27-10権利  遺言・遺留分
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【問 10】遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 自筆証書の内容を遺言者が一部削除する場合、遺言者が変更する箇所に二重線を引いて、その箇所に押印するだけで、一部削除の効力が生ずる。

2 自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない。

3 遺言執行者が管理する相続財産を相続人が無断で処分した場合、当該処分行為は、遺言執行者に対する関係で無効となるが、第三者に対する関係では無効とならない。

4 被相続人がした贈与が遺留分減殺請求により全部失効した場合、受贈者が贈与に基づいて目的物の占有を平穏かつ公然に20年間継続したとしても、その目的物を時効取得することはできない。
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解答解説 正解 4
 1・2は、常識的に誤りであることがわかる。が、3・4は判例で、難しい。これは、落としてもやむを得ない。
1 × 自筆証書遺言の一部削除が、変更箇所に二重線を引いて、押印するだけでできてしまうなら、自筆証書遺言は容易に変造できてしまう。
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを
変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない(民法968条2項)。よって、記述は誤り。

2 × 自筆証書遺言の押印の要件につき判例は「遺言者が、自筆証書遺言をするにつき書簡の形式を採ったため、遺言書本文の自署名下には押印をしなかったが、遺言書であることを意識して、これを入れた封筒の封じ目に押印した場合には、自筆証書遺言の押印の要件に欠けるところはない(最判平06.06.24)。」とする。
つまり、遺言書と意識した文書のどこかに押印すれば、自筆証書遺言の押印の要件を満たす。よって、記述は誤り。


3 × 遺言執行者が管理する相続財産を相続人が無断で処分した場合、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。(民法1013条)」と規定し、遺言者の意思を尊重し、遺言執行者をして遺言の公正な実現を図った法の趣旨からすると、当該処分行為は、無効となる、とする。よって、第三者に対する関係では無効とならないとするのは、誤り。
最判昭和62.4.23


4 ○ 判例は、遺留分減殺請求の対象となる物の受贈者が、贈与に基づいて目的物の占有を平穏かつ公然に20年間継続したとしても、遺留分権利者が遺留分減殺請求をした時には、その目的物を時効取得することはできない、とする最判平11.06.24)。よって、正しい。
類題
自筆証書遺言の内容をワープロで印字することはできない。22-10