きになりました。


    

五丈殿前にご神木が曳かれていきます。3本のご神木は五丈殿前庭に並べられ、
神職による御祓いが行われました。この後、五丈殿内に安置され、御樋代木奉曳式は終わりました。



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