伊勢 2005年2月 鳥羽、二見巡り
2005年2月、伊勢神宮125社のうち「鳥羽巡り」と「二見巡り」の報告です。
いよいよ125社巡りも残りわずかとなってきました。「鳥羽巡り」は鳥羽市にある赤崎神社1社、
「二見巡り」の対象となる地域は二見町となり、約12Kmで7社を巡ります。
鳥羽、二見巡りマップ
近鉄鳥羽駅から2駅、志摩赤崎駅が最寄駅となります。駅を降りて鳥羽駅方向に戻るように国道167号線
を500mほど歩きます。鳥羽湾に流れこむ加茂川を右手に、更に安楽島大橋を望む位置に赤崎神社
が鎮座しています。大きなお社ではないのですが、地元の方々が建てた管理用の小屋があったりして
地元からの崇敬が高いという印象を受けました。地元民が行う赤崎祭(6月22日)は「ゆかた祭」とも呼ばれ、
ゆかたがけの市民が多数参拝して、家内安全の御神杉を受けていかれる、ということです。
祭神は、湾内の海岸から豊受大神宮(外宮)へ奉納する御贄(海産物)の守り神となっています。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
赤崎神社 | 外宮 末社 | 荒崎姫命 |
赤崎神社参拝後、鳥羽駅まで歩くこととしました。天気もよく、風も心地よかったので散策するには最適です。
鳥羽水族館、ミキモト真珠島を越えたあたりで、鳥羽湾の視界が開けます。青い海に遠くの島、もしかしたら
対岸の愛知県渥美半島の先端、伊良湖岬まで見えているかも知れません。
写真左は、鳥羽湾を一周する観光船です。「龍宮城」と呼ばれる観光船です。約50分程度の乗船で1350円です。
鳥羽湾の中で最も風光明媚な「志摩の松島」を巡り、途中イルカ島と真珠島・水族館前に寄港します。
写真右は、神島方向を見たものです。神島は伊勢湾の入り口にある島で、ちょうど鳥羽と伊良湖岬の中間
にあります。気温よりも海面の温度が高いためか、逃げ水のような揺らぎが水平線に見えます。
見ようによっては島が浮かんでいるように見えます。確かに風は冷たい日でした。
鳥羽のバスターミナルから伊勢市行きのバスに乗ります。CANバスという快速バスができてしまったので
私が途中下車をしたいと思っている路線バスの本数が少なくなってしまいました。1時間に1本なんです。
30分ほどバスターミナルで待った後、ようやく乗車。10分ほどで、最初の目的地最寄の「池の浦」に到着です。
池の浦釣り筏案内所を過ぎ、坂道を登り旅荘「海の蝶」の脇を通り、奥の浜海水浴場へと降りていきます。
シーズンオフのため、海水浴場へは車が入れないようになっています。人気の無い海岸はちょっと怖い
感じがしました。写真左は海岸から見た鳥羽湾に浮かぶ中ノ島です。大きい島と小さな島が同じように並んで
いる姿は面白いと感じました。海岸線伝いに200mほど歩くと、粟皇子神社への入り口が見えてきました。
写真右は粟皇子神社です。社殿の真後ろはすぐ海岸となっています。125社中、一番海岸に近いお社です。
御祭神は天照大御神と須戔鳴尊との誓約によって生まれた女神です。
別名淡海子神と呼ばれ、海岸鎮護の神と伝えられています。
こんなに海に近いのでは、台風などで海が大荒れの時には、ここまで海水の飛沫が飛んでくるのではと思います。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
粟皇子神社 | 内宮 摂社 | 須佐乃乎命御玉道主命 |
来た道を戻り、「池の浦」のバス停まで出ました。バスが来るまでには30分以上あるので、国道42号線を
二見に向けて歩くことにしました。次に目指すのは神前神社です。神前神社は標高100m近い小井戸口山の
頂上に鎮座しています。海抜数メートル程度のところから、一気に急な山道を100メートルも登るのは
大変です。息が切れてしまいました。木々の切れ目から青空が見え始めたと思ったら、そこが頂上で、目的の
神前神社でした。真っ青な空には一羽の鳥が旋回していました。鳶でしょうか鷹でしょうか。
この神社のすぐ後ろに廻ると、神前の海が広がっています。こんな高い場所にありますが、伊勢神宮では年5回
125社すべてでお祭りが行われるので、神職の方もここまで登ってこられることになります。
神前神社の祭神は、国生神の御子です。倭姫命によって定められました。
このお社には他に2つの神社が御同座されています。帰りの下りの山道は膝が笑いそうでした。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
神前神社 | 内宮 摂社 | 荒前比賣命 | |
許母利神社 | 内宮 末社 | 粟嶋神御魂 | 神前神社御同座 |
荒前神社 | 内宮 末社 | 荒前比賣命 | 神前神社御同座 |
山から下りてくると、今度は五十鈴川派川を渡って、反対側にある二見町江地区に向います。
江地区の西はずれに江神社があります。前回1回目の125社巡りの時は、この神社を地元の方に
聞いても知らない方がいました。確かによほどのことが無ければここまで来ることはないのでしょう。
この神社のそばは、写真右のように田んぼと草地が広がっているだけです。
倭姫が天照大神を奉じて御塩浜から船を出され、立石崎(今の夫婦岩のあるところ)を経て五十鈴川の江
(五十鈴川は河口付近で2つに別れる)に入られた時国津神(くにつかみ)の佐見都日子が出迎えて、
川の名を聞かれ、五十鈴河尻であると答え、そこに定められたお宮です。社名は五十鈴川の河口で入江に
なっているところからつけられました。俗に蒔絵(巻江)の明神と称されています。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
江神社 | 内宮 摂社 | 長口女命(天須婆留女命の子)、 大歳御祖命、宇加乃御玉命 |
再び国道42号線に戻り、二見シーパラダイス脇を通ると人だかりと歓声が聞こえてきました。
何事かと思って人だかりのそばに行くと、何とトドが水槽の外に出ていて歩き回っているのです。
この写真は水族館の中ではなく、完全に建物の外なのです。トドが暴れたらすぐそばの国道まで
飛び出していくかも知れないのです。でも水槽に手(?)を付いて立ち上がると2mは有に超える
体長です。こんな大きいのにのしかかられたら大変です。遠巻きにして画像に収めました。
この水族館に隣接する二見プラザの中を通って、夫婦岩で有名な二見興玉神社に行けます。
夫婦岩に掛けられている大注連縄は毎年3度(5月5日、9月5日、12月第3日曜日)張り替えられます。
夫婦岩のある二見興玉神社を後にして、二見の旅館街の中を歩き、更に西に向います。
二見中学校を過ぎると、こんもりとした森が目に入ってきます。そこが御塩殿、御塩焼所、御塩汲入所
の各建物を含む御塩殿神社の境内となります。
写真右と左でどちらが御塩殿神社と思われますか。倍率は同じですから、右の方が二倍以上の大きさです。
実は写真左が御塩殿神社で、写真右は御塩殿です。御塩殿では御塩焼所で焼塩にされた塩を、
更に焼き固めて堅塩にするための施設となっています。この造りは、斎宮巡りの所で紹介した、
神麻続機殿神社および神服織機殿神社と同じ造りです。 伊勢2003年11月斎宮巡り
御塩殿神社、御塩殿の裏手、二見浦に面する場所に、御塩汲入所と御塩焼所があります。
写真左は御塩焼所です。建替えか修繕のためにシートが掛けられ、様子を見ることはできませんでした。
ここでは、海水から作った鹹水(かんすい=濃い塩水)を一昼夜かけて煮つめ荒塩がつくられます。
写真右は御塩汲入所です。ここは、五十鈴川の下流の御塩浜で毎年土用に取られた濃い塩水を
一時溜めて置く建物となっています。なんか見た瞬間、竪穴式住居のように感じました。
同じ日のうちに御塩浜、神宮御園を回りたかったのですが、12Km以上の徒歩と100mの登山を
したため、体が疲れ果ててこの日はホテルに戻ることとしました。もちろん途中下車して、伊勢角屋
麦酒蔵に寄りました。お目当てはビールと料理です。ちょうど鳥羽浦村産の牡蠣が入っていたので
牡蠣グラタンをお願いしました。ホワイトソースに牡蠣の風味がなんともいえませんでした。
角屋伊勢本店 麦酒蔵
お目当てのビールです。写真左はヴァイツェン、写真右はスタウトです。
美味しい料理に美味しいビール、今日一日の疲れが心地よい酔いにより消えていきました。
伊勢最終日、このまま横浜に帰ろうかと思っていたのですが、目の前まで来て昨日は中断してしまった
ことが気になり、朝一番の今一色行きバスに乗り、二見町西地区に向いました。バスを西で降り、西へ
200mほど歩くと、五十鈴川の堤防道路の手前に、御塩浜が現れます。神宮の御塩を作るため鳥居
が設置されています。ここは入浜式の塩田となっています。実際にこの場所で濃い塩水が作られるのは
毎年土用の時期です。ここで作られた濃い塩水が御塩汲入所に運び込まれ、御塩焼所で煮詰められ、
荒塩となり御塩殿で焼き固められて堅塩となり、この塩が伊勢神宮の祭事で使われることになります。
御塩浜から南に1.2Kmほど行くと、神宮の御饌に使われる野菜や果物を清浄栽培している
神宮御園があります。冬の時期なので畑には何も植えられていませんが、毎年春分の日に神嘗祭付属の
お祭りで御園祭が行われ、野菜・果物などの豊作をお祈りします。
ただこちらのお祭りも公開はしていないので詳細をうかがい知ることはできないのでちょっと残念です。
二見巡り最後の神社、堅田神社に向います。場所はJR二見駅、二見町役場、旅館街からも近い場所
にあります。国道42号線に面しているのですが、住宅の間にあり少しわかりづらいかも知れません。
祭神はこの地方の国津神です。倭姫命に堅塩(かたしお)を奉った故事により定められたということです。
この二見の地が伊勢神宮で使用される塩に関係することがこのことからもわかります。
神社名 | 格式 | 祭神 | 備考 |
堅田神社 | 内宮 摂社 | 佐見都比女命 |