坂野法律事務所 政務調査費申入書                 仙台市民オンブズマン

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宮城県議会議長 橋長偉 殿

政務調査費等に関する公開申入書


2007年6月26日

仙台市民オンブズマン 代表 坂 野 智 憲

(連絡先)
〒980-0021仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル3F
TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267
事務局:庫山(くらやま)

 私たちは,税金の無駄遣いを監視する市民運動をすすめており,政務調査費,海外視察費,費用弁償(以下,「政務調査費等」と言います。)の適正化を求める活動を行っております。報道によれば,政務調査費の枠内で支払われる旅費、議会登庁に伴う応召旅費、海外視察の3点を見直すための検討会が設置されたとのことです。私たちは,政務調査費等は税金を原資とするものである以上,最低限の経費で最大の効果を上げなければならないと考えており,貴議会の改革の行方について,重大な関心を持っております。そこで,政務調査費等について,下記のとおり申し入れますので,今後の検討会及び議会での改革において議論していただき,ぜひ実現してください。

                      記

第1 申し入れの趣旨

1 検討会議の公開
  政務調査費等の取り扱いを協議するすべての検討会は県民やマスコミの傍聴を認め,公開すること。

2 政務調査費については次の諸点を条例・規則等に盛り込み,義務づけること
(1)県政に関する調査研究とそれに密接に関連する事項に限定した,厳格な使途基準を定めること。
(2)政務調査費による活動成果,活動内容を記載した報告書を作成し,議長に提出すること。
(3)支出項目,支出年月日,金額,債権者名,具体的な支出内容が記載された文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(4)支出を裏づける領収書等の証拠書類のすべてを議長に提出すること。領収書等は,債権者の発行したものとすること。
(5)政務調査費の枠内で支払われる旅費については,職員の旅費規定の範囲内での実費支給とし,概算払の場合はきちんと精算を行い,(4)と同様の領収書等を議長に提出すること。
(6)旅費についても,いつ,どこに,何のために,何q移動したのかを記載した文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(7)調査・研修にあたっては,視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),期間等,及び調査・研修の目的,必要性,内容,成果等が県民によくわかるように,計画書及び報告書を作成し,議長に提出すること。
(8)事務所費,人件費等について政務調査費を按分支給する場合は,議員において合理的な説明と証拠の提出を義務づけること。

3 海外視察費については,「宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領」を改め,次の諸点を条例・規則等に盛り込み,義務づけること。そのような条例・規則等が整備されるまでは海外視察は凍結すること。
(1)地方自治法100条第12項の趣旨に立ち返って,具体的な議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため必要があるときに限って,派遣することができるとするなど,県政との具体的関連性を要求すること。
(2)文書での調査,電話・インターネットを使用した調査など,他の代替手段で調査することが不可能なときに限って派遣することができるとすること。
(3)派遣する場合でも,派遣前に派遣先の選定をきちんと行い,最少人数で派遣を実施し,最小限の費用に抑えること。
(4)旅行業者選定は競争性の働く仕組みを導入すること
(5)支度料は廃止し,日当,食卓料,宿泊料の単価は大幅に引き下げること。
(6)訪問先のアポイントメントをとることをはじめ,十分な事前準備をすること。
(7)視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),視察期間,視察の目的・必要性・内容等を記載した事前計画書を作成し,議長に提出すること。
(8)現地において視察資料収集,関係者からの聞き取り等の調査を行い,それらを記録すること。
(9)視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),視察期間,視察の目的・必要性・内容成果等を記載した詳細な報告書を作成し,収集した資料も添付した上で議長に提出し,具体的な県政との関連性を示すこと。
(10)視察で得た情報を会派や議会で共有し,引継ぎを義務づけるなど,視察で得た成果を県政に役立てるための仕組みを作ること。

4 本会議・委員会等出席の際の費用弁償について
 本会議・委員会等へ出席した際に支給される費用弁償については,交通費及び宿泊費に相当する額の実費のみ支給すべきである。

第2 申し入れの理由

1 検討会議の公開について
 報道によれば,高橋長偉議長は、政務調査費の枠内で支払われる旅費、議会登庁に伴う応召旅費、海外視察の3点を見直すための検討会を設置する意向を固めた,とのことである。
 言うまでもなく,検討会の設置は,上記3点の不明朗さや不当さが県民から指摘されためであり,県民はこれらの改革の行方に強い関心を有している。よって,検討会は県民やマスコミの傍聴を認める形でなされるべきである。
 この点,仙台市議会では,不当にもこれを非公開とすると決めた。しかし,非公開で議論するということは,正論を封じつつ,県民に聞かれてはまずい本音を述べて押し切り,議員の既得権を守ろうとすることにほかならない。
 そもそも,検討会では政務調査費等の透明性を高めるための議論をするのであり,その議論が不透明であることは許されない。政務調査費の不正使用の原因は,領収書も添付しない,使途も調査内容も説明しないという議員の秘密主義にあることは明らかである。議員の秘密主義が政務調査費の不正使用をはびこらせたのであり,このことに県民の批判も集中している。この現状からすれば,検討会では,正々堂々,県民の目の前で議論がなされるべきである。

2 政務調査費について
 政務調査費については,その使途を示す領収証の公開のみならず,同調査費を用いた政務調査活動の報告が県民に明らかにされることが必要である。
 すでに宮城県も含め,いくつかの県では全面公開しており,札幌市議会も政務調査費の領収書の全面公開を決定した(詳しくは,全国市民オンブズマン連絡会議のホームページhttp://www.ombudsman.jp/ を参照されたい)。
 現在,宮城県議会では,「収支報告書の提出は、政務調査の主な実績を記載した実績報告書、当該収支報告書に記載された政務調査費による支出に係る領収書その他の証拠書類の写しを添えてしなければならない。」(宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例13条7項)とされ,議長への領収書等の提出が原則として義務づけられている。しかし,現実には,調査研究費,研修費,会議費のほとんどについて領収書の添付不要とされている。そのため,当該調査テーマが,いったい宮城県政とどのように関連するのかについて,県民が情報公開によって知ることができない。結局,これらの不透明さが不正支出の温床となっているのである。
 加えて,宮城県議会では,宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例施行規程第8条1項において実費に代わる簡便計算方法として別表第二を定めているが,実費を大きく超過する基準であり,その不合理さは顕著である。
 そこで,政務調査費の使途の透明性を高め,適正な支出を担保するため,上記のとおり,申し入れる。

3 海外視察費について
 海外視察費については旅行そのものの必要性と内容が厳格に問われる。県政におけるいかなる課題を解決するためにどのような調査を行うかが事前に十分練られたのか,現実に適切妥当な視察が行われたのか,それが適切に報告されたのか,経費も適切妥当な範囲におさめられたのか,が重要である。
 ところが,現状では,議会内での相互チェック機能は働かず,お手盛りの海外視察がまかり通っている。「予算が1人120万円あるから使わなければ損である」といった意識から,観光旅行と区別しがたい視察が数多く行われているという実態である。
 そもそも,地方自治法100条第12項は「議会は,議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは,会議規則の定めるところにより,議員を派遣することができる」と定めている。つまり,本来,具体的な議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のために必要なときに海外視察を行えるのである。ところが,宮城県議会では,「宮城県議会議員の海外視察に関する取扱要領」は定められているものの、その内容は極めて簡略であり,適切な基準たり得ない。真に地方自治法100条第12項の趣旨に添った厳格な条例・規則が定められるべきである。そして,この改正が実現するまでは,海外視察は凍結すべきである。全国に目を向ければ,すでに8県議会,2政令指定都市,19特別市,9県庁所在市が予算の廃止ないし凍結をしているのである。
 そこで,真に宮城県政に資するため,厳格な要件を条例・規則等に盛り込むことを求めて,上記のとおり申し入れる。

4 本会議・委員会等出席の際の費用弁償について
 本会議・委員会等への出席は議員の基本的職務である。よって,本会議・委員会等への出席に伴う対価は,歳費によってすでにまかなわれているというべきである。遠方の議員の負担を考慮するとしても,交通費及び宿泊費に相当する額の実費のみを支給すべきである。
以上


宮城県議会議長 橋長偉 殿

政務調査費等に関する公開申入書


2007年11月27日

仙台市民オンブズマン 代表 十  河    弘

(連絡先)
〒980-0021仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル3F
TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267
事務局:庫山(くらやま)

 私たちは,税金の無駄遣いを監視する市民運動をすすめており,政務調査費,海外視察費,費用弁償の適正化を求める活動を行っております。
 本年11月13日,仙台地方裁判所第1民事部は,宮城県議会議員の政務調査費の支出に関して,「実額方式によってなされるべきである」との判断を示し,各会派に対し,実に665万円余りの返還を命じました(請求額は802万円余り)。
 貴議会は,政務調査費の枠内で支払われる旅費,議会登庁に伴う応召旅費,海外視察の3点を見直すための検討会を設置されています。そこで,上記判決の趣旨を十分ご理解され,適切妥当なルールを作成されたく,ここに公開申し入れを致します。
 なお,今回の申し入れは,上記判決で示された政務調査費の実額方式に絞って述べるものです。私たちは既に本年6月26日に「政務調査費等に関する公開申入書」を提出しておりますので繰り返しませんが,その趣旨にも十分にご留意ください。



第1 申し入れの趣旨

1 検討会議の公開
  政務調査費等の取り扱いを協議するすべての会議は県民やマスコミの傍聴を認め,公開すること。

2 政務調査費については次の諸点を条例・規則等に盛り込み,義務付けること
(1)政務調査費の費用弁償の方法は,調査研究を行う際に現実に要した実費相当の費用を計算した上で,これを支給する実額方式によってなすべきこと。
(2)政務調査費の枠内で支払われる旅費についても,現状の簡便計算方法を改め,実費支給とし,概算払の場合はきちんと精算を行うこと。支出を裏付ける領収書等の証拠書類をすべて議長に提出し,領収証等は債権者の発行したものとすること。
(3)旅費については,いつ,どこに,何のために,何q移動したのかを記載した文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(4)県政に関する調査研究とそれに密接に関連する事項に限定した,厳格な使途基準を定めること。
(5)政務調査費による活動成果,活動内容を記載した詳しい報告書を作成し,議長に提出すること。
(6)政務調査費の支出に際しては,支出項目,支出年月日,金額,債権者名,具体的な支出内容が記載された文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(7)政務調査費の支出に際しては,支出を裏付ける領収書等の証拠書類のすべてを議長に提出すること。領収書等は,債権者の発行したものとすること。
(8)調査・研修にあたっては,視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),期間等,及び調査・研修の目的,必要性,内容,成果等が県民によくわかるように,詳しい計画書及び報告書を作成し,議長に提出すること。
(9)事務所費,人件費等について政務調査費を按分支給する場合は,議員において合理的な説明と証拠の提出を義務付けること。

第2 申し入れの理由

1 検討会の公開について
 貴議会では,政務調査費の枠内で支払われる旅費,議会登庁に伴う応召旅費,海外視察の3点を見直すための検討を行われています。
 いうまでもなく,上記3点の不明朗さや不当さが県民から指摘されために検討に着手したのであり,県民はこれらの改革の行方に強い関心を持っています。よって,検討会は県民やマスコミの傍聴を認める形でなされるべきです。
 この点,仙台市議会では,不当にもこれを非公開とし,その結果極めて不十分な答申が出されています。すなわち,国会ですら1円以上の領収書を添付することが議論されているにもかかわらず,1万円を超える領収書のみ添付すればよいとされました。また,調査活動概要の記載にとどまる報告書を添付するだけとされました。結局答申は,交付額を月額35万円に下げて,ほんの一部を公開することによって世論の批判をかわそうとしただけです。
 このような不当な答申となった原因は,市民に聞かれてはまずい話を密室で行い,議員の都合を押し通したからです。もし,仙台市議会の検討会議が公開で行われていれば,このような恥ずかしい答申は出せなかったはずです。
 そもそも,政務調査費の透明性を高めるための議論をするのですから,その議論が不透明であることは許されないはずです。政務調査費の不正使用の原因は,旅費の領収書も添付しない,使途も調査内容も説明しないという議員の秘密主義にあることは明らかです。議員の秘密主義が政務調査費の不正使用をはびこらせたのであり,このことに県民の批判も集中しているのです。
 以上より,貴議会におかれては,仙台市議会のような誤りを犯さず,正々堂々,県民の目の前で公開討論がなされるべきです。

2 政務調査費について
 政務調査費については,その使途を示す領収証の公開のみならず,政務調査活動の内容が報告書等によって市民に明らかにされることが必要です。
 既に宮城県も含め,いくつかの県では全面公開しており,札幌市議会も政務調査費の領収書の全面公開を決定しています(詳しくは,全国市民オンブズマン連絡会議のホームページhttp://www.ombudsman.jp/ をご参照ください。)。
 現在,宮城県議会では,「収支報告書の提出は,政務調査の主な実績を記載した実績報告書,当該収支報告書に記載された政務調査費による支出に係る領収書その他の証拠書類の写しを添えてしなければならない。」(宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例13条7項)とされ,議長への領収書等の提出が原則として義務付けられています。しかし,現実には,調査研究費,研修費,会議費のほとんどについて領収書の添付不要とされています。そのため,当該調査テーマが,いったい宮城県政とどのように関連するのかについて,県民が情報公開によって知ることができません。結局,これらの不透明さが不正支出の温床となっています。
 加えて,宮城県議会では,宮城県議会における政務調査費の交付に関する条例施行規程第8条1項において実費に代わる簡便計算方法として別表第二を定めていますが,実費を大きく超過する基準であり,その不合理さは顕著です。
 本年11月13日,仙台地裁第1民事部は,貴議会議員の政務調査費の支出に関して,「政務調査費の費用弁償の方法は,原則として,調査研究を行う際に現実に要した実費相当の費用を計算した上で,これを支給する実額方式によってなされるべきであるから,実費相当額を超える支出がなされた場合には,当該超過部分の支出は,原則として,上記使途基準に照らして明らかに必要性,合理性を欠き,違法との評価を免れないというべきである。」(判決書67頁68頁)と述べ,実額方式によるべきことを宣言しました。この実額方式を実現するためには,領収書添付を義務付けることが最も現実的で妥当です。もはや,一部の領収書だけの提出で実額方式を免れようとすることは許されません。また,現実にかかった旅費を超過するような簡便計算方法も許されないことが明白となりました。貴議会におかれては,上記判決の趣旨を正しく理解され,ただちに簡便計算方法を廃止し,実額方式を実現するに足りる領収書添付等の適正なルールを定めるべきです。
 なお,貴議会の中には,議員は公務員と異なり政務調査活動中の事故等についても社会保障がないし,公用車の利用も制限されているから,多額の交通費を政務調査費として計上することも許されるという主張があるようです。しかし,議員の社会保障のあり方や,限りある公用車の利用法については,別問題として検討すべきです。これらを政務調査費の水増し請求によって解決すべきでないことは明白です。
 よって,政務調査費の使途の透明性を高め,適正な支出を担保するため,上記のとおり,申し入れます。
以上


仙台市議会議長 赤間次彦 殿

政務調査費等に関する公開申入書


2007年6月26日

仙台市民オンブズマン 代表 坂 野 智 憲

(連絡先)
〒980-0021仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル3F
TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267
事務局:庫山(くらやま)

 私たちは,税金の無駄遣いを監視する市民運動をすすめており,政務調査費,海外視察費,費用弁償(以下,「政務調査費等」と言います。)の適正化を求める活動を行っております。
 報道によれば,政務調査費の取り扱いを協議する議長直属の検討会議が設置されたとのことです。私たちは,政務調査費等は税金を原資とするものである以上,最低限の経費で最大の効果を上げなければならないと考えており,貴議会の改革の行方について,重大な関心を持っております。
 そこで,政務調査費等について,下記のとおり申し入れますので,今後の検討会議及び議会での改革において議論していただき,ぜひ実現してください。



第1 申し入れの趣旨

1 検討会議の公開
  政務調査費等の取り扱いを協議するすべての検討会議は市民やマスコミの傍聴を認め,公開すること。

2 政務調査費については次の諸点を条例・規則等に盛り込み,義務づけること
(1)政務調査費の使途を,市政に関する調査研究とそれに密接に関連する事項に限定した,厳格な使途基準を定めること。
(2)政務調査費による活動成果,活動内容を記載した報告書を作成し,議長に提出すること。
(3)支出項目,支出年月日,金額,債権者名,具体的な支出内容が記載された文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(4)支出を裏づける領収書等の証拠書類のすべてを議長に提出すること。領収書等は,債権者の発行したものとすること。
(5)旅費については,職員の旅費規定の範囲内での実費支給とし(宮城県議会のような過大な簡便計算は採用しないこと),概算払の場合はきちんと精算を行い,(4)と同様の領収書等を議長に提出すること。
(6)旅費についても,いつ,どこに,何のために,何q移動したのかを記載した文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(7)調査・研修にあたっては,視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),期間等,及び調査・研修の目的,必要性,内容,成果等が市民によくわかるように,計画書及び報告書を作成し,議長に提出すること。
(8)事務所費,人件費等について政務調査費を按分支給する場合は,議員において合理的な説明と証拠の提出を義務づけること。

3 海外視察費については次の諸点を条例・規則等に盛り込み,義務づけること。そのような条例・規則等が整備されるまでは海外視察は凍結すること。
(1)地方自治法100条第12項の趣旨に立ち返って仙台市議会議員海外出張要綱の第2条を改正し,具体的な議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため必要があるときに限って,派遣することができるとするなど,市政との具体的関連性を要求すること。
(2)文書での調査,電話・インターネットを使用した調査など,他の代替手段で調査することが不可能なときに限って派遣することができるとすること。
(3)派遣する場合でも,派遣前に派遣先の選定をきちんと行い,最少人数で派遣を実施し,最小限の費用に抑えること。
(4)旅行業者選定は競争性の働く仕組みを導入すること
(5)支度料は廃止し,日当,食卓料,宿泊料の単価は大幅に引き下げること。
(6)訪問先のアポイントメントをとることをはじめ,十分な事前準備をすること。
(7)視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),視察期間,視察の目的・必要性・内容等を記載した事前計画書を作成し,議長に提出すること。
(8)現地において視察資料収集,関係者からの聞き取り等の調査を行い,それらを記録すること。
(9)視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),視察期間,視察の目的・必要性・内容成果等を記載した詳細な報告書を作成し,収集した資料も添付した上で議長に提出し,具体的な市政との関連性を示すこと。
(10)視察で得た情報を会派や議会で共有し,引継ぎを義務づけるなど,視察で得た成果を市政に役立てるための仕組みを作ること。

4 本会議・委員会等出席の際の費用弁償について
 本会議・委員会等へ出席した際に支給される費用弁償については廃止すべきである。

第2 申し入れの理由

1 検討会議の公開について
 報道によれば,仙台市議会の政務調査費制度の見直しを協議する市議会検討会議の初会合が本年6月14日あり,会議は非公開とされることが決まったとのことである。しかし,非公開で議論するということは,正論を封じつつ,市民に聞かれてはまずい本音を述べて押し切り,議員の既得権を守ろうとすることにほかならない。
 そもそも,検討会議では政務調査費の透明性を高めるための議論をするのであり,その議論が不透明であることは許されない。政務調査費の不正使用の原因は,領収書も添付しない,使途も調査内容も説明しないという議員の秘密主義にあることは明らかである。議員の秘密主義が政務調査費の不正使用をはびこらせたのであり,このことに市民の批判も集中している。この現状からすれば,検討会議では,正々堂々,市民の目の前で議論がなされるべきである。

2 政務調査費について
 政務調査費については,その使途を示す領収証の公開のみならず,同調査費を用いた政務調査活動の報告が市民に明らかにされることが必要である。
 すでに宮城県も含め,いくつかの県では全面公開しており,札幌市議会も政務調査費の領収書の全面公開を決定した(詳しくは,全国市民オンブズマン連絡会議のホームページhttp://www.ombudsman.jp/ を参照されたい)。
 しかし現在,仙台市議会では,収支状況報告書を議長に提出することだけが義務づけられており,領収書その他の証拠書類や調査研究報告書については全く義務づけられていない。そのため,当該調査テーマが,いったい仙台市政とどのように関連するのかについて,市民が情報公開によって知ることができない。結局,これらの不透明さが不正支出の温床となっている。
 また,本年4月27日には,仙台地方裁判所によって個々の支出について不正が認定され,仙台市議会の各会派に対し,総額770万円の政務調査費の返還を命じる判決が下されている。もはや,議会の自律性を隠れ蓑にして使途の説明を免れることはできない。
 そこで,政務調査費の使途の透明性を高め,適正な支出を担保するため,上記のとおり,申し入れる。

3 海外視察費について
 海外視察費については旅行そのものの必要性と内容が厳格に問われる。市政におけるいかなる課題を解決するためにどのような調査を行うかが事前に十分練られたのか,現実に適切妥当な視察が行われたのか,それが適切に報告されたのか,経費も適切妥当な範囲におさめられたのか,が重要である。
 ところが,現状では,議会内での相互チェック機能は働かず,お手盛りの海外視察がまかり通っている。「予算が1人100万円あるから使わなければ損である」といった意識から,観光旅行と区別しがたい視察が数多く行われているという実態である。
 そもそも,地方自治法100条第12項は「議会は,議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは,会議規則の定めるところにより,議員を派遣することができる」と定めている。つまり,本来,具体的な議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のために必要なときに海外視察を行えるのである。ところが,仙台市議会議員海外出張要綱第2条では「時代に即応した国際的な知識・資質を涵養」するという目的が付け加えられ,国際的な知識・資質を涵養するためと称しての観光旅行を誘発している。このような条項は改められるべきであるし,真に地方自治法100条第12項の趣旨に添った厳格な条例・規則が定められるべきである。そして,この改正が実現するまでは,海外視察は凍結すべきである。全国に目を向ければ,すでに8県議会,2政令指定都市,19特別市,9県庁所在市が予算の廃止ないし凍結をしているのである。
 そこで,真に仙台市政に資するため,厳格な要件を条例・規則等に盛り込むことを求めて,上記のとおり申し入れる。

4 本会議・委員会等出席の際の費用弁償について
 本会議・委員会等への出席は議員の基本的職務である。よって,本会議・委員会等への出席に伴う対価は,歳費によってすでにまかなわれているというべきである。現状は「実質的な重複受給」であり,歳費とは別に費用弁償を支給することは廃止すべきである。
以上


台市議会議長 赤間次彦 殿

政務調査費に関する公開申入書


2007年11月27日

仙台市民オンブズマン 代表 十  河    弘

(連絡先)
〒980-0021仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル3F
TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267
事務局:庫山(くらやま)

 私たちは,税金の無駄遣いを監視する市民運動をすすめており,政務調査費,海外視察費,費用弁償の適正化を求める活動を行っております。
 本年11月13日,仙台地方裁判所第1民事部は,宮城県議会議員の政務調査費の支出に関して,「実額方式によってなされるべきである」との判断を示し,各会派に対し,実に665万円余りの返還を命じました(請求額は802万円余り)。
 貴議会は,現在政務調査費支出のあり方を再検討し,来年2月を目処に条例改正を目指すとされております。そこで,上記判決の趣旨を十分ご理解され,適切妥当なルールを作成されたく,ここに公開申し入れを致します。
 なお,今回の申し入れは,上記判決で示された政務調査費の実額方式に絞って述べるものです。私たちは既に本年6月26日に「政務調査費等に関する公開申入書」を提出しておりますので繰り返しませんが,その趣旨にも十分にご留意ください。



第1 申し入れの趣旨

1 会議の公開
  政務調査費等の取り扱いを協議するすべての会議において,市民やマスコミの傍聴を認め,公開すること。

2 政務調査費については次の諸点を条例・規則等に盛り込み,義務付けること
(1)政務調査費の費用弁償の方法は,調査研究を行う際に現実に要した実費相当の費用を計算した上で,これを支給する実額方式によってなすべきこと。
(2)旅費についても,職員の旅費規定の範囲内での実費支給とし(宮城県議会のような過大な簡便計算は採用しないこと),概算払の場合はきちんと精算を行い,支出を裏付ける領収書等の証拠書類をすべて議長に提出すること。領収証等は債権者の発行したものとすること。
(3)旅費については,いつ,どこに,何のために,何q移動したのかを記載した文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(4)政務調査費の使途を,市政に関する調査研究とそれに密接に関連する事項に限定した,厳格な使途基準を定めること。
(5)政務調査費による活動成果,活動内容を記載した詳しい報告書を作成し,議長に提出すること。
(6)政務調査費の支出に際しては,支出項目,支出年月日,金額,債権者名,具体的な支出内容が記載された文書(1件ごとの支出伝票)を作成し,議長に提出すること。
(7)政務調査費の支出に際しては,支出を裏づける領収書等の証拠書類のすべてを金額にかかわらず議長に提出すること。領収書等は,債権者の発行したものとすること。
(8)調査・研修にあたっては,視察者名,視察先(場所,相手方氏名等),期間等,及び調査・研修の目的,必要性,内容,成果等が市民によくわかるように,詳しい計画書及び報告書を作成し,議長に提出すること。
(9)事務所費,人件費等について政務調査費を按分支給する場合は,議員において合理的な説明と証拠の提出を義務付けること。

第2 申し入れの理由

1 会議の公開について
 本年6月26日の当オンブズマンの公開申し入れを無視して,政務調査費制度の見直しを協議する市議会検討会議は非公開とされ,本年10月2日,答申が出されました。
 しかし,出された答申は極めて不十分な内容であり,「改革を装った」と評価するほかないものです。すなわち,国会ですら1円以上の領収書を添付することが議論されているにもかかわらず,1万円を超える領収書のみ添付すればよいとされました。これでは1万円以下の領収書を添付しないことによって,大部分の使途を隠す抜け道を用意したというほかありません。また,報告書を添付することにした点については,調査活動概要の記載にとどまり不十分です。詳細な報告書でなければ市政との関連性が明らかになりません。その他の改革については当然のことを定めたに過ぎず,評価に値しません。結局,交付額を月額35万円に下げて,ほんの一部を公開することによって世論の批判をかわそうとしただけです。「改革を装った」と評価されてもやむを得ないものと考えます。
 このような不当な答申となった原因は,市民に聞かれてはまずい話を密室で行い,議員の都合を押し通したからです。もし,検討会議が公開で行われていれば,このような恥ずかしい答申は出せなかったはずです。
 そもそも,政務調査費の透明性を高めるための議論をするのですから,その議論が不透明であることは許されないはずです。政務調査費の不正使用の原因は,領収書も添付しない,使途も調査内容も説明しないという議員の秘密主義にあることは明らかです。議員の秘密主義が政務調査費の不正使用をはびこらせたのであり,このことに市民の批判も集中しているのです。
 以上より,今後の会議では,正々堂々,市民の目の前で公開討論がなされるべきです。

2 政務調査費について
 政務調査費については,その使途を示す領収証の公開のみならず,政務調査活動の内容が報告書等によって市民に明らかにされることが必要です。
 既に宮城県も含め,いくつかの県では全面公開しており,札幌市議会も政務調査費の領収書の全面公開を決定しています(詳しくは,全国市民オンブズマン連絡会議のホームページhttp://www.ombudsman.jp/ をご参照ください。)。
 しかし現在,仙台市議会では,ごく簡単な収支状況報告書を議長に提出することだけが義務付けられており,領収書その他の証拠書類や調査研究報告書については全く義務付けられていません。そのため,当該調査テーマが,いったい仙台市政とどのように関連するのかについて,市民が情報公開によって知ることができません。結局,これらの不透明さが不正支出の温床となっているといわざるを得ません。
 加えて,本年11月13日,仙台地裁第1民事部は,宮城県議会議員の政務調査費の支出に関して,「政務調査費の費用弁償の方法は,原則として,調査研究を行う際に現実に要した実費相当の費用を計算した上で,これを支給する実額方式によってなされるべきであるから,実費相当額を超える支出がなされた場合には,当該超過部分の支出は,原則として,上記使途基準に照らして明らかに必要性,合理性を欠き,違法との評価を免れないというべきである。」(判決書67頁68頁)と述べ,実額方式によるべきことを宣言しました。この実額方式を実現するためには,領収書添付を義務付けることが最も現実的で妥当です。もはや,一部の領収書だけ(例えば1万円超の領収書だけ)の提出で実額方式を免れようとすることは許されません。また,現実にかかった旅費を超過するような宮城県議会の簡便計算方法も許されないことが明白となりました。貴議会におかれては,上記判決の趣旨を正しく理解され,実額方式を実現するに足りる領収書添付等の適正なルールを定めるべきです。
 よって,政務調査費の使途の透明性を高め,適正な支出を担保するため,上記のとおり,申し入れます。
以上


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