B型肝炎被害対策東北弁護団による無料電話相談
(対象は宮城、青森、山形、秋田、岩手、福島にお住まいの方です)
B型肝炎被害対策東北弁護団では常設の無料相談窓口を開設しています。電話番号はフリーダイヤル0120−76−0152、平日の午前10時から午後2時まで受け付けています。 ご相談いただいた方には弁護団から基本合意の内容や具体的な提訴の方法についての詳しい説明を記載した文書と、併せて今後不明な点を相談することのできる担当弁護士の連絡先を記載した文書を郵送致します。詳しくは『B型肝炎被害対策東北弁護団のホームページ』をご覧下さい。
平成26年10月18日(土)、10月19日(日)
東北一斉無料電話相談の実施
電話番号は当日のみの仮設で022−225−0841、022−225−0842
B型肝炎に感染した患者の方々の救済を目的として東北各地の弁護士で結成された団体です。具体的には、東北6県を中心に、B型肝炎訴訟の提起、B型肝炎訴訟に関する相談、医療費助成制度の実現に向けた恒久対策などに取り組んでいます。 国は、集団予防接種により持続感染したB型肝炎患者の方に対して50万〜3600万円の給付金等を支払う枠組みを作っております。ただ、その給付金等を受け取るには、一定の要件に該当する必要がある他、裁判所に訴えを提起して国と個別に和解する必要があります。これが、いわゆる「B型肝炎訴訟」というものです。
厚労省よる推計では、集団予防接種によりB型肝炎に持続感染した方は全国で最大40数万人とのことです。したがいまして、全国との人口比で考えると、東北地方の被害者数は、最大3万から4万人ということになります。しかしながら、当弁護団がこれまで受け付けた相談者の総数は1590人、B型肝炎訴訟提訴被害者数は351人、和解成立数は163名に過ぎません(平成26年3月現在)。当弁護団の累計相談者数が1590人と、東北6県の最大推定被害者数3万から4万人のわずか5%程度に過ぎません。
このことからすれば、患者の方の大多数は、B型肝炎訴訟を知らないか、知っていても具体的にどう動けばよいかわからない状態にあると言えます。そこで当弁護団では東北一斉無料電話相談を実施します。
予防接種によるB型肝炎被害の救済
B型肝炎訴訟は、平成23年6月28日に弁護団と国との基本合意が成立しました。基本合意では集団予防接種によるB型肝炎感染被害について救済の枠組みが決定されましたが、救済を受けるには@B型肝炎ウイルスに持続感染していること、A満7歳になるまでの間に集団予防接種を受けていること、B母子感染の可能性が否定されること、C他原因による感染が否定されることなど一定の要件に当てはまることが必要で、かつそれを証明するに足りる資料を患者側で提出することが必要とされています。
また実際に救済を受けるためには、損害賠償請求訴訟を提起してこのような資料を証拠として提出し、国が要件を確認して和解を成立させることが必要とされました。
もちろん個人で資料を集めて裁判を行うことは可能ですが、実際問題として患者個々人が提訴して立証活動を行うことにはかなりの困難が伴います。そこで現在全国各地で弁護団が結成され集団提訴を行っています。
東北6県では、これまでは福島は東京弁護団が、山形は新潟弁護団が、それ以外は札幌弁護団が対応してきましたが、今後提訴者が増えると対応が難しくなるので今回B型肝炎被害対策東北弁護団(団長 仙台弁護士会鹿又喜治弁護士)が作られました。弁護団員は仙台弁護士会、秋田県弁護士会、岩手県弁護士会、山形県弁護士会、青森県弁護士会に所属する弁護士です。
B型肝炎被害対策東北弁護団は平成23年8月27日〜9月2日まで、東北6県を対象に、B型肝炎被害無料電話相談を行いました。合計228件の相談がありました。
仙台地裁におけるB型肝炎訴訟の進行状況
平成27年9月提訴分までの原告数は宮城、青森、山形、秋田、岩手、福島、その他を合わせて568名となりました。この内307名の和解が成立しています.内訳は宮城182、青森34、山形18、秋田25、岩手30、福島13、その他5となっています。
B型肝炎訴訟の枠組みと留意点
B型肝炎特措法の救済枠組みでは、被害者は必ず提訴して裁判上の和解を成立させなければならないこととされています。しかも合意書では国の要求で、感染時カルテ・発症時カルテ・提訴前1年間のカルテなど事細かな資料の提出が必要とされています。原告に必要資料と入手方法を説明しても容易に理解してもらえず何度も問い合わせが来るのが通常です。資料提出に非協力的な医療機関もあります。とても弁護士に委任しなければ提訴できるものではありません。病院の中には特措法をよく理解して、自分の病院の患者さんに積極的に制度の存在や弁護団の連絡先を教えてくれているところがあります。おそらくこれが最大の広報になるでしょうから、肝炎患者を診ている全ての医師にこの救済制度をご理解いただき、自分の患者さんに知らせいただきたいと思います。
時の経過と共に和解に必要な資料は散逸して救済は困難になります。ことに母子感染の否定が絶対条件で、そのためには母親もしくは年長の兄弟の肝炎ウイルス検査データが必須とされています。検査がなされないままで母親も年長の兄弟も死亡してしまえば救済の途は閉ざされることになります。
なお、特措法の救済の枠組みでは一次感染のキャリアの給付金は50万円とされ、この程度の金額のために提訴までするのはと躊躇している被害者の方もおられます。しかし一度キャリアで和解を成立させておけば将来慢性肝炎や肝硬変に進展した場合に改めて提訴しなくとも差額の支給を受けられます。なにより将来症状が進展した時点では母子感染を否定する資料が得られないことが十分考えられるので、キャリアでも提訴しておく意味は大きいのです。
またHBc抗体検査の結果が陽性であっても低力価(CLIA法で10.0未満)なら母子感染は否定できます。この点を誤解して陽性だから対象外だと思ってしまっている方もいると思われます。
さらに母親が予防接種などで感染して、子供が母子感染したケース(二次感染)も給付の対象となります。単に母子感染だからダメではないので、この点は十分に注意していただければと思います。
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