仙台地方裁判所と仙台弁護士会の医療訴訟に関する意見交換会
平成21年11月25日
1 医療訴訟の運営について ~とりわけ専門委員の活用~
裁判所の説明要旨
関与の必要性、事案を正確に把握し、争点を適切に整理するために活用したい。主として争点整理段階を想定し、裁判所のサポートとして考えている。裁判所としては、文書としてだけではなく、専門家から直接話を聞くことの重要性が高いと考えており、積極的に活用したいと考えている。 患者側に協力医がいない場合に限らず、 訴訟当事者の共通認識という点でも意味があると考えている。
平成16年から20年までの間に5件に関与した。 交通事故事件で医師が関与したものも含んでいる。純粋な医療事件は2件、 16年と19年に1件ずつ。
21年度については、 1件は専門委員を選任して行っている。
専門委員をどう使つていくかについて考えていることとしては、基本的には争点整理を日的とし、弁論準備への関与、特に初期段階、可能な限り初回の弁論準備期日を想定している。
事案によっては、 弁論準備期日の最終段階にも関与してもらうということはありうる。
どのような専門委員を選任するかであるが、 当事者双方に候補者を連絡して、 意見を伺う。
任命することができたら、 質問事項を作成する。 まず当事者双方から提出してもらうことを考えている。 当事者から質問事項が出ない場合には裁判所が作成する。
質問事項として想定しているのは基本的な医学的知見等。
専門委員に送付する資料については、 主張書面とカルテを考えている。 ただし、 事案によっては考慮すべき事情があろうかと思うので、 その点については双方代理人と協議して決めていくことを考えている。
当日の説明の方法であるが、 回答の書面を作成してもらって、 期日前に裁判所に送付してもらう。事前に、質問事項について中立性を反しない限りで調整して、期日に顔を合わせる。先日行った例では、 はじめ10分くらい概括的な説明、 その後当事者、
裁判所から質問という流れで行った。感想としては、書面のみでなく、体験したことのある方からの説明を受けて理解を深めることができたという印象である。
調書の記載、 専門委員から提出された資料の保管について説明する。 調書には専門委員が関与したという記載とともに内容を要領欄に記載するが、
詳しい内容は記載していない。
裁判体の変更等に備えて、 録音ということもありうるのかなと考えている。プロセスカードに一部記載するということはあろうが、速記ということは現状としては困難である。
2 弁護士会からの質問要旨
やはり一般的なものであれば、 当事者に対する釈明でいいのではないか。
知見レベルでというのであれば、 手続きを軽くすべきではないか。 当時者が質問事項を作ると、 書面尋問に近い形になってしまうのではないか。
純粋な数式ではないので、 医学的な知見それ自体がニュートラルなのかどうかには疑問がある。 その人の有している知見がニュートラルなのか。 そうすると人選の問題になってくる。そうすると、やはり下手な人を選ぶよりは当事者ががんばって補充していった方がいいという発想になる。
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