なんちゃってSEALS
第25話
ガンロッカー(押し入れ)の前で、ニヤけて立っている自分に気付いた。
「私は何故こんなところで笑って立っているんだ!?」
ガンロッカー(押し入れ)の前に立っていると言う事は、この中に用がある事に間違いは無いのだが、その用がなんだったのか思い出せない。
しかし、悩んでいても埒があかないのでガンロッカー(押し入れ)の扉を開いた。

中を見渡す・・・しかし、何に用があったのかわからない・・・。「ニヤけて突っ立っていた事だけでもかなりヤバいのに、何をしようとしていたのかまで忘れてしまってはかなりヤバいぞ!!」
自分に言い聞かせながら何度も見渡すが、全然思い出せない。「シィ〜ット!!」半分やけになりながら、詰め込んであるガンケースをいくつか引っ張り出してみた。
すると、見慣れないケースが1つ・・・。

「ん?これは何だ!?」ためしに開けてみると、中にはサイレンサー付きのステアーが!!
「こっこれは、イワンの新装備か!」驚きだった。ケースを見たとたん、イワンのものだとは思ったが、まさかAK以外のものであったなんて!

いんちきながらもロシア人であるイワンが、AK以外の銃を持つとは・・・。
見たところ、元々消音し易いステアーにロングサイレンサーが付いている訳だから、発射音がほとんど相手に聞こえないはずである。
発射音を聞き取られなければ、撃ち込んだ相手に気付かれるのが遅れるわけだ。
と言う事は、隠密行動を好むイワンにはもってこいの銃なのであろうか・・・。「ならば、私がこの銃を使うのもまた面白い訳だな!!」

この時私は、昨シーズンにイワンのBBシャワーをパクって使ったことを思い出していた。
1度あることは2度あるわけで、この銃を第2弾として、イワンより先に使用することに決めた!
「フフフ・・・久々に楽しくなってきたな。」
1度はどうでもよくなっていたことは確かだが、やはりイワンとの決着は着けねばならないし、陽炎のいんちき外国人枠にはこの私、なんちゃってSEALSの名前1つで十分な訳である。

とは言っても、私の楽しみは、イワンを出し抜く事のような気もしないでもないのが・・・。
取りあえず、ばれてしまっては元も子も無いので、ステアーをガンケースに仕舞い、ガンロッカー(押し入れ)内を元通りに片付けた。
「これで取り敢えずは大丈夫だな!おっと、バッテリーを充電しておかなくては・・・。」黒のBDUとベストをバッグに詰め込み、バッテリーを充電器に繋ぐ。
「あとはハンドガンのチョイスだな・・・。」ハンドガンケースを物色しながら、いまだに見たことも無いのに何故か思い描けてしまうイワンの怒り狂う姿を想像し、日曜日の準備を済ませたのだった・・・。  

                             つづく