伊勢 2004年5月 滝原巡り

2004年5月、伊勢神宮125社のうち「滝原巡り」と松阪市内散策の報告です。
「滝原巡り」の対象となる地域は大宮町(現 大紀町)です。JR紀勢本線三瀬谷駅をスタートして
約13Kmのコースで6社を巡ります。別宮としては伊勢神宮内宮、外宮から一番離れています。
それと松阪市内を散策して見つけた風景を報告します。

滝原巡りマップ

    

朝、宿泊している松阪のホテルから見た様子です。少し雲が多く天気がちょっと心配でした。(写真左)
見えている屋根は岡寺山継松寺です。

JR松阪駅前から、三瀬谷行きのバスに乗りこみます。バスは山間の風景を見ながら、大台町JR三瀬谷
駅前に到着です。所要時間は1時間弱です。まずは多岐原神社を目指します。それには宮川を渡ります。
下流地域ではゆったりと流れていた宮川もここでは渓谷の流れとなっています。


    

同じ場所から宮川上流方向を見たものです。川が2つに分かれていますが、右側が宮川、左側が大内山川です。
宮川の方の奥に見える施設は三瀬谷発電所です。水力発電所です。
川を渡って、多岐原神社までは約2.6kmです。途中、沢の護岸部分に鮮やかな赤紫の花が咲いていました。
何という花かは知らないのですが、緑一色の景色の中で目を惹かれました。


    

東に向って歩いていた道が宮川の流れに沿って南に方向を変えたところで、特徴的な山が目に飛び込ん
できました。まるでピラミッドのような形をした山です。確かこのような形をした山を、京都大江町元伊勢
で見ました。元伊勢内宮の西にあった日室山です。遥拝所もあり不思議現象も見られるところでした。
ですから、この山も何かここ滝原に関わる霊的な山かも知れません。 :丹後、丹波 2002年6月

この山が見えたら、目指す多岐原神社はもうすぐです。民家と畑の間の道を下っていくとすぐでした。
祭神は倭姫命が宮川を下るのを助けた土地の神となっています。社の後ろには宮川となっています。

神社名 格式 祭神 備考
多岐原神社 内宮 摂社 真奈胡神  



近畿自動車道の工事が付近で行われており、この静かな自然が、景観も含めて失われることが心配です。
この近畿自動車道は、大阪府松原市を起点とし、和歌山県を経由して三重県多気郡勢和村の
伊勢自動車道勢和多気ICに至る延長約340kmの高速自動車国道です。


    

多岐原神社から来た道をそのまま戻ります。宮川を渡ったところまで戻り、そこから国道42号線を
南下します。距離にして約3.3Kmのところに古くから皇大神宮の遙宮(とおのみや)と呼ばれる
内宮の別宮、滝原宮に到着します。敷地は外宮、内宮にも劣らぬ広さとなっています。
参道には太い杉木立が並び、神寂びた感じを醸し出しています。参拝者の方はいなかったので
独り占めしている感じがしました。その分神様の清冽さをより感じることができていたような気がします。


    

参道を進むと欄干のある橋がありました。奥に見えるのはお札授与所です。
お札授与所の手前の道を右に曲がると御手洗場となっている川に降りていけます。
大内山川に注ぐ頓登川(とんどがわ)です。自然そのものの川です。清く澄んだ水でした。
ここで手を洗い、お社に向います。


    

神域の一段高くなった場所に、滝原宮の所管社として若宮神社、長由介神社、川島神社があります。
写真左は、若宮神社です。祭神は若宮神で滝原の地に縁のある水分神です。その左隣にある建物は
御船倉です。御正殿の古い御船代(ご神体をおさめる御樋代"みひしろ"を入れる御箱)が納めてあります。
 なぜこの宮にだけ御船倉があるのか、これは本宮(内宮)に御鎮座される前にここに天照大神を祀る宮
があったということと深いつながりがあるのではないかとも考えられます。

写真右は長由介神社と御同座の川島神社です。長由介神社の祭神は滝原宮の御饌の神です。

神社名 格式 祭神 備考
若宮神社 滝原宮 所管社 若宮神  
長由介神社 滝原宮 所管社 長由介神
川島神社 滝原宮 所管社 川島神 長由介神社ご同座



    

次に参拝させていただくのが、滝原宮と滝原竝宮(たきはらならびのみや)です。
どちらの宮も内宮の別宮となっており、祭神は天照大御神となっています。
倭姫命が天照大御神の鎮座地を求めて大和から来られたとき、この地に宮殿を建てられた。
その後、更によい地を求めて、五十鈴川の川上に至ったと「倭姫命世紀」には伝えられています。
写真右が滝原宮、写真左が滝原竝宮です。伊雑宮と並んで別宮の中では格式の高い宮となっています。

神社名 格式 祭神 備考
滝原宮 内宮 別宮 天照大御神御魂  
滝原竝宮 内宮 別宮 天照大御神御魂



    

滝原宮と滝原竝宮を並べて写してみました。帰り道、お札授与所に笹の枝についた鯉のぼり
が立てかけてあったので、写真を撮ってしまいました。そういえば5月5日は子供の日で、伊勢神宮では
外宮と内宮で神楽を行うとともに、この和紙で作った鯉のぼりを授与することになっています。
一度子供の日に伊勢を訪れるとわかると思います。確か1本300円で授与されていたと思います。



    

滝原宮の一の鳥居を出るとそこは、大宮町(現 大紀町)の道の駅「木つつ木館」とその駐車場と
なっていました。土地の工芸品や食品の販売が行われています。今日はGW期間中ということで、
建物の外で模擬店が出店され、歩きつかれてお腹が空いていた私は、焼きそばとたこ焼きを
それぞれ1パックずつ平らげてしまいました。ここから松阪に戻るのですが高速バスが1時間に
1本しか走っていないので、しばしこの道の駅で待つこととしました。

大宮町、紀勢町、大内山村が合併して、平成17年2月14日に大紀町となりました。
この写真を取った時点では、まだ歩いた場所は大宮町でした。町村合併が三重でも今後続くようです。


    

松阪までの高速バスにのり松阪に戻ってきました。所要時間は行きのときと同じく1時間弱でした。
まだ夕方までには時間がありましたので、ちょっと街の中を歩いてみることとしました。

松阪市は映画監督の小津安二郎が生誕した地です。この写真は小津安二郎青春館です。
小津作品の映画の看板が掲げられています。ここには監督の青春時代を彷彿させる品物や関係写真などで
当時を再現しています。毎週金、土、日、月と祝日が開館日となっています。入館料は無料ですが、
資料代として100円ということです。場所は松阪市愛宕町二丁目となります。


    

次は愛宕山竜泉寺です。真言宗に属し、その本尊は火防の霊神「愛宕大権現」です。
山門は松阪で最も古い建物となっています。毎年1月24・25(初愛宕)には、堂内や境内で護摩をたき、
町内(区内)・貴家の火防・開運招福を祈る火の祭を行っています。場所は松阪市愛宕町三丁目となります。


    

翌日も松阪を散策しました。昨日の天気とはうって変わり、真っ青な晴天でした。
ホテルの部屋からも屋根が見えた岡寺山継松寺を訪れました。ご本尊「如意輪観音」は俗に厄除観音として
親しまれる日本最古の厄除霊場となっています。聖武天皇の勅命で建てられた由緒正しいお寺です。
通称「岡寺さん」、「岡寺観音」と呼ばれ、地元の人に親しまれているお寺です。年に5回の例祭があり、
県内はもちろん、東海、毎年三月初午の日を中心に前後三日間にわたり「初午大祭」が行なわれ、
近畿の近県から約20万人もの参拝客が訪れるということです。



    

昔懐かしい風情のある町並みが保存されているとして魚町界隈を歩いてみました。
写真左は松阪牛といったら、和田金か牛銀かと言われますが、その牛銀本店の店構えです。
赤い漆喰がなんともお洒落な感じがしました。

写真左は江戸時代の木綿問屋「丹波屋」です。千本格子、雨おとしのがんぎ、黒塗りの土蔵、
うだつの上がった屋根と当時の松阪商人の活躍が感じられる構えです。



    

最後は、松阪に来たらここは絶対にはずせない、松阪城址と御城番屋敷です。
松阪城は、今から400年ぐらい前(天正十二年)に、豊臣秀吉の命により、名将蒲生氏郷によって
今の四五百森に築かれたお城です。春には桜や藤、秋にはイチョウなどの紅葉が美しく、公園として
市民にも親しまれています。

写真右は御城番屋敷です。松阪城の搦手門から静かに続く石畳の道。ここには、江戸末期に松阪城の
護衛をまかされた紀州藩士が、住んでいた二列十九軒の武家屋敷があります。実際に今も民家として
お住まいになっている方もいらっしゃいます。


伊勢路の記録へ