その8
2004年6月7日月曜日
バスを降りてすぐの場所。 空港から外へ出ると、いきなり日本語でどこへ行きますか?ホテル決まってますか?と男が寄ってきた。怪しいので無視。僕はすでに乗るバスが判っているので、目的の番号「602(東大門行き)」乗り場を探した。切符売り場を探すも、前回の旅行と違って販売がない様子。

 バスが到着。乗り込むときに運賃を支払う方式だった。いくらなのか聞いたが、聞きとれず。とりあえず1万Wを入れ、奥に進もうとすると運転手に止められた。おつりが別の箱(金属で出来ている)から出ていたのだ。なんだか恥ずかしくなって、おつりをがっと掴むと何事もなかったように席に着いた。冷静になってみると、運転手がバス料金を「7千W」だといっていたことに気づく。

 僕の座った席の隣は韓国人女性。大学生風でハードカバーの小説を読んでいる。車内のあちこちで携帯電話の着信音が鳴り響くにぎやかな状態。

 車内のTVでは映画のプロモーションを延々と繰り返している。「踊る大捜査線2」も流れていた。前回のバスと違ってアナウンスは日本語どころか、英語もなく、すべて韓国語。ただし、僕は地名(正確に言うと地下鉄駅のある地名)のほとんどを覚えてしまっているので不安はなかった。心配なのは東大門までの所要時間。現在約6時。予想通りなら8時少し過ぎにホテルにチェックインできているはずである。

写真奥の瓦屋根が東大門。 7時30分。前方に東大門が見え、更にアナウンスで東大門と聞こえたので、降りる準備をする。思ったより早い。が、止まった場所が変。東大門のかなり手前で、これではチョンノ5街ではないか!しかしながら次の「東廟前」だと止まり所によっては、ホテルに行くのに苦労しそう(前回の旅行で東廟の辺りを歩いているので判るが、結構坂が多い)だったので、ここで下車。それにしても手前過ぎる。

 少し歩いて場所があいまいになる。原因はすぐに判った。チョさんから聞いていた工事のせいである。東大門を昔の姿に戻そうと、あの特徴的だった高架橋を除いて、河を掘っているのだ。僕はその高架橋を目印にしていたから、風景の変わりように戸惑った。

 気候は日本よりも湿気が少なく(それでも4月に来たときよりはじめっとした感じはあるが)過ごし易いと思う。しかし、気温が高いせいか、全体的に匂いがきつい。匂いというのは排気ガスの匂いと、食べ物の匂いだ。ソウルを歩く限り、この2つの匂いから逃れるのは難しそうだ。

 チェックインはスムーズにいった。303号室。部屋に着いて荷物を置くと、45分くらいだった。8時にチョさんに電話することになっていたので、残り時間でシャワーを浴びることにした。シャワーを浴び終えたちょうどそのとき、部屋の電話が鳴り響く。電話の主はチョさんだった。タイミングよすぎる。今1階にいるそうだ。急いで出かける支度をして下に降りる。天気予報では曇り時々雨だったので傘も忘れずにリュックにしまった。

 懐かしい顔。挨拶を交わし、歩き出す。このタイミングのよさは、ちょうど本を買いにキョウボ書店に出たついでだったので、そろそろチェックインした頃かと訪ねてくれたのが、ぴったりと合ったわけだった。


 地下鉄6号線東廟前駅から出発。地下鉄駅に向かう途中、チョさんに子供がぶつかる。しばし嫌な沈黙。子供は謝りの声を残して去って行った。

ぺ「ちゃんと誤るからいいですよね。こっちの子供なんてひどくて」と、愚痴。
チ「ため口ですか?(笑)」
ぺ「ええ、パンマルですよ、パンマル(笑)」


 地下鉄駅で切符を買おうとすると、今日はこれを使ってください、とチョさんがクレジットカードを貸してくれた。前回の旅行で僕が感動したシステムを体験できることになったのだ。チョさんに見本を見せてもらってから通る。本当にかざすだけ(というよりセンサーに置くだけ)だ。便利。だが、このクレジットカードも7月からの公共機関料金の変更のせいで使えなくなる、とチョさん。新しいシステムに対応したクレジットカードに変更になるのだ。

 前日行われていた「ミリタリージャンク市」の話。チョさんはミリタリー系食玩のお店で2日間で結構稼いだが、ほかのお店は悲惨な有様だったとか。イラストレーターの上田信さんも来場していたそうだ。天気もよかったようで、チョさんはおかげで両腕が日焼けで赤い。ほかの人に目をやると雨を警戒しているのか皆荷物に傘を装備していた。

江辺駅のホームから交差点を望む。 2号線に乗り換え、目的地江辺駅を目指す。ここに美味い焼肉店があるのだ。2号線は途中で地下鉄から地上鉄に変わる。外はすでに真っ暗になっていた。僕は外の景色を見ながらいろいろと質問。僕は古い建物が好きだ。古いおもちゃ屋も残っているに違いない。この辺りはまだ再開発されてない。今回のターゲットには入っていないが、2号線はかなり狙い目かもしれない。

 携帯電話の質問。空港からホテルまでの間、いたるところで見かけた「CYON」というメーカー。CMによるとカメラは当たり前で、MP3プレーヤー内臓を売りにしているみたいである。チョさんによるとメーカーではなく、LGの方式名らしい。今1番のシェアだとか。「KB」というマークもよく見かけたので聞いてみると、そちらは銀行だった。で、チョさんが自分の携帯電話を見せてくれる。裏蓋をとると、小さなチップにKBマーク。なんと!携帯電話でATMからお金を引き出せるのだ。便利である。

 江辺駅到着。交差点を見下ろす窓があったので、写真を取る。街灯の下には屋台が見える。ここも夜がにぎわっていそうだ。

 街灯の下を虫がぶんぶん飛んでいる。カゲロウらしく、かなりの数だ。チョさんによると河の近い江辺特有の光景だそうだ。写真を撮り終え、しまおうとすると、レンズに巨大なカゲロウが!!

この右下のものが、カゲロウです。(笑)20:33撮影。
うわーっ。

 韓国で美味しいお店の目印は、ムクゲの花マークが目印。今回は僕の誕生日、ということでちょっとした高級店。名前は「土城」。駅から10分ほどの距離で、日本語のメニューもある。東ソウルホテルが外国人専用、と言った趣なので、近くのこの店もそれに対応しているようだ。僕が食べた量は味付けカルビ2人前。テンジャンチゲとサラダ、デザートがついて3,500円ほど。
20:47撮影。
↑最初の肉。
その後、うっかりして写真を撮り忘れ。
この写真ではその豪華さを図れないと思う。

 2人とも、お腹いっぱいになってしまい、雑談。肉をかなり焦がしてしまう。店内は酔った客で騒がしくなったので、食休みを兼ねて散歩に出た。チョさん、ご馳走様でした。
21:41撮影。


 テクノマート方向へ。公園は、まだ学生や親子連れがたくさんいる。心が和む。テクノマートは夜8時までなのでもう閉まっているが、ライトアップはそのままだ。この交差点は屋台であふれている。

チ「許可を受けているのがこちらの屋台で、向こう側は無許可なんですね」
ぺ「でもここも東大門に劣らず、楽しそうですね」前の旅行のときもここで長居すればよかったと後悔。
チ「今は暗くて判りませんけど、こちらの屋台は認可を受けた番号が入っているはずです」

チ「例の市場では、食べ物に気をつけてくださいね」
ぺ「何を行っているんですか。大丈夫ですよ。僕は昭和の生まれですからね、子供の頃は道に落ちてたものまで食べてましたよ(笑)」その市場には明日の朝1番で向かおうと思っている。


 近くのおもちゃ屋の話になり、そちらに向かうことに。と、途中で偶然、チョさんのお母さんと弟さんに遭遇。挨拶を交わすと盛んに話しかけてくださるが、残念ながら聞き取れない。チョさんによると買い物に出たところだったそうである。すみません。僕が完璧なのは挨拶だけ(自他共に自信あります。笑)で。にこやかに対応していただいた笑顔が忘れられない。

 おもちゃ屋、というのはマンションに併設されている商店の1つ。僕が初めて韓国で目にした模型店もこの形態だったので、原点に戻った感じだ。チョさんの話を聞く限り、僕の目的からすると、このマンション併設がぴったりな気がする。中に入ると元は文具店のようだ。少しのプラモデルとおもちゃ。
21:51撮影。
謎の戦隊物。
僕同様、チョさんも最近TVを見ていないので、これが何かは判らない様子。
日本で見たことがないデザインなので韓国オリジナルと思われる。
また、環境を護る戦隊らしいので、
韓国アニメと共通のテーマ。間違いない。

21:51撮影。
遊戯王のおもちゃ。
これは輸出用のものであろう。日本で目にしたことはない。

 まだやっているところ、ということでテクノマート地下の「ロッテマート」へ。

チ「ロッテマートって名前ですけど、2年前まではマグネットっていうさえない名前だったんです」

 マグネット…人をひきつける、という意味だろうか。直球だ。ここは荷物をロッカーに預けないと入場できない。中でいろいろ物色。おもちゃコーナーは少ないがこの店は一通りなんでも置いてある。

 チョさんはここのDVD売り場で昔の刑事物TVドラマのDVDボックスを見つけて盛んに欲しがっていた。非常に人気があった作品らしい。ただ、ここよりもテクノマート8階のほうが安いので、今は買わないらしい。確かに安さでそこはダントツだと思う。

 本のコーナーでは、僕の興味である、韓国人向け日本語テキストを探すが、置いてなかった。残念。仕方ない、ちゃんとした本屋で探すことにしよう。ほとんど通り過ぎる感じでロッテマートを後にした。


 東バスターミナルへ。ここは土日になると、さまざまな部隊の軍人であふれ返るとか。バスターミナルにも売店があり、そこに2件、おもちゃが売っていたらしい。残念ながら時間が遅かったので、シャッターが降りている。トイレを済ませ、まだ開いているEマートへ向かう。Eマートは郊外型の巨大スーパーマーケットで、夜12時まで営業している。僕は話に聞いていただけで行ったことがなかったので、よい機会だ。
22:18撮影。
東バスターミナル売店前に貼ってあった
警察のポスター。
組織暴力なき安全な社会、警察が作るでしょう
組織暴力追放!申告・情報が決定的です」


 10時40分ごろ、バスで移動。市内バスに乗るのは2度目だ。7月で料金と共にバスの色も変わる。移行期間中なので様々の色のバスが止まっては通り過ぎる。目的のバスが到着し、乗り込む。チョさんは自分のカードで2人分にしてくれた。

右前方の背もたれの色がほかと違う。
シルバーシートなのだ。
チ「守っている人はさほどいませんけど」
ビデオカメラで撮り始めるが揺れがひどい。
チ「(画面が)戦争映画みたいになってしまいますよ」
ぺ「プライベートライアンみたいになって(笑)」

ぺ「あの建物は?」
チ「あれは橋の一部です」
ライトアップされた建物に茶色のモニュメントが。
チョさんが説明してくれる。
そういえば聞いたことがある。
橋にあのモニュメントをヘリで乗せようとして、誤って墜落。
結局数名が死傷し、モニュメントも壊れたまま設置されてしまったのだ。
チ「高い金を払って。見た目ウンチですよ。死んだ兵士の訓練費用だって何億かかったんだか」
バスはひた走る。街は灯が落ちて暗い。

途中のバス停で女学生が多数乗車。
車内は女学生スメルでいっぱい。
僕の部活動帰りという予想に反し、塾帰りとのこと。
「楽しむ部活」は韓国で珍しいらしい。

ガラスにセーラー服が多数映りこんでいる。
ぺ「マクドナルド(手前)とロッテリア(奥)がこんな近くに」
韓国ならではの風景。
チ「ロッテリアは田舎のイメージなんです」
ロッテリアは田舎に行ってもあるが、
対してマクドナルドは新しく、都会にしかないので、
今、韓国人はよほどのことがないとロッテリアに行かないとか。
ぺ「僕はロッテリアのほうが好きなので、韓国では変な人になってしまいますね(笑)」
チ「でもTVCMはロッテリアのほうが面白いんです。変な会社です(笑)」

ところどころ市場らしき通りを目にする。
「建大」付近は建物の高さが低く、古い建物がたくさん残っている。
ここも狙い目かもしれない。


バスが到着。降りた直後。


「ソンストンEマート前」バス停。


右側の建物がEマート。でかい。
ここもロッテマート同様、荷物をロッカーに預けないと入場できない。
形態からするとロッテマートがEマートをパクったのか?
そっくりである。

店内の移動は買い物カゴでなく、カートが中心。
そのためエスカレーターも傾斜のゆるいベルトコンベアー型で、
カートごと移動できるようになっている。
1階が食料品中心で2階へ向かうとおもちゃコーナーが。

 そこで見つけた「韓国ならでは」のお勧めおもちゃ。レゴを模したブロック式で、ダイヤブロックよりはレゴに近い。価格も手ごろでお土産にぴったり。↓

韓国陸軍対空戦車セット

韓国陸軍救護車セット

韓国陸軍戦闘車両セット

韓国陸軍K1A1主力戦車

 恐らくはこの右上の白い数字が定価。Eマートの割引率はなかなかである。チョさんの説明によると、軍服の階級章が非常に正確だとか。隊長がサングラスをかけているのも。(笑)

特攻警察(韓国版SWAT)セット

特攻警察犯人つきセット

 僕は犯人つきのセットの「いかにも犯人」な顔が気に入った。

 これもお勧め、ミニカーセット。↓

警察交通車両セット

警察パトカーセット

消防車セット

Eマートセット

 ほかは1/24カウンタックのプラモデルが気になった。アカデミーの黒歴史と思われるが、元となったのは大滝だろうか、田宮だろうか?僕は問屋で買えばいい、と思い、ここでおもちゃは買わなかった。

ゴルドランが。かなり前にも韓国で見た気がするが、再放送があっての再販だろうか?

 3階へ向かう。エスカレーター前のペット売り場でしばし見入る。猫がいたらなー。猫が好きな僕は面白くない。チョさんによると韓国語で「野良猫」に相当する言葉はなく、「泥棒猫」が近いニュアンスだとか。まだペットのイメージではないのだ。

 3階は家電製品中心。あまり見るべき物もなく、ここを後にした。帰りは地下鉄で。「聖水駅」まで歩く。この道は暗く、寂しい。チョさんもこの時間の1人歩きはお勧めできない、といっている。


 野良猫発見。カメラを向けようとするも、ものすごい速度で逃げられてしまった。最近どこの野良猫にも逃げられて悲しい。まさか韓国の猫にまで逃げられるとは。「可愛い」の発音について。可愛いの韓国語「キョッタ」は、発音が悪いと「性交」の意味に聞こえるらしい。危険だ。気をつけよう。
23:40撮影。23:42撮影。
↑赤レンガ造りの古い建物。
まだ再開発されていない地域だからこその風景。

常々気になっていた、街のいたるところに置いてある新聞(?)について。
この道沿いにも置いてあった。

チョさんによると、無料情報誌らしい。
1部もらってきた。日付が僕の誕生日なのが、なんとなくうれしい。
僕が見かけたのはほかに3種類くらい。


「蚤市場(蚤の市情報、といった感じか?)」というタイトル。
「ソントン(聖洞)」と書かれていることから、地方版であろう。
中身は広告だけで構成された新聞で、全96ページ。
表、裏の各1面だけがカラーで、ほかはすべてモノクロだ。

一例を示す。↓

非常に判りやすいと思う。(笑)
豚が「デジ」でなく「トン」となっているのが、日本風でかっこいいのでしょうか?

不況のためか金融広告も多い。
チ「これで詐欺があった、というニュースもあったんです」
映画の上映時間から不動産情報まで、韓国語が読めれば結構楽しめると思う。

チ「これは面白いですよ」
チョさんに訳してもらって爆笑。
23:42撮影。
3日で免許が取れる!」

「運転免許学科+技能=3日完成26万W等と書かれて。
交通事故件数世界一の国で、これはないでしょーっ!(笑)
「いい味だしてる」送りですな。

このポスターは電柱に貼ってあり、下のほうはちぎって持っていけるようになっている。
チ「通称、イカの足、と呼ばれてます」
住所的に、この写真の教習所はありえないそうで。
ぺ「怪しい…」

23:47撮影。 こんな真っ暗な道なのに明るく、にぎわっているお店を発見。

チ「ああ、あれはデジタル競馬ですね。賭博です」

 不況になると博打が流行るというのは、どの国でも同じだな、と思う。中がちらりと見えたが、巨大スクリーンに高解像度のTVゲーム競馬、という画面だ。フルデジタルなら、確率は胴元の思うがままであろう。よく熱中できるものだ。

 程なくして聖水駅に着いた。駅にはわずかに屋台が点在している。

チ「今やっている物というと食べ物屋台くらいですけど、どうします?」
ぺ「もう12時ですし、そろそろ解散にしますか」チョさんも疲れているであろう。名残惜しいが本日はここまで。雨はまったく降らなかった。この様子なら、明日からもいらないであろう。明日は体力勝負だ。


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