美ケ原焼山口登山道


 武石村の観光センターの少し上にこの標識が立っていた。
新緑の頃この道を少し歩いてみたところ焼山沢川の左岸ぞいに山道が続き、道端には白や紫の大きなエンレイソウの花がたくさん咲いていた。今まで見たことがなかった白いみやまかたばみの花も。
沢全体が色とりどりの新緑につつまれ、沢の音や鳥の声でにぎやかなこの登山道を登ってみたくなった。
上まで一人で登ったのは三十山を決めた年の六月末だった。
セミしぐれというのか、初夏のセミが一斉に鳴いていた。沢の音と鳥はキョロロロロ・・という駒鳥?の声が耳に入ってくる。
沢添いの暗い林を抜け,しばらく枯れ沢のような道を登ると焼山滝が現れた。かなり大きい滝だ。正面と右手からと、流れていた。梅雨時のせいか、かなり水量もあり美しい滝だった。
巻き道があって安全に滝の上に越せた。
道端にはマイヅルソウや花のないゴゼンタチバナなどがあり標高も上がってきたようだ。
滝の上は両岸がぐっとせばまってきたが、沢底はナメのようになっていて、道はその左岸にへばりつくようについている。
傾斜が緩くなり、沢の水が少なくなってくるとダケカンバの林、沢を離れさらに針葉樹林帯となり、その中をくまざさを刈り払った道が続き、疲れていつ着くのか不安になってきた時、樹林が明るさを増し、牧場の柵の一角に着いて、美ケ原台上の広々としたなだらかな牧場とアンテナ群が目に飛び込んできてほっとした。

 美ケ原は観光地化されて登山の対象外だと思っていた考えが変わり、三十山の中でも山体の大きな山は、色々な道から登らなければ、と思うようになった。(1992,6,22)

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