TOP 2012年6・7月(英国・横断トレイル) |
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朝モヤの湖水地方 |
1 はじめに 今回のトレイルは、アイリッシュ海岸から英国を代表する国立公園、即ちレイク・デストリクト、ヨークシャーデール、そしてノース ヨーク ムアー公園を横断して東海岸の北海へ至る全長308kmのコースである。 この<コースト・ツ・コーストウオーク>は英国でも屈指の景観を誇る古典的なフットパスとして紹介されている。加えて後半部のノース ヨーク ムアー公園の<クリーブランド・ウエイ>と<ウオルズ・ウエイ>は一昨年訪れたので馴染み深く再訪が楽しみだ。 歩行時のタイムやポイント等、歩行者の参考用として「資料編」を作成する 日 程
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2 トピックス&スケッチ 概略総距離=317Km(トレイルから離れて宿泊地までの距離を含む)。 総歩行時間=101時間10分(休憩時間を除く)。 出発日 6月21日(天気 晴):成田空港から英国・Heathrow空港・・London市内 距離:0km。行動時間:0分 大韓航空便を利用したので、韓国空港で乗り継ぎとなり束縛時間は2時間ほど長くなる。しかし、急ぐ旅でもないので比較的安価な便を選んだ。それより出発の前日と翌日に台風が日本に上陸し気を揉んだ。 |
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英国までの長いフライトを機内食のワインに酔い、座席前のモニターに身をまかせ時をやり過ごした。 西へ飛び 時に逆らい 少しだけ 得したみたい 若くなるかも。 |
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ST.Beesは吹きさらしの海岸沿いにあり、アイルランドからの横風に煽られながら石室の小屋を目指した。 石室の 内までとどく 樹々たちの 雄叫び止まず 嵐は襲う
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第2日目 6月23日(天気 雨後曇):St BeesからEnnerdale Bridge・Low Cock How 距離:16km。行動時間:6時間20分 追い風に背を押されて東へ向かう。途中Dent山(344m)を越えて谷へ降りると四方から沢が合流。複雑な地形に加え昨日からの大雨で増水、トレイルは膝位まで水没し200m沢芯を詰める。渡渉は経験あるが沢登り以外での沢歩きは初めての体験。 |
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昨日の大雨で新築の川辺の庭が無残にも浸水して痛ましい。日頃の清流からは想像も出来ない自然の恐ろしさを痛感した。 新築の 川辺の花壇 水浸し 芝生と共に 避難したそう |
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第3日目 6月24日(天気 雨):Ennerdale BridgeからBorrowdale・YH 距離:28km。行動時間:9時間10分 出発して直ぐ大きな湖・Ennerdale Waterに着く。6km程湖畔を東進するが湖面近くのトレイルは水没気味で先を案じられた。湖へ流れ込むLiza川沿いに上流へ進み、源頭から不明確なトレイルを迷いながらケルンを頼りにGray Knottsからバスが通る Honister Passに下った。 |
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湖水地方の特性だろうか霧が多く、加えて不鮮明なトレイルに悩まされた。他のフットパスが交差して行きつ戻りつの歩行。 霧雨が 人は来るなと ガスを呼び 昔も今も 羊の天下 |
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第4日目 6月25日 (天気 曇後雨):BorrowdaleからGrasmere・YHA 距離:15km。行動時間:5時間20分 谷間のGrasmereから昨日と同様に急斜面を登り不明瞭なトレイルの峠を越えて6km下降して湖水地方の名所・Grasmereに到着。 |
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氷河の浸食により形成されたカール状の谷間からの急登を進む。敷石を踏みながら、年月をかけ道を拓いて来た先人達の暮らしを考えた。 人々の 暮らし支える 峠路 羊も人も 世代は変わる |
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急登を振り返ると昨夜泊ったGrasmere湖畔付近にモヤが湧いていた。高い所には朝日が照り始め好天の兆しに安堵する。 岩峰に 取り囲まれて 湖は 眠り覚めずに 朝もやの中 |
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出発にて2時間登った中腹の湖で高校の部活らしい若者たちが雨中にテント徹収。こうした体験を経て逞しく成長するのだろう。 夢にみた 山の姿は 見えもせず 雨は降る降る 俺たちゃ濡れる |
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ようやく湖水地方から抜けてトレイルが緩やかになって来た。内陸部は氷河浸食の影響も少ない地形が続く。 ゆるやかな 登り降りの 轍路 若芽の芝生 膝にやさしく |
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Keldの谷から200m登り広い原野に出ると馬車道のような立派な作業路になった。一直線に東へ伸び、彼方へ消える景観は歴史の持つ風格さえ感じた。 何処までも ヒースの原野 広がれば 重い雲間に 朝の日光る |
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17世紀に建てられた館は世代が代わり戦後はYH協会が購入して現在に至っているとのこと。門も立派でYHの看板がなければ気がつかない。 高台の 領地見下ろす 邸宅の 栄華の香り 巨木に残す |
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昨日休養したので心身共に軽くなった。加えてコースの半分を過ぎゴールが見えてきた。天候も雨模様だが嵐の気配はないので分岐点だけ注意して東へ向かった。 雨に慣れ 風にも慣れて 十日過ぎ 今日も終日 トレイル捜し |
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地方道とは云え朝のラッシュ時は車が多い。そんな時、路肩に歩道ならぬ乗馬道があるので助かる。 田舎道 路肩に続く 乗馬パス 地図になくとも 歩くに便利 |
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13日目 7月4日(天気 曇):DanbyからOsmotherley(YHA泊) 距離:16km。行動時間:4時間50分 車道は東西方向に走るのが多いようで幾つも道路を横切る。今日から3つ目のNoth Yorkmoor国立公園に入り2年前にトレースした CIeveland Wayと同じトレイルを進む。主要な分岐点は記憶に残っており余裕で歩けた。 |
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Yorkshire 国立公園に入って地形が平坦になり麦畑が増え、羊から牛の放牧が目立つ。家屋も昔ながらの石造からレンガ構造に変わりカラフルになって来た。 いく度も 不安打ち消す 道標の 苔むす文字に 親しみおぼゆ |
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朝から珍しく好天気で夏雲が緑の平原の先に湧いて来た。そこへ突き進むように石畳みのトレイルが伸びていた。 来た路も 行く路も 石畳み 原野横切り 彼方へと続く
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夜半から大雨になり高台は雨雲の中。谷間の小屋から高度を上げ風雨の中に入ると近くで落雷、間隔が短くなったので慌ててトレイルから逃げて低地へ迂回した。 雨よりも 風より怖い 稲光 念仏となえ 低地へ逃げる |
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トレイルの終点・Robin Hood's Bayの磯に終点のモニュメントがあった。奇しくも2日目の小屋で同宿だった夫婦達と逢いお互いの完歩を祝い記念写真を撮った。 強風や 渡渉で難儀 した旅も 終わってみれば すべて懐かし |
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テント場に自転車で2ケ月ほど各地を放浪しているジイサンとあった。総装備が25kgになるので輪行を混えて移動しているそうだ。 人生は 旅ヨと唄う 歌姫の リズムのような テント場の風 |
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Scarborougは中心都市として昔から栄えた港町で、現在も終着駅として経済の中心地である。1日1便のバスでロンドンへ向かった。 海ネコの 朝ダ朝ダと 騒ぐ町 人は変わるも 変わらぬ景色 |
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昨日ロンドンへ帰ってきたので半日の余裕が出来た。市内は2週間後に迎えるオリンピックの準備中か慌ただしい。本屋でアウトドア関連の書籍を立ち読み。 花好きは 花に目がなく 旅好きは 旅に目がなし 本屋をのぞく
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インチョン空港で4時間の乗り継ぎ待ち合わせ。機内での睡眠不足を補うべく休憩ラウンジで仮眠。 長旅の 疲れを癒す 乗り継ぎ場 子供ははしゃぎ 大人は無口
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3 あとがき(所感) 1)6月に台風が本土に上陸するのは8年振り、それも出発日の前後に続けて来るとは珍しい。幸いフライトに影響しなかったが、天候異変が常態化している昨今だからスケジュール設定には配慮したい。 2)トレイルの前半はYHやバンクの舎営泊を予約たが、後半はテント泊で計画した。しかし、強風と水溜りで設営出来ず舎営を利用した(価格面では\700と\1300の違いだけ)。 3)今回は今迄の延長上で計画したが、実際には身の丈以上であった。即ち、日程・3週間、実歩行・2週間で310kmの距離と湖水地方の総標高差・約3千米が過負荷であった。加えて過去7回のトレイルでは体験しなかった悪天候とトレイル自体の未整備が難易度を高めた。 4)以上の反省として今後は国外の場合、日程・2週間、実歩行・1週間とし、150〜200kmの距離で標高差千米位を目安にして宿泊形式は野営から舎営にしたい。それに3日に1日は休養日を入れ身体へのケヤーをはかりたい。 5)最終日に本屋で調べた所、今回のトレイルに関して数冊の案内書があり人気が高いコースには違いない。しかし、中級レベルのトレイルで他の初級・普及コースで基礎的な技術を習得した後に実行するのが賢明と思えた。特に視界が悪い時のルート判断力を養うことが重要。 6)食料について ・朝食:シリアル+砂糖、行動食:ビスケット類、夕食:米飯(100cc)+半ラーメン(食料店がある時は生野菜や肉類加算)。 ・荷物軽減化のために現地購入食品を多くした。 ・肉類はパック量(500g程度)が多く一度に食べられない。半分は加熱後密閉箱に入れ行動時に食べた。 ・ワインも半分はペットボトルに入れて保管。 7)装備について ・舎営ではコンロが利用出来るので、持参のガスは余った(最小サイズのボンベで十分)。 ・靴の中敷は劣化を考慮して短期間に新替えしたい(今回途中で交換したが効果大)。 ・市販の作業用雨カッパは価格は安いが防水効果高い(登山用よりも重いが保温効果は高い)。 |
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