<「造り」の写真>
 柵をまたいで向こう側へ移動する、N西君。
ペ「おし、オーケー」

 柵の向こう側は一段下がってまだ30pほど地面があり、その先が絶壁状態になっている。水面までの高さは80pくらい。まさに堀だ。

N「何で柵のとこなんですか」
 
ぎりぎりの危ない写真を撮りたかったのだが。
P「ああ、上にしてよ。足が短くに見える。そうすると」
N「はい」と、いって一段上に登り直す。僕とI川君、爆笑。N西君、はっはっはっ、と乾いた笑い。
N「いや、隠れているから長く見えるんじゃ…」
I「(笑)Pさん、足短く見えるって」
 
ピントが合い、シャッターを切ると丁度フィルムが切れ、巻き戻しが始まる。
ペ「おし、撮ったよ」
 先ほど買った韓国の富士カラーフィルムを装填、続きを撮る。

 I川君は自ら面白い写真を狙って、ポーズをつけた。彼もすっかりハイになっている。

 次は僕の番である。N西君が最初に立っていた所から水面を見る。こりゃぁ、思ったより深いぞ。水も冷たいに違いない。落ちたらニュースになること、必定。だが、ここに来るチャンスはほとんどないのだ。今撮っておかなければ後悔するに決まっている。

 僕は初めから「トゥーム・レイダー」の水から上がるシーンを再現しようと思っていた。人が少なくなった頃を見計らって、I川君に一眼レフを渡し簡単な操作法を教えると、まっすぐ堀へ。

うあっ、落ちる。

今、水から上がって来ました。
コマンド…↑+X
(トゥーム・レイダーPS版)
 しかし、いざその体勢をとってみるとつらい。地面が砂利で手のひらに食い込んで痛いし、腕がしびれてきた。こんなに体力が落ちていたとは。I川君は操作が上手く出来ないのか、なかなかOKを出さない。早くしてくれぃ、このままでは本当に落ちてしまう。

 やっとOKサインが出る。何とか撮影に成功した様だ。
 うぉっ!柵の向こうから戻って横を見ると、警官が2名巡回してきていた!

 あの体勢でいた僕を見つけていたら、どこかに連行されて厳重注意を受けたに違いない。本当に、間一髪だった。その警官が目の前を通過する時、ついうっかりと交換したフィルムの空き箱を落としてしまった。僕が「拾わないと」と手を伸ばそうとするが、先に拾われてしまい、「ちゃんとごみ箱に捨てろ!」という目付きでごみ箱へ捨てて去っていってしまった。捨てたつもりじゃなかったのに…。

 ここは歩いていると結構、警官がいることが判る。警備の他に管理もしているのだろう。

 さて、「サスペンスあり」の写真は撮れたはずだが、本当に写ったかどうかI川君は不安な様で、僕にもう1度正しいやり方を確認していた。調べたところ、どうやら大丈夫の様だ。
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