TOP

<東北自然歩道・青森へ>
完 結 編 ・・・青森県・八戸駅から青森県・竜飛岬
      期 間:平成18年5月4日から5月15日


 1 はじめに
 半年振りの自然歩道の旅に加え、4年前に鹿児島・佐多岬をスタートして今回の青森・竜飛岬までのトレースで一応区切になり「最後良ければ全て良し」と少々興奮する。
 トレイルは、東北の他県と同様に「日帰りモデルコース」がランダムに県内に設定されて、その代表的なコースを辿って太平洋岸の八戸市から横断気味に十和田湖・弘前市を経て岩木山山麓から日本海の温泉町・鯵ケ沢へ。その後海岸沿いに北上して津軽半島の竜飛崎を終着地とする。
 今回は、国内有数の縄文遺跡・三内丸山遺跡をはじめ、数ケ所の遺跡を訪れる。古代の人々の暮らしに想いを馳せ、池袋バスターミナルから前回の終着地・青森県八戸市へ向かう。
 










       
  春の十和田湖                     竜飛崎と北海道遠望


 2 行動の記録 
 
 概略総距離=285Km。総行動時間=76時間40分(実績値)

 第1日目・5月5日(天気 曇):八戸市から下田公園キャンプ場
                 (距離23Km)行動5時間10分
 八戸バス停で荷物を整理して、最初のモデルコース<大いちょうと牧場のみち>まで連絡コースを約15km北上する。いちょう公園の大いちょうは樹齢1100年以上・幹周16mで日本一とのこと。千年とは云わないが「達者で長生きを!」と巨樹に拝礼する。
 今夜の野営は、満開の花見で賑やかな下田公園の有料キャンプ場にした。



 第2日目・5月6日(天気 晴):下田公園キャンプ場から十和田市
                 (距離24Km)行動7時間10分
 十和田観光電鉄のローカル線沿いに進んで、十和田市街地に入る。官庁街は「日本の道百選」とかで年代物の松と満開の桜に見とれる。市内の公衆温泉・十和田温泉は、掛け流し源泉68度のアツアツ湯で長湯は出来なかったが疲れが取れた。久し振りの舗装道歩きで2日目にして両足底にマメが出来て先が思いやられる。


 第3日目・5月7日(天気 小雨後曇):
              十和田市・若葉公園から十和田湖温泉郷・スキー場
              (距離23Km)行動6時間
 天気が悪いし足底のマメも気になるので、当初予定していたモデルコース<落人の里を訪ねるみち>を省略して国道を奥入瀬渓谷へ向かう。
 十和田湖温泉郷の公衆浴場・市民の家で疲れを癒す。野営地はスキー場の無人管理棟の軒下を借用する。


 第4日目・5月8日(天気 小雨後曇):
          十和田湖温泉郷・スキー場から十和田湖・展望台
          (距離33Km)行動8時間20分

 奥入瀬渓流歩道は観光の名所で自然歩道としては別格のコースで、奥入瀬川沿いに14km先の十和田湖へ繋がる素晴らしい散策路。途中、女盗賊鬼神・お松の伝説にある「石ケ戸」の大岩帯には残雪が残っていた。
 十和田湖北岸沿のモデルコース<湖畔を歩くみち>は途中から廃道になり3km戻って国道102号を進み、最高地の駐車場・展望台に野営。周囲は残雪が2〜3m以上残っていて今夜は冷え込みが厳しそう。




 第5日目・5月9日(天気 快晴):十和田湖・展望台から大鰐温泉・茶臼山公園
          (距離34Km)行動10時間40分

 昨日の続きで道路脇はタップリ残雪が残っている。滝ノ沢峠で予定コースと合流して一路西へ国道・454号線を進む。公道には行き先と距離が表示されているので目的地までの励みになる。
 大鰐町まで野営地がないし、温泉にも入りたいので古い湯治場の大鰐温泉まで頑張ろう。雪を被った岩木山が見えると大鰐町も間近だが、長時間の行動で心身共に疲労した。大鰐町の茶臼山公園内の休憩所に設営後、掛け流しの公衆温泉へ。入浴料金¥150円也の安さに驚く。


 第6日目・5月10日(天気 晴):大鰐温泉・茶臼山公園から岩木山運動公園前
                    (距離30Km)行動9時間10分
 W字状に設けられたモデルコース<名水と忍者修験道のみち>と<座頭石と久渡寺参拝のみち>は一部シングルトレイルになっているので「十和田湖コース同様に廃道だろう・・」と敬遠して公道を弘前市街地へ向かう。弘前城周辺の桜も2日遅れで殆んど散っていたが、堀の水面は一面の花弁で満開の素晴らしさを想像した。
 その後も世界一と自称?の桜並木の花見をしながら岩木山の山麓を歩いていたら、農家のオヤジさんが車を止めて「車に乗らない?」と声をかけてくれた「ありがとうございます。でも、急ぐ旅でもありませんので・・」と辞退。「頑張って!」と荷台の納品箱から2個リンゴをくれた。


 第7日目・5月11日(天気 晴):岩木山運動公園前から鯵ケ沢温泉
           (距離28Km)行動8時間
 岩木山麓のモデルコース<桜並木と山の出で湯をめぐるみち>は残雪があり歩けないのでトレイル沿いの国道3号・百沢街道を西進。古い湯治場の嶽温泉郷や山頂直下へ向う岩木スカイライン交差点を通り鯵ケ沢温泉に到着する。
 早速、中世ロマンの隠れ湯「水軍の宿」に入浴。30万年前の海水湯で温泉質はナトリュウム塩化物強塩泉・51度で露天風呂の寝床湯に浸かって「極楽極楽・・」一週間歩いて青森県を横断して来たかいがあった。


 第8日目・5月12日(天気 快晴):
           鯵ケ沢温泉から車力・牛潟池

             (距離34Km)行動8時間20分
 昨日通った山麓と残雪の岩木山に見送られ、今日から日本海沿いに北上する。田園風景に代掻きのトラクターの音が長閑に聞こえ春旅を満喫。モデルコース<ベンゼ湿原と縄文のみち>を進むと、七里長浜で「世界一の埋没林」や亀岡石器時代遺跡を通る。案内板の説明を読みながら往時を偲ぶ
 車力村の牛潟池付近で野営地を捜すが、公園等もなく山林帯に入り造成中の空き地にテントを張る。その後、村営の「しゃりき温泉」で疲れを癒す。この温泉は掘削深度800m泉温48度のナトリューム塩化物泉で村おこし施設。


 第9日目・5月13日(天気 快晴):
            車力・牛潟池から小泊町・道の駅

     (距離34Km)行動8時間10分
 満開の桜と松林のコントラストが美しい「百選の松」の豊富集落を過ぎ、国道12号を北上すると、しじみの名産地・十三湖に着く。ここの名物・しじみラーメンを食べようと期待していたが、時間が早過ぎて何処も閉まっている。「ダメか・・」と諦めて歩いていたら、十三湖大橋の先の駐車場で早朝開店の出店があり名物に有りついた。
 外食はしない旅だから、久振りの下界の味でスッカリ元気になり一路今夜の野営地・小 泊村を目指す。残り日数が減り荷物も12kg程度で軽くなりピッチが上がる。
 予定では温泉マークがある小泊村に泊まるつもりだったが、村内のオバサンに場所を聞いたら「今はやっていません」との返事。今夜は雨の予報だから休憩所の屋根下にテントを張りたいので、4km先の道の駅まで進む。


 第10日目・5月14日(天気 小雨後曇):
             小泊町・道の駅から竜飛埼終点・終了後バス

                (距離22Km)行動5時間40分
 予定通り今日はゴール地の竜飛崎へ着けそうだ。一時はマメが出来て「途中敗退では・・」と案じていたが、無事完歩出来そうで雨にも拘わらずワクワクして出発。
 津軽半島の日本海沿いは鳥取地方に似て閑散とした風景だ。龍泊ラインの舗装道は海岸から離れて500m程標高を上げて峠を越えると竜飛崎と北海道が間近に見えてくる。岬には東北電力の白い風車が数基望まれる。
 竜飛崎で最後のモデルコース<竜飛崎と青函トンネル体験のみち>を歩く。また、日本でただひとつの<階段国道>は339号線で車が通れないユニークな道があった。
 トレース終了後、バスと電車を乗り継ぎ青森駅に出て、駅からバスに30分程乗って丸山三内遺跡を見物後、青森駅から夜行バスで東京駅へ帰った。

    
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




3 あとがき(教訓と所感)

 1)半年振りにザックを担ぎ「歩きのコツ」を忘れたようで、初日から両足底にマメが出来て苦労した。原因は、歩数が体重(58km)+荷物(14kg)の負荷と舗装道の衝撃に対応していなかったようだ。
 今後の対策は、体重と荷物の軽減化。歩数は毎分90ピッチ程度が適当(今回は100ピッチ前後だった)但し、後半に荷物が軽くなって身体が慣れてきたら100〜110ピッチ(時速4〜4.5km)許容。

 2)有酸素運動の範囲で行動するためには、呼吸数は鼻から3歩間吸い、口から9歩間ゆっくり吐く(坂道等の負荷が増える時は2歩間吸い、6歩間ゆっくり吐く)。尚、加齢やその日の体調と共に変化するので、適正値を歩き初めにチェック要。

 3)夜行バスは現地に早朝に着くので便利。座席は最前列が足を伸ばせて楽、又中央席は左右の空間が活用出来るので、早目に予約して優先席を確保したい。
 
 4)5月は、まだ一部トレイルに残雪が残っており通れなかった。しかし、夏場でもシングルトレイルは廃道でトレース不能路もあるので事前に役所の担当者に確認要。トレイルがダメでも近くの公道を歩くことで東北地方の自然を堪能出来た。

 5)温泉の豊富な土地柄の恩恵を受け、6回入浴して疲労回復が出来た。何処も掛け流しの本格温泉で「青森まで来たかいがあった・・」と満足。疲れた体には何よりのご馳走だった。その為にこれまでにない長距離を歩くことが出来た。

 6)いつもの事だが、下山日の前後で旅の醍醐味を味う。即ち「明日は下山」と思うと子供時代の遠足で前日のワクワクと同じ興奮と、当日は無事旅が終わってホッとした安堵感に満たされる。

 7)5日目にポシェットに入れてた時計を落とした。疲労で注意散漫になっていたのが原因だが、今後は紐等でフイックスしたい。

 8)三内丸山遺跡は、縄文時代の大集落で今から5500年も前から約1000年間もの人々の居住跡で、想像以上の規模に驚いた。遠方の八甲山を眺め、空を仰ぎ「縄文人も眺めていたのだろうか?」と復元された数棟の建造物を見ながら想いを馳せた。


 9)食料・装備について
 −1)切干ダイコンを水に浸し常備し、生食やミソ汁の具に使用した。
 −2)痛風気味で医者から禁酒を勧められているので、酒は飲まなかった。
 −3)手製のインナーシュラフと夏用のシュラフで防寒可。
 −4)ストツクは現地で適当な枯木を利用した。


  
    詳細な行動タイムと資料は・・・・・資料編へ