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 **** 英国のナショナル・トレイル ****

        サウス・ダウンズ・ウエイを行く 

 
  はじめに
 英国フットパスのトレース・第2年目として、初年と同じく南部のサウス・ダウンズ・ウエイ及び終点から延びる短い2日間のクレアンドン・ウエイを歩くことにした。
 ガイドブックによればサウス・ダウンズ・ウエイは起点・ウインチェスター(人口9万6千人)から東南東へ進み8日目に終点・イーストボーン(人口8万2千人)に至る方が風向きや景観からして優位と紹介されているが、地図の判読上からは逆方向(やや北上気味)が容易なので起点をイーストボーンにした。このトレイルはマウンテンバイクも許可されているナショナル・トレイルで人気が高い。
 ウインチェスターから西方のソールスベリー(人口4万人)までのクレアンドン・ウエイは「大聖堂をつなぐトレイル」とも呼ばれ、両市の大聖堂は国内でも有数の巡礼堂として知られる。トレイルの距離は43.5Kmで強行すれば1日でトレース出来るが途中のブロートン村で一泊するのが一般的だ。しかし、テント地の期待が出来ないので、バスでウインチェスターかソールスベリーへ戻ることにしよう。
 この国には、イングランドの北部やスコットランド地方にも素晴らしいトレイルがあるも、この時期は雨が多くレベルも高いので、先ず爽やかな南部で馴染んでから北上したい。
               
 
  
 記 録

 6月1日(成田空港―韓国・インチョン空港経由ヒュースロー空港)
 タイム:成田発(9:40)-インチョン空港(11:55-13:50)ヒュースロー空港(17:15-18:10)-ロンドン・オクスフォードYH(19:20)
 成田空港のパック発券窓口は、予想通り混雑。ようやく搭乗券を受け取り、大韓航空の正規搭乗口へ廻り荷物を預けホッと一安心。
 成田を離陸した飛行機は、幾度も乱気流に捕まり安全バンドを締め直す。
 食事の配膳が出来ない程で「・・大丈夫だろうか」と外を覗くと主翼が風に煽られて不安が増す。
 ともあれ、無事ロンドンに到着。地下鉄で市内のYHへ向かう。睡眠不足で地下鉄に乗ってアクビをしていたら、前の座席のオジサンに「アクビは口に手を当てる」と注意され大いに反省した。


 6月2日 (オクスフォードYHからイーストボーン)
 タイム:YH発(7:10)-ビクトリア駅(8:00-9:20)-イーストボーン駅(10:45-12:00)- ファイヤーフイルド・キャンプ場(12:40)
 入山口のイーストボーンへはバスと鉄道の便があり、いずれもビクトリア駅付近から発着する。価格はバスが半値に近く安いので、まずバスターミナルへ行って時刻を調べる。
 ターミナルで幾度も調べるが、運行は夕方4時と6時の2本だけ。その反面、電車は30分毎に発車して所要時間も半分だ。不思議なことに、電車は往復運賃と片道が略同額で(だから片道の場合はバス運賃より割高)と納得。
 通勤快速のような電車に80分乗って、目的地・イーストボーンに着く。この町は古くから<保養地>として親しまれて来た浜辺の町だ。駅近くの案内所へ行き、キャンプ場と燃料ガスの店を聞く。
 曇天だが雨の心配はないので、燃料を購入後、5kmほど離れたファイヤーフイルド・キャンプ場(注1)へバスで行く。
 キャンプ場とはオートキャンプの事で何処も市街地から離れているが、このキャンプ場はバス停と鉄道駅に近い。明日は始発電車で2駅先のイーストボーン駅へ行こう。

 
6月3日〜6月9日 (サウス・ダウンズ・ウエイ)別途記録参照。

 6月10日及び6月13日
(クレアンドン・ウエイ)別途記録参照。

 
6月11日 (ウィンチェスター滞在後ソールスベリー)
 昨日は半日行動、しかも空身で歩いたので疲れも取れた。今夜は予約していたYHAへ投宿するが、YHAの規模が小さく(定員26名)昼間は閉鎖するので朝の内に荷物を預ける。
 夕方5時にYHAが開くまで大聖堂や名所を見物する。念の為に明日移動スケジュールを確認にバスターミナルへ行くと「日曜日は全ルート運休」となっている。
 今日が土曜日だったことを忘れていたのだ。大慌てで対策を練るが、肝心の荷物はYHAへデポして夕方まで引き取れず、明日移動出来なければ、後半の「空身でトレース」の予定も変更を余儀なくされる。
 ソールスベリー行きの最終バス(18:25)までにYHAが開くので(ともかくソールスベリーへ今夜行こう)とソールスベリーYHAへ予約を入れ、ウィンチェスターYHAのキャンセルをした。
 昨日予定を変更する時の注意不足で(日曜日と土曜日は同じダイヤだろう)と云う日本流の先入感が原因だった。やはり疲れが溜まっているのだろか。

 
6月12日(ソールスベリー滞在)
 日曜日で観光店やスーパー以外は閉店。英国随一の大聖堂は日曜日の礼拝中で大賑わい。観光客も礼拝を目的に集まっているようだ。
 世界遺産のストーンヘンジもこの町が起点で当地へ来て初めて知り、幸いバス便が有り行ってみる。
 名所・古跡に余り興味が湧かないが、この世界遺産は先史時代(5000年前)の文明として世界最古の遺跡とか。とりわけ小生にとっては、200km先のイーストボーンから歩いて来てその終着地として申し分ないフナーレになった。

 
6月14日(ソールスベリーからヒュースロー空港―韓国・インチョン空港経由成田空港)
 タイム:YH発(13:00)- ソールスベリー・バス停(13:30-14:55)-ヒュースロー空港(17:30-21:30)
 午前中は、本屋と図書館で次回のトレイルの検討をする。地元でしか入手出来ない情報を得るには絶好の機会だ。
 ソールスベリーからヒュースロー空港へは電車が頻繁に運行しているが、バス運賃がシニヤ割引も利用出来て割安(前日までに買えば50%割引)で電車に比べると約7割引きと信じられない程安くになる。
 バスの頻度は少ないが空港に着く時間が17時で21:30発のフライト時間からも合致するので、ムダに空港で待つこともない。
 飛行機の混み具合も、往路は隣席が空で助かったし、帰路も同様に空席で少し楽が出来た。

  
6月15日
 タイム:韓国・インチョン空港(14:20-18:50)成田空港(20:45-21:29)-岩槻駅(23:50)
 インチョン空港の待ち時間は広い空席に横になれて体を休めることが出来た。後は成田へ無事遅れず着いて、最終電車で帰宅出来るよう期待した。


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   あとがき
 1)当初計画した通り2つのトレイルを歩くことが出来た。特に、後半のクレアンドン・ウエイは、行動食と水筒だけの空身で歩いた。これまで空身で行動した経験がなかったので「軽量化の重要性」を再認識出来た。

 2)各市の繁華街にある案内所は市内の観光案内が主業務だが、実態は宿の案内と予約受け付けのようだ。テント地やトレイルに関しては情報が少なく(問い合わせも少ない)頼りにならなかった。特に若い担当者は情報をもっておらず年配に依存していた。

 3)ソールスベリーの大聖堂とストンヘンジには日本語版の案内書があった。それだけ日本人の観光客が多いのだろう。

 4)民族の信仰の力とそれを背景にした団結と経済活動の強さを巨大規模の聖堂を眺めて感じた。

 5)ワラ葺屋根の伝統的な民家が各集落に点在して「古いものを大切にする国民性」を示していた。日本では消滅したワラ葺き家と対照的な風土だ。

 6)それにしても恵まれた国土だと思う。利用価値の高い国土の70%は私有地らしいから、裕福な貴族階級が文化を築き、又正義の名のもとに多くの侵略の歴史が、名所・遺跡として残っている。

 7)テント泊とB&B又は小屋利用のトレースではバリエーションが違うので、テントを担げる期間は、テント泊でしかトレース出来ないルートを選んで行きたい。
 そうした視点から考えると英国のフットパスも制限される。ニュージランドも英国と同じ環境のようだから、やはり米国のナショナル・トレイルが適地となるようだ。
          

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   リスト類
  食 料 品 
1)洗 米     
2)ラーメン(チャルメラ)
3)乾燥バナナ  
4)乾燥ワカメ   
5)切干ダイコン     
6)柿のたね    
7)板チョコ       
8)平ビスケット       
9)割 センベイ     
10)小 魚     
11)炒 大豆    
12)フリカケ(梅入 )
13)味噌        
14)梅 酢     
2000g
500g
500g
30g
100g
43gx6s
315g
400g
250g
120g
140g 
36g
6回分
 100cc
15)醤 油        
16)サラダ油     
17)マヨネーズ 
18)塩アメ    
19)焼酎    
20)切コンブ    
21)干ナット  
22)スパゲッテ-    
23)カリントウ       
24)ソーセージ  
25)焼 米  
現地購入品:ワイン、
鳥唐あげ、
ラーメン、持返りの焼ソバ、
ハム、レタス
80cc
適量
適量
225g
700mL
100g
90g
450g
180g
210g
400g




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  装備リスト(各1)

1 テント、ポール、ペグ(小1人用)
2 シュラーフ (赤)   
3      マットレス(波形)  
4      雨具ズボン     
5 バーナ本体     
6 ナベ   
7 靴下(厚手)予備  
8 スプーン 
9 薬品(下痢、頭痛)
10 ライト 
11 腕 カバー 
12 果物ナイフ 
13 下着(半ソデ)  
14 ナイロンひも 10m 
15 爪 切 バンドエイト 
16       ひげ剃り(小)
17 マッチ      
18 網 袋 (小) 
19 サンダル   
20 チリ紙 
21 安全ピン
22 洗面具(ハブラシ) 
23 鍵 

24 地図 
25 腕時計   
26 カメラ(フイルム2本)   
27 バンダナ 
28 ツバ付き帽子 
29 シャツとニッツカズボン 
30 現地(ガス)
31 箸 
32 水筒 350cc 
33 水入れ 2000cc 
34 タオル  
35 リップクリーム 
36 クリーム 
38 櫛  
39 サブ・バック 
40 ワイン抜き 
41 ペン・手帳 
42 現金・パスポート 
43 搭乗交換シート 
44 YHA予約シート 
45 辞典 
(現地購入) ガ ス(230g)    

   会  計 
1)宿泊費:6/1 (£22.6),6/2 (£5), 6/3 (£12),
         6/4 (£5), 6/6 (£50),6/7 (£2),
         6/8 (£3.5),6/19&10 (£10), 6/11-13(£48)
           計=£113.1

2)航空券: \78,000-円

3)バス他交通費:空港〜ロンドン YH迄地下鉄  (£3.8)
                ロンドンYH〜ビクトリア駅迄地下鉄(£2)
           ビクトリア駅〜イーストボーン迄電車 (£19)
           イーストボーン〜キャンプ場往復  (£3.2)
           ブロートン〜ウインチスター迄バス   (£2.6)
           ウインチスター〜キャンプ場迄バス  (£1.3)
           インチスター〜ソールスベリー迄バス (£4.2)
           ソールスベリー〜ストーンヘッジ往復バス(£6.5)
           ソールスベリー〜ブロートン迄バス  (£3.4)
           ソールスベリー〜ヒュスロー空港迄バス(£6.75シニヤ割引)
              計=£52.75
           岩槻・成田往復(4,060-円)

4)食料費: 国内購入分(\3,990-円)
       現地購入分(£15.65)
       現地酒類 (£19)
       焼 酎(\480-円)

5)装備費: フイルム  (\600-円) 
       現地購入分(£3.5)ガス
       地図等(£41)

6)その他: 保険   (\1,060円)、
       成田利用税(\2,040円)
       電話代  (\2,000-円)
       写真代  (\2,300円)
       UK入国税等(\10,560-円)

       *土産品(別途)

    合計支払金額 =\141,430円
           (日本円=\90,470円)
      (UK£=£245x208=\50,960円)

 

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<注記>の解説

  注1 Fair-fields Farm Caravan and camping
       E:enquiries@fairfieldsfarm.com

  
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