医療過誤事例報告
大腸癌手術に伴い尿管を損傷した事例
仙台弁護士会 弁護士 坂野智憲
相手方 東北医科薬科大学病院
平成30年1月31日 調停成立。
(1)事案の概要
患者は40代女性。
平成27年2月,下行結腸癌と診断され,同年3月5日,相手方病院において腹腔鏡補助下左半結腸切除術を受けた。その際の止血デバイス操作によって晩発性左尿管損傷が生じた。損傷部が自然閉鎖したためにされ,尿路の通過障害が生じ左水腎症となった。水腎症が発覚したのは,上記手術から約2ヶ月後の同年4月28日。この頃には,尿管再建術は困難であり,患者は腎瘻造設を余儀なくされた。
(2)争点
@腹腔鏡補助下行結腸切除術における合併症としての尿管損傷の頻度や,手技の工夫方法等に鑑み,手技の誤りは推認されるか,A術後クレアチニン値の上昇に鑑み,腎機能を低下させる要因として尿管損傷を確認すべき義務の有無,B尿管損傷後早期であれば尿管再建術等で治癒することができたか,C腎瘻造設時期が早期であれば,高度の腎機能低下を回避することはできたか,D腎瘻が後遺障害等級7級の「尿管,膀胱及び尿道の障害」に該当するか
(3)結果
1500万円で調停成立。
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