五十肩
五十肩は腰痛と同じぐらいに来院数の多い疾患であり、はり、灸が良く効く疾患であります。.
なんとなく重苦しい,というものからズキズキ痛む,動かすとズキ−ンと痛む、と云うものまで、程度の差から、痛む部位まで人によってさまざまです。
原因は、肩関節に石灰の沈着があるとか、骨の変形だとかいわれていますが、肩関節の回りの筋肉の拘縮(固まった状態)や炎症であると思います。
この拘縮の程度で治り方も違って来るようです。ほとんど拘縮が無い場合は、1回〜数回の治療で痛みが取れると動き方も一変します。
拘縮が強い場合、痛みは取れても動かないということになります。この拘縮をとるには、アイロン体操、風呂で温めての自動運動、痛みと反対に動かす操体法。治療院でのはり、灸、マッサージなどがありますが程度によって回復はかなり違います。
拘縮がひどく、動かないものでも痛みは取れますので早めの鍼治療をお薦めします。
五十肩と糖尿病
五十肩と糖尿病には、大いに関係があります。。
鍼灸の治療院に、糖尿病の治療を受けに行こうと、最初から思う人は、あまりいないと思います。
私が糖尿病の治療を始めたのは、五十肩の治療で来た人が、五十肩が治った時に「先生、糖尿病も治るでしょうか?」と聞かれて、「治ると思いますよ。」とこたえて始めてからです。
何故か、五十肩の治療から、糖尿病の治療を始める人が、数人続きましたので、五十肩と糖尿病の因果関係を考えてみたのです。
簡単に言ってしまえば、血糖異常は、慢性的な運動器疾患(筋肉痛、神経痛)を起こすという事です。つまり、糖尿病(血糖異常)は五十肩だけでなく、運動器全般に関係するという事です。
しかし、膝関節などの痛みなども、血糖異常と関係はあっても、治り方が五十肩ほど劇的ではないので、膝通が治った後に、「糖尿病も治療してください。」ということにならないのでしょう。
それほど、五十肩は治療効果が見えるわけです。
糖尿病は、ある程度食事をコントロールして、軽い運動、それと鍼灸で改善します。
腰痛
はり灸の治療院で扱う疾患では、腰痛が一番多いと思います。そして、よく効きます。
「一回で治ってしまった。」と聞く事があるかもしれませんが、全ての腰痛が一回で治るわけではありませんが、1回から数回の治療で改善します。
腰痛と一口に言っても、いろいろなパターンがあります。慢性腰痛、ギックリ腰、椎間板ヘルニア、分離症、すべり症、などなど。
この中で分離症、すべり症は骨折から来るものなので、はりきゅうの適応ではないかもしれません。
慢性腰痛は、鍼灸が良く効きます。
ギックリ腰の痛みは激烈ですが、治りも早いです。
坐骨神経痛を伴う椎間板ヘルニアは手術をしない方が治りが良いようです。
ひどいギックリ腰はやがて慢性腰痛に移行するようです。きちんと直さなかったので癖になったと、よく言いますが、捻挫などもそうですが、一度伸ばした靭帯は元に戻りません。
腰のほうも痛めたところは弱くなるのでしょう。疲れがたまると痛みになります。疲労のバロメーターだと思って、疲れをためないようにしましょう。
前屈時に痛む、後屈時に痛むもの、痛みにも違いがありますが部位は違っても全て筋肉痛です。病院に行ってもレントゲンを撮られるだけで、何の治療もありません。
マッサージも効果は1次的ですし、痛む腰をひねっても返って痛めるだけです。
腰痛の場合、余程のことが無い限り、傷む部分に鍼を打つようなことはありません
坐骨神経痛
坐骨神経痛も治療院でよく扱う疾患です。
男性、女性共にありますが、女性のほうが治りが悪いような気がします。女性の場合比較的若い女性でも難治です。男性の場合、かなり高齢の方でも治っていきます。東洋医学では、男は気、女は血。と言います。同じ坐骨神経痛という名前で来ても、本質的なものは違うのかもしれません。
坐骨神経痛の原因は、ほとんどが椎間板ヘルニアだと言われていますが、椎間板に異常が無くても坐骨神経に沿って痛むというものがあります。
梨状筋症候群とよばれるもので、坐骨神経が臀部に出るところで、梨状筋に圧迫されて痛むものです。こちらは、筋肉が主ですから、治りは早いようです。
治療は、坐骨神経の走行にそって圧痛を治療点にしますが。治りの悪い時は痛みの無いほうに治療点を探します。古典に「病右にあればこれを左に取る。」というのがあります。巨刺の法といいます。
巨刺に変えてから、快方に向かった例はたくさんあります。
腰痛に伴って痛むものや、足だけ痛むものなどさまざまですが、やはり、鍼治療がよく効くようです。
股関節痛
股関節痛も中年以降の痛みや、お産の後からの痛み、先天性股関節脱臼などによるものなどさまざまです。
先天性股関節脱臼の可動の制限は、難しいものもあるとは思いますが、痛みに関してはかなり改善します。
股関節の痛みや、術後の可動制限や違和感などに、鍼灸は治療効果を挙げています。
先天性股関節脱臼の手術後に、可動制限のあった患者さんで、可動域が大幅に改善した例もありますので、股関節で苦労されてる方は、是非お試しください。
ひざ関節痛
ひざ痛で来院する患者さんの多くは高齢の方です。
病院で痛み止めを注射したり、ひざの水をとったりした後に来院する方がほとんどです。
スポーツ選手のように若いうちにひざ関節痛が出る人もいます。早くはりきゅうで治療する事をお薦めします。
他の病気もそうですが、早いうちのほうが治りも早く、歴史のある膝はやはり治りも遅いです。
当院では症状によって違いますが、はりと灸を併用して効果をあげています。
局所にお灸をする圧痛点治療。反応良導点治療。患部から離れた場所に治療点を探して治療する経絡療法や経筋療法。冷えている膝の場合の打ち抜きの灸。など場所や痛みによって治療方法も多彩です。
最近の治療例で80歳以上の高齢者で、体重も重く、変形も強い患者の痛みがかなり軽減されています。足首のほうにお灸をするのですが、かなり高い確立で痛みが軽減しています。
膝のお灸をしていると何故か風邪を引かなくなります。お灸にはそれだけで免疫力を挙げる効果があります。
頚腕症候群
頚の回りの筋肉が硬くなる事によって、血流障害が起こりその為にいろいろな症状が出る。(頚の痛み、腕の痛み、肩の凝り、腕の冷え麻痺、指の麻痺.etc。)
このような症状は頚筋を緩める事で血流を改善し、痛み、痺れ、麻痺を治します。こう云う治療は、はり灸の得意とするところです。
数年間麻痺していた母指、示指が動き始めた。10年間痛んだ頚が楽になった。等の症例があります。
寝違い
中国では落沈といい、朝目を覚ましたら首が動かずに、強烈な痛みに泣きたいほどです。
前記の頚腕症候群の中に入るものかもしれません。
寝違いを治すには、最初のうちは絶対患部に触らない事です。鍼治療は脚、腹、腕のほうに治療します。マッサージをするなら、患部の周りの筋肉を緩めるような治療をします。
手の甲に落沈というツボがありますが、これも良く効くツボです。
ばね指
ばね指の原因は医学辞典を見ても出ていません。
使い過ぎの腱鞘炎なのでしょうか?鍼灸では、腕、肩、頚、背中の筋肉の凝りを目標に治療します。それと、東洋医学特有の考え方である、おけつ症が関係しているようでもあります。
おけつというのは、内出血や、手術の時の腹部に残った血液、(血液の役目を終えた血液、非生理的血液)のことで、腹部にたまっていろいろな病気を引き起こしたり、治りを悪くしたりするのです。
おけつは肝臓の経絡とおおいに関係があり、肝臓の経絡はスジを主る。といわれています。ばね指の原因はおけつかもしれませんね。
腱鞘炎
上記のばね指も腱鞘炎のひとつでしょうが、腱鞘炎もいろいろで、最近多いのは赤ちゃんを抱いていて拇指のつけねが痛むというもの、また手首が痛むものなどあるようです。
これらは、みな筋肉の使いすぎによる、炎症や硬化が原因だと思われます。鍼治療の良く効く疾患だと思います、早めの治療をお勧めします。
ヘバデン結節
腱鞘炎とは違いますが、指先の関節が変形して痛みます。閉経後の女性の、手の使い過ぎによるものだと言われています。
治療は、腱鞘炎と同じような治療で、痛みの軽減がはかれますが、変形は治りません。
捻挫
足関節捻挫は、湿布して時間が経たないと治らないだろう、と思っている人が多いと思いますが、じつはこれにもお灸がよく効きます。捻挫の中心部で最も圧して痛いところに、少し大きめのお灸を一つします。腫れているときは、晴れの周りに1cmぐらい置きに小さなお灸をします。その後、脛(すね)の外側の筋肉とふくらはぎをよく揉みます。腫れのひきも早く、治りも早いようです。
リウマチ
リウマチとは何か?と言うと、ギリシャ語で「流れる」という意味で、日本語だと「わからん」ということだと、澤田流の故澤田健先生は仰ったそうです。実際には、冷え込みであるとも言われたそうです。
当院ではリウマチの治療を冷え取りと免疫【扁桃】の強化を主に、鍼灸中心の治療をしています。
故長野潔先生は、リウマチは扁桃を元病巣とする二次疾患であるとおっしゃっています。
医科歯科大の堀口申作教授は、鼻咽腔炎を治すとリウマチが軽くなったり治ったりすると言われました。
東大医学部の西原克成医師は、「咽頭扁桃リンパ輪」を傷めることが難病の発生と関係があるとおっしゃっています。つまり、リウマチに限らず、膠原病など現在の難病は、扁桃を元病巣にしているものが多いということです。病院でもリウマチ等には決め手がないようです、鍼灸を併用してみるのもいいのではないでしょうか。
当院では、扁桃治療(免疫治療)と自己免疫疾患の治療により、好成績を挙げています。
花粉症
花粉症は胃と腎の病として治療して好成績をあげています。免疫強化法とアレルギー治療で改善されています。
以前から、花粉症の治療を考えていましたが、初期の頃は目の周りのつぼや、眉間の印堂というつぼ、鼻の脇の迎香というつぼを使用していました。
顔面部にあるため女性には使いにくいつぼでした。そこで耳針に変えてみたところかなり効果が有りました。(目、内鼻、内分泌、といったところに留鍼して、副腎に円皮鍼をするというもの。)
現在の治療はこれとは少し違いますが、狙いはやはり副腎です。つまり腎の治療ということになります。
腎の治療という事は、冷えの治療です。花粉症の人は足の冷えている人が多いです。
「寒邪にあたって発病するものを傷寒といい、春に至って発病するものを温病という。」と古典にあります。
つまり、花粉症は体が冷えにやられ病状が春に出る温病であるといえます。では胃というのは何かと言うと花粉症の人が最も辛い、目と鼻を通る経絡です。
皆さんがやるべき事は、目薬をつけることではなく、マスクをする事でもなく、布団を干さない事でもなく、あくまでも身体を温める事です。
食べ過ぎ、水分の取り過ぎに気をつけストレスをためぬようにしましょう。
更年期障害
。更年期障害は、閉経に伴うホルモンバランスのくずれから起こる、さまざまな不定愁訴であります。なかでも、眩暈がつらいと訴える人が多いようです。
治療は自律神経のバランスをとる(副交感神経を刺激する)べく鍼灸をすると調子が整うようです。
かつてひどいめまいで、2年間も立ちあがる事が出来なかった女性の更年期障害を治療した事がありましたが、お灸が良く効いたと思います。
自律神経も整い、お灸効果で免疫も向上し、的確な経穴により脳の血流も改善されたものと思います。
つわり(悪阻)
つわりは妊娠3〜4ヶ月くらいにでるもので、だんだんと軽くなってくるものですが、人によっては絶えられずに中絶してしまう事も多いようです。昔、つわりの薬としてサリドマイドが使われて悲劇が起きたのは有名な話です。薬物はできれば使用しない事です。漢方薬は良く効く事があります。小半夏加伏令湯(しょうはんげかぶくりょうとう)が効くと聞いた事があります。漢方薬屋さんで聞いてみてください。はり灸の場合は足の裏にある裏内庭と言うつぼがよく効きます。足の裏の第二指の中央に墨をつけてその指を曲げてその墨のついた場所が裏内庭というつぼです。そこに熱くなるまで灸を据えます。
また、ハリではなんですから、つまようじで胸の正中線(胸骨〜みぞおち〜へそ)をちくちくつついても楽になります。特にみぞおちとへそのちょうど真ん中に中カンと言うつぼがありよく効きます。試してみてください。つわりというものは精神的なものでも大きく変化しますので、ご主人や同居している人たちの協力と理解が必要です。また、南天の葉か、実を2〜3枚か、2〜3粒噛んでから吐き出すと吐き気が止まるとありました。ちょうど庭に南天の木がありましたので葉を2枚噛んで見ましたが特に強烈な味があるわけでもなく、こんなので効くのかな?という感じです。
さかご
さかごの治療を何度か経験していますが、簡単に治るものから、難治なものまでいろいろです。35週に入っていて、胎児の腰がかなり下にさがってしまっていて返らなかったものや、子宮筋腫が邪魔して返れないものなどが失敗例になっています。本などには8ヶ月までに治しておかなければいけないと書いてありますが、臨月に入ってからでも治った症例もありますので、あきらめずに試すべきだと思います。
治療はいたってシンプルで、右足の小指の外側の爪の付け根にある、「至陰」と言うつぼに、胎児が動き出すまでお灸を据えます。
膵臓炎
慢性膵炎は、急性の膵炎から始まり、完治しないまま慢性に移行するものです。
腹痛、下痢、嘔吐が主な症状です。下痢、嘔吐は自然治癒力の一つですので無理に止めるのは良くありませんが、長く続くと体力を消耗します。臍を中心に温めるようにすると良いようです。