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<東北自然歩道・福島から青森へ>
宮 城 編 ・・・宮城県・白石駅から岩手県・一関駅
期 間:平成16年11月8日から11月17日


宮城蔵王の紅葉
  1 はじめに
 東北自然歩道「新奥の細道・その2」として今回は宮城県内をトレース。前回のゴール地・JR白石駅を起点として岩手県のJR一関駅まで約230Km歩く。両駅とも夜行高速バスを利用出来るし又、食料と装備品でも10日間程の日程が体力的にも都合が良いようだ。
 岩手県内のモデルコースも福島県のコースと同様に短いトレイルがランダムに設定されており忠実にモデルコースをトレースするのはムリで、基本的には宮城蔵王山麓を北上して途中から北上川まで東進し川沿いに北上して岩手県内に至ることにする。
 これまでの山旅では、食料からの摂取熱量より行動時の消費熱量が多く不足分を体脂肪で補っているので、今回は具体的に入出力熱量をチェックして収支バランスを考察してみたい。
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

  
 2 行動の記録  総距離232Km―総行動60時間40分(実績値)
 第1日目 11月8日(天気 曇):岩槻駅経由白石駅から七日原集落
               (距離22Km)行動5時間40分。
 仙台行きの夜行バスが岩槻駅に停車するので便利だ。加えて電車より運賃が安く「年金生活者向け」だから今回のような旅に限らず東北の温泉地等に利用したい。そんなことを思い巡らして4時間半で未明のJR白石駅に着く。 
 ライトを頼りに市内を北上して白石川を渡る。今日は県道254と457号を歩いて鎌先温泉、遠刈田温泉を通る。いずれの温泉も豊富な湯量と古い伝統の湯治場だから入浴したい。
 まだ7時前で鎌先温泉は人の気配はなく何処も開店前「風呂は次の温泉にしよう」と先へ進む。温泉の周辺は「弥治郎こけしの里」のモデルコースになっているが一部は落ち葉で埋められた廃道で諦め途中から「弥治郎こけし村」へ向かう。
 寒気団が上空に張り出していて西風が冷たく、晩秋と云うよりも初冬の気象で防寒具着て手袋を出す。
 遠刈田温泉街の3km手前に「孝の湯」と云う共同湯が道路脇にあり「冷えた体は暖まるに限る!」と10時前だがザックを降し大休止とする。
 温泉から40分進んだ七日原集落の野球グランドに吾妻屋の休憩所を見つけて今夜のテント地にする
 

 第2日目 11月9日(天気 快晴):七日原集落から山崎集落
                (距離28Km)行動8時間。
 寒さに慣れないので歩いていても身体の芯が冷えて来る。出発して30分で遠刈田温泉街に着く。ここの共同浴場は24時間営業しており、早朝の冷え込みを誇示するように白い湯煙が「お風呂・・暖かいヨ」と誘う。誘惑に負けて「朝風呂で英気を養おう」とザックを下ろす。夜明け前だが20畳ほどの湯船に5人の常連客がいた。
 この6km先にも県道沿いに青根温泉があり宮城蔵王地区は温泉のオンパレードだ。いずれも300円程度で掛け流しの湯に入れるのが魅力的。
 朝モヤの霊気のような霧が晴れ、天候は昨日と変わり快晴。雨の心配がなく野営地も屋外に出来るので気持ちが楽だ。
 予定の時間歩いたので、山崎集落の手前の廃道に入った沢沿いに野営する。夕方6時には暗くなり星座が輝きだすと気温がグッと下がる。
 シュラフにモグリ明日の予定を復習していると、傍観者の立場からいつしか自然を構成する一員になり和合している自分に気ずく。


 第3日目 11月10日(天気 快晴):山崎集落から大倉ダム公園
                 (距離26Km)行動7時間10分。
 昨日と同様に素晴らしい快晴。山林帯に入ると数ヶ所「クマの出没・注意」の新しい看板がある。時節柄気持ちが悪いので秋保町馬場から尾根越えの山道を避けて県道沿いに野中集落経由で熊ケ根へ抜ける。
 とこが野中集落からの林道を「大丈夫だろう・・」と近道したのが裏目に出て、途中から林道は消えてヤブコギになり、やっと尾根筋で登山道に出て登る予定でない戸神山を越え大汗をかく。
 この付近は林道でも使用されていない道があり地元の人に聞くことが大切だ。しかし「東北自然歩道は?」と聞いても殆んど認知されていないので、道が不明確になったら「基本通り引き返す」に限る。
 昨夜は冷え込みが厳しく霜でテントがベトベトに濡れたので、熊ケ根集落の先で30分ほど休憩して乾かす。今夜も冷えそうだから出来れば屋根下に設営したい。
 大倉ダムの北面にダム公園がありトイレの軒下が利用出来るので「今日はこれまで」とザックを降ろす。


 第4日目 11月11日(天気 曇):大倉ダム公園から七ツ森ダム公園
                (距離28Km)行動7時間40分。
 天気は下り坂で気温が夜中から上昇。シュラフから出ても平気だ「雨になる前にテント地まで行こう」とライトを頼りに出発。
 2時間先の北田ダムまでは県道歩きだからクマの心配もない。と思っていたらダムから先の林道が未舗装道で荒れていて心細くなる「・・クマが出ぬように」と歌や奇声を上げて3Kmの雑木林を通過してホッと一息。更に4Km交通量の多い223号線が過ぎると泉ケ丘青年の家から再び林道に入る。林道を4Km先の滝ノ原温泉まで「クマ注意」の看板が数ケ所あり「誰か連れが欲しいナ」と緊張して歩く。
 一軒宿の滝ノ原温泉・ちどり荘は自家用車しか入れない閑静な宿で10時から入浴のみ可能。早速¥350也で貸切の掛け流しの湯船に入ると身心共に疲れが癒される。
 一風呂浴びて爽やかになり一路テント予定地の七ツ森ダム向かう。今夜は雨だから屋根下に野営したい。コース上可能性が高いのは公園の休憩所だから「適地がありますように・・」と期待して進む。
 1日の行動時間を8時間として残り16時間は野営地の環境に影響される。特に雨天時は大きな要因になるので慎重に場所を決めたい。
 七ツ森ダムに休憩所があったが「ここでのテントは禁止」と立派な看板があり無視する訳にもいかず、少し離れたダム大橋の下の河原に設営。


 第5日目 11月12日(天気 雨):七ツ森ダム公園から三ケ内運動公園
                (距離19Km)行動4時間50分。
 朝から降雨に「ミズレにならなければ良いが・・」と案じながら早朝の奥州路を進む。モデルコースはダム対岸からシングルトレイルを七ツ森、松倉山頂を経て信楽寺前バス停に至るがクマ出没と山道が不明で敬遠、県道を経てバス停に出る。
 トレイルは宮城蔵王地区から仙台湾向けて連絡コースを東進する。小雨になるが今日は終日傘が必要のようだし、足指はフヤケてダメ−ジが気にかかる。
「早めに野営しよう」と休憩所を物色して歩と三ケ内集落のグランドゴルフ公園に管理小屋があり、屋根は期待出来ないが水道が使える。
 この先、軒下はおろか水場の期待も出来ない、半日の行動だが濡れた足は「早目にストップ」と信号を出しているので「屋外設営やもなし」とザックを下ろす。


 第6日目 11月13日(天気 晴):三ケ内運動公園から新涌谷橋
                (距離33Km)行動8時間4030分。
 昨日の分を取り返すべく早朝に出発「30分歩いて十字路を右折」とライトを頼りに進む。
 予定より少し早いが十字路に着いたので迷わず右折して進むが道の方向が違う「オカシイ?」と地図と磁石で調べるが肝心の周囲か薄暗いため現在地が確認出来ない。「早発ちが裏目に出た・・」と反省しても後の祭りで原因は一本手前の新設道路を間違えてしまった。
 昨日より更に広い水田風景になり周囲に人家も見当たらない。一枚で何反もある水田も休耕で大豆畑に変わっている。途中で聞いた話だが、この付近も稲作は機械化が進み個人では難しく共同化しているそうだ。
 水田地帯を過ぎて南郷町の久米田集落から5kmほど先のニ間堀集落まで旭山ハイキングコースになる。このモデルコースは1/5万地図に「東北自然歩道」と明記されている数少ないコースだ。人気のあるコースのようで道は整備されて忘れていた土の歩道を懐かしみ進む。
 昼近くなり野営地を捜す時間だ今夜も雨の予報だから屋根下のテント場を探しながら進む。生憎公園らしい場所もなく涌谷町に入る。町中には期待できないので手前の江合川にかかる新大橋の河原に適地を見つけてホッとする。橋を渡った所にコンビニがあったので酒の補給と夕食のオカズを購入。


 第7日目 11月14日(天気 曇):新涌谷橋から登米運動公園
                 (距離26Km)行動7時間10分。
 涌谷町の江合川岸に日本初の産金地・黄金山産金遺跡がある。併設して「天平ろまん館」には関連の出土資料が展示されているらしいが早朝で見ることが出来ない。
 町から先9km区間はモデルコースで箟(のの)岳と箟岳観音まで続く。モデルコースだけあって数ケ所「東北自然歩道」の道標と案内標識があり「トレイルを歩いている」と安堵感が湧いてくる。
 箟岳は白山寺を中心に24寺の一山で奥州三観音の一つ。本尊は十一面観音像で9世紀に坂上田村麻呂が建立したとのこと。
 モデルコースが終わると旧北上川に出る。冬を待つ水田地帯の中を7kmほど西風にあおられて北進して湖畔を整備中の平筒沼に着く。休憩所の野営地があるが更に進みたいので北上を続ける。
 北上川沿いに北上するモデルコース「みやぎの明治村みち」の起点・登米(とうま)町に着く。この町は明治の一時期県庁が置かれ当時の洋風建築が現存しており又、芭蕉が一泊した検断跡地が観光ポイントとのこと。
 町外れの総合運動公園の休憩所にテント設営。明日から北上川沿いに北上すると今回のゴール地・岩手県の一関駅も視界に入ってくる。
 
 
 第8日目 11月15日 
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