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<東北自然歩道・福島から青森へ>
福 島 編 ・・・福島県・白河駅から宮城県・白石駅
期 間:平成16年8月6日から8月15日


安達太良山の遠景
  1 はじめに
 九州の最南端・佐多岬から東京・高尾山までの自然歩道を辿り、この国の風景を少し理解出来たような気がする。
 その延長上に「東北自然歩道を辿って青森まで・・」と夢は広がる。しかし、ゴール到達を主眼とせずに<道中の出合い>自然・人・そして自分自身との出合いを大事に北上したい。
 今回は東北自然歩道・別名「新・奥の細道」の起点、福島県白河市旗宿・白河の関跡から宮城県白石市まで福島県内を主に歩こう。
 同県内のモデルコースは、日帰りを対象にした26ルートあるが、いずれも10km程度の短区間が設定され、この間の連絡コースはバス又は電車利用になっている。徒歩だけのトレースでは連絡コース分の舗装道歩きが増える。
 炎天下の行動を思うと出来るだけ早立ちして午前中にはテント地に着くようにしたい。

 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


  2 行動の記録  総距離223Km―総行動61時間20分(実績値)
 第1日目 8月6日(天気 快晴):JR大宮駅経由・白河駅から南湖公園
                  (距離3Km)行動50分。
 東北自然道・起点のコースは副題「白河の歴史を学ぶみち」で白河駅から白河の関跡までの13kmだ。当初、最終電車で下車駅・白河駅まで行き、そこで仮眠する予定だったが3km先の南湖公園まで進んで条件の良いテント泊とする。そのために時間を繰り上げて家を出た。


 第2日目 8月7日(天気 快晴):南湖公園から鶴子山公園
                 (距離25Km)行動7時間。
 記録的な猛暑が続いているので、今日も厳しい暑さを覚悟して出発。幸い舗装道だから早朝でもライトを点灯せずに歩ける。稲穂が出始めた田園帯とセミ時雨の山間地を3時間ほど南下すると白河の関跡に着く。
 白河の関跡は古代から北方の軍事基地として歴史を感じさせる雰囲気だ。案内板には「奥州3関のひとつで、歌枕として古歌に多く詠まれて・・」とのこと。
 境内の湧き水が火照った喉に心地良い。予想通り舗装道からの照り返しが強く、体が慣れていないので日傘をさしても汗がドット出る。
 才ノ内集落から2つ目のモデルコース「和泉式部を偲ぶみち」に入る。ここは、和泉式部が父を見舞いに来た時、士族の争いで足止めした庵の跡がある。10km進んで簗森集落のバス停でモデルコースは終わる。
 次のモデルコースまで約11km連絡コース歩きになる、途中「鶴子山公園方面」の看板を見つけて行ってみる。最近出来たようなモダンな公園で雰囲気も良いのでテントを設営。
 午後から夜中まで大雨と雷に見舞われたので休憩所の屋根下に設営して助かった。


 第3日目 8月8日(天気 曇後晴):鶴子山公園から泉埼さつき運動公園
                  (距離28Km)行動7時間30分。
 朝方までの降雨で気温が下がって爽やかに出発。昨日と同様に午前中にテント地に着きたい。
 モデルコースは文化財を主にランダムに設定されているので、東西方向のコースが多い。
 次のモデルコース「田んぼの中に広がる史跡を訪ねるみち」までの連絡路9kmは滅多に歩く者もいないのか、畦草を刈る地元の人が「この暑いのに何んで歩いての?」と疑問顔で眺める。たまに会って「おはようございます」と挨拶をすると、必ず「何処へ?何処から来たノ?」と問われる「自然歩道を歩いています・・」と答えても理解し難い顔が返ってくるだけ。
 モデルコース名の通り矢武川と阿武隈川に挟まれた田園風景は、区画整理され現代の農業がうかがえる。
 テント設営の時刻になったので「適地はないか?」と探すが田園地帯では場所が無くJR泉埼駅に着く。駅前の観光案内板を見て2km程トレイルから外れた「運動公園と温泉」へ行ってみる。
 身体が加熱気味だから温泉よりも冷たいシャワーを浴びたい。ともかく公園内に野営地を決めて「疲労回復に!」と温泉に入る。
 「泉埼さつき温泉・こがねの湯」はアルカリ性単純温泉・源泉43.5度、毎分350Lの豊富な湧湯で加熱・加水なしの本格的温泉。公営で入浴料も400円也は割安。温泉と水風呂へ交互に入りサッパリ出来た。


 第4日目 8月9日(天気 曇後晴):泉埼さつき運動公園から小塩江体育館
                  (距離24Km)行動7時間。
 昨日の温泉で疲労感が消えてルンルンで出発。天気も曇り気味でいつも8時過ぎには日射しが暑く感じてくるのに今日は9時過ぎても風が爽やかだ。
 トレイルに戻るべく現在地と進行方向を確認するのに磁石で調べたら急に針が逆方向を指示して混乱。地形と磁石の方向が違うので「狐に騙されたか!」と不安になるが、原因は首から吊るした磁石と同じ紐で吊るしたマグネット付きライトでホッとする。
 今日のモデルコースは日程の3割程度で、小学唱歌「牧場の朝」のモデルとなった場所とのこと。連絡コースを黙々と歩き新屋敷集落を過ぎた所で「町民体育館へ」の案内板を見て「今日も夕立ちがあるようだから屋根下に設営しよう」と行って見る。
 疲れを取るために行水と洗濯は毎日欠かせないので、給水場は設営地の条件であるが、最近は学校の管理が厳しくなって校内での給水も難しく、運動公園等の公共施設が頼りだ。
 体育館の庇にテントを張って夕食をしていたら地元のオジサンが来たので「夕立が来そうだから今晩テントを張らして下さい」とお願いすと「かまわないけど、今夜7時から9時まで若衆がバスケットの練習をするのでウルサイかも知れない」とのこと。雨に濡れるよりマシだからと9時までは、ボールの音をガマンした。


 第5日目 8月10日(天気 快晴):小塩江体育館から三春町運動公園
                  (距離27Km)行動7時間30分。
 今日は珍しく登山のコース「宇津峰の自然と歴史を探訪するみち」を歩く。標高差400mのたいした山登りではないが、久し振りに樹林帯の山歩きで元気が出る。この山は南北朝時代の東北地方における南朝方の拠点として城が整備され、又戦国時代にも激しい合戦の場となったそうで、遺構が多数残っている史跡とか。
 山麓にキャンプ場や広場が整備されてた「市民の森」がある。阿武隈山系の独立峰で山頂には神社が祀ってあったので信仰の山でもあるようだ。
 宇津峰を下山して次のモデルコース「滝桜から城下町三春を訪ねるみち」まで連絡コースを13km進む。
 国指定の天然記念物の滝桜は、案内板にとると「樹齢1000〜2000年のベニシダレザクラは高さ約19m、幹周約9.5mで日本三大桜の一つ」とのこと。花見の時期ではないが雄大な姿から威厳を感じた。
巨大桜の余韻を残して北上し磐越自動車道近くの運動広場にテント設営。5分ほど歩いて馬場の湯「霊泉やわらぎの湯」へ入浴。この温泉は日本ではトップクラスのラジウム放射含有量を誇り「万病の効能」が売り物とか。長期の湯治客も多いようで盆時期にも関わらず賑わっていた。


 第6日目 8月11日(天気 快晴):三春町運動公園から本宮町体育館
                  (距離25Km)行動7時間。
 今回は運動公園での野営が多い。夕立を避けるために出来るだけ屋根下にテントを張るようにしたいので施設内の休憩所は都合が良く、更に水の補給も水道が利用出来るのがその理由だ。
 連絡コースは出来るだけ最短路を選んで進んでいる。登山のバリエーション・ルートで容易なルートを探す心境と同じだ。
 出発後約18kmそうした一般道路を西方へ進みモデルコース「大名倉山を越え安達太良の里を訪ねるみち」の起点本郷集落に着く。このコースは12kmの林道で、大名倉山は安達太良の南裾になる。
林道の途中にライトバンが駐車していたので挨拶をしたら「クマに遭いませんでしたか?」と聴かれた。昨日1頭は仕留めたがもう1頭が潜んでいるので警備しているとの話。
 程なく町の消防パトカーが巡回してきて注意を促してくれた。最近のクマは人を襲うそうで、早々に下山する。
 今夜は雷の心配はないので、給水だけ出来るテント地を捜す。しかし、地図上ではトレイル上に適地がなく、トレイルから別れて本宮町の体育館へ行ってみる。しかし、体育館の敷地内はダメで近くの道路脇の小さな緑地にスペースを見つける。体育館は自由に出入出来たので、シャワールームで汗を流すことが出来た。


 第7日目 8月12日(天気 晴):本宮町体育館から塩沢温泉
                 (距離21Km)行動5時間30分。
 今日は、適当なモデルコースがないので安達太良山の東面裾野の連絡コースを岳温泉経由で塩沢温泉まで進む予定。
 入山初日に左足底に出来たマメの違和感が拡大には至らないのも温泉の効果だと思える。
 今日は通常より短い行動距離だから昼前に着くのでゆっくり温泉に入り休養しよう。北上する交通量が少ない舗装路を進んで大型旅館が目立つ岳温泉を過ぎる。
 道路脇の家庭菜園で赤い種を撒いていたバーチャンに「何の種ですか?」と聞いたら「早稲のナッパを植えてるノ」との返事。男性だと「この忙しいに・・」とムツとされる恐れがあるので滅多に声をかけないが、オバサンは見知らぬ者にも愛想良く対応してくれるので安心して声をかけられる。
 湯川沿いに1km山側に上ると「日本秘湯の湯・湯川荘」の1軒屋に着く。山の先輩が「良い温泉」と推薦してくれた温泉だ。
 直ぐ上のスキー場の隅にテントを設営後温泉に行く。昼時で他に湯治客はなく広い風呂は貸切である。特に露天風呂が素晴らしい。
 わざわざ湯治に来るには大変だがトレースの途中立ち寄りで湯治出来ることは、役得をした気持ちになる。

 
 







第8日目 8月13日
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