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  <北海道自然歩道・オホーツク東&南海道> C9&C10
・・納沙布岬から網走駅へ・・
期 間:平成26年8月19日から8月31日 (13日間)

  
ウトロからオホーツク海の日没


 1 はじめに 
 北海道でも特に「最果ての大地」と呼ばれている道東地方は鮭が溯上する数本の河を有し、その源流は釧路湿原に至ると云う。この大地に策定された長距離自然歩道(C9&10)は大幅な遅れで未整備だが計画案を参考にしてトレースする。起点の納沙布岬へ3年前に訪れた時は、悪天候のためバスを利用したので今回は歩きたい。
 その後、根室駅から電車で厚床駅まで戻り知床半島を目指す。今回のコースは人家が少なく、食料調達と入山時の燃料ガスの入手がポイントとなるようだ。

 
歩行時のタイムやポイント等、参考用として「テント泊の資料編」を作成。

 2 トピック&スケッチ

  概略総距離=254Km(実績値)  総行動時間=69時間(実績値・休憩時間を除く

第1日目 8月19日(天気 雨):釧路空港から根室駅・総合運動公園
           距離:1km。行動時間:20分
 朝一番でフライトの空席割引を狙い、始発電車で羽田空港へ向かう。しかし、予定の中標津便は満席。やもなく釧路空港への遠廻りになり夜中に
根室駅到着した。

 子供連れが目立つ羽田の空港ターミナルは、お盆で帰京した人達で混雑していた。


   キャリアを 従え急ぐ
   子供連れ
   なれない旅に 疲れふりまく 





第2日目 8月20日(天気 曇):納沙布岬から根室駅経由厚床駅 空身
           距離:24km。行動時間:6時間20分
 
根室駅に荷物を預けて、初発バスで納沙布岬へ行き復路を根室駅まで歩いた。駅から厚床駅まで前回歩いているので電車で移動し厚床駅構内の待合室に野営した。

 根室半島には集落が少ない。生活するには気象が厳し過ぎ、痩せたヒースの原野地帯は牧場や耕作に適していないようだ。


   開拓を 拒み続けて
   原生の
   納沙布岬 夏草しげり  





第3日目 8月21日(天気 曇):厚床駅から西別川橋・昭和記念館
           距離:23km。行動時間:6時間30分
 
厚床駅から北上する国道・243号線を辿る。奥行から国道・244号線へ入り、兼金沼付近から広域農道をひたすら北上した。

 風蓮湖一帯は湿地が広がり牧場にも適さない原生林が続く。それでも狭い台地には牧草地があり開拓民の逞しさを感じる。


   草をはむ 放牧の牛
   風景の
   なかで際立つ 白黒模様





第4日目 8月22日(天気 曇後雨):西別川橋から尾岱沼・ふれあいキャンプ場
          距離:24km。行動時間:6時間40分
 湿地帯から離れて
尾岱沼(おだいとう)まで比較的大規模な牧場が続く。その間を大型の牛乳タンク車が集荷していた。現在も課題はあるだろうが牛舎からは活気が感じられた。

 幾本もの川が原生林の湿地帯を蛇行して根室湾へそそぐ。川面を眺めて鮭の溯上を想い描く。


   ゆるやかに 湿地流れる
   鮭の川
   橋名に残す アイヌの言葉






第5日目 8月23日(天気 大雨):尾岱沼から伊茶仁・店舗跡
           距離:18km。行動時間:4時間50分
 ラジオは「50年振りの大雨」と報じ各地に被害が発生している由。道路警報に「雷注意報」が点灯、早々に野営地を探しながら国道を北上した。


 強風雨で視界が閉ざされると、周囲から圧倒的な野生の営みが迫ってくる。


   ジャングルと 芦の湿原
   まさぐれば 
   アイヌの神の 気配感じる 








 
第6日目 8月24日(天気 曇後雨):伊茶仁から峯浜・陸志別川橋
           距離:26km。行動時間:7時間30分
 今日で4日間、根室海峡沿いに北上するが各所に「北方領土返還!」の看板があった。海峡越に大きな国後島の島影が望めたが遠い国に思えた


 前方に知床の山稜が薄く浮かんでいる。ようやく知床半島に近ずいたようだ。


   朝モヤの 奥に聳える
   知床の
   羅臼岳から 山波北へ 








第7日目 8月25日(天気 晴後曇):峯浜から羅臼・国設羅臼温泉野営場
           距離:22km。行動時間:5時間50分

 知床半島の東岸のターミナル・
羅臼町は観光客で大賑わい。世界遺産の半島巡りの拠点として栄えていた。

 厳しい冬に耐え国道を守る。そんな意気込みを羅臼峠付近のスノーシェルタは物語っている。



    いくつもの シェルタ通り
    峠越え
    北の大地の 夏は短かく






第8日目 8月26日(天気 曇後雨):羅臼から知床峠往復(復路はバス利用
           距離:14km。行動時間:3時間40分(空身)
 
国設羅臼温泉野営場に2泊して空身で知床峠へ行った。温泉付きのキャンプ場は理想郷で何泊でも逗留したい。  

 キャンプ場と道路を挟んで露天温泉・熊の湯がある。入浴無料で地元の有志が管理している由。


   あつあつの 源泉あふれ
   熊の湯の
   白い湯煙 旅人いやす






 峠での設営はムリのようなので、空身で峠へ行きバスでキャンプ場へ戻る。



  知床の 峠の空に
  虹が出て
  凄いすごいと カメラ取り出す





第9日目 8月27日(天気 雨後曇):羅臼からウトロ・国設知床野営場
           距離:20km。行動時間:5時間10分
 知床峠付近は昨日同様のガス。煽られながら早々にオホーツク側へ下山してターミナル・ウトロ町の
国設知床野営場に設営。キャンプ場に夕陽のスポツトがあり素晴らしい夕陽を眺めた。

 オホーツク海から吹きつけるガスで峠の視界はゼロ。晴れておれば国後島、択捉島の展望が楽しめるそうだ。


  冷風雨 峠付近の
  夏は去り
  一目散に 山麓めざす








 昨夜は羅臼の露天風呂で今日はオホーツク海の露天風呂・夕陽台の湯で疲れをいやす。


  カモメ飛ぶ ウトロの浜の
  露天風呂
  眠気を誘う 磯の波音








第10日目 8月28日(天快 快晴):ウトロから峰浜・自然休養村センター
           距離:26km。行動時間:7時間20分
 ウトロ〜斜里町間は国道・334号線を辿るが食料店は勿論人家もない陸の孤島を思わせる。冬の厳しさを想像しながら野営地を目指した。


 オホーツク海側も鮭が溯上するようで河口付近では早朝から釣をしている。


   釣人は 竿を伸ばして
   サケ狙い
   釣果夢見る 朝のひととき









第11日目 8月29日(天気 快晴):峰浜から浜小清水駅・ユースホステル
            距離:34km。行動時間:10時間 
 心身の負担を考慮して今日明日の2泊は舎営にした。斜里駅からは鉄道と並行して進むので途中から乗車可能なシニア・ロングウオーク・ウエイ。


 未明に満天の星座を仰ぐ。夜明け前の寒気が好天気を約束してくれる。


   雲ひとつ なき大空に
   朝陽さし 体ほぐれて
   こころウキウキ




   ひとすじの 雲なく晴れた 
   大空に 
   夏と云うより 秋の風吹く



第12日目 8月30日(天気 快晴):浜小清水駅から網走駅往復(復路電車利用)空身
           距離:21km。行動時間:4時間50分
 荷物を宿に預けて空身でゴール地点の網走駅まで歩いた。途中、小清水原生花園、涛沸湖、藻琴湖、そして市内では郷土博物館、モヨロ貝塚館を見学した。


 ハマナスの花は赤い実に変わり、萩の可憐な薄紫の花が秋の到来を知らせる。



  ふたつみつ  ハマナスの花 
  咲き遅れ
  風に吹かれて 独り頑張る

 





 1500年前に栄えたオホーツク文化の北方狩猟民族は何故消滅したのか?貝塚からは自然と共生した厳しい且つ豊かなヨモロの民のメッセージを感じる。
 

  網走の ヨモロ貝塚
  訪ねれば
  いにしえびとの 暮らし偲ばる






第13日目 8月31日(天気 快晴):浜小清水駅から網走駅・女満別空港経由羽田空港
 往路は満席だったので復路は「大丈夫?」と案じて空港へ行った。幸い便数が多いので一番の便に乗ることが出来た。
 

 明日から9月。北の大地の夏は短いことを肌で感じつつバスを待つ。


   長旅の 疲れ癒して
   ひと休み
   暑さ恋しや 網走の朝

 






            
                  
 根室半島・トーサムポロ沼


 3 あとがき(所感)


 1)予想に反して前半は天気が悪く設営地を探すのに苦労した。また懸念していた食料調達については3日ピッチで比較的大きな町(尾岱,羅臼、ウトロ、そして斜里)で入手できた。また、燃料ガスについては駅案内所の紹介で釧路市モール街へ行き入手した。

2)トレイルは国道や道道しかなく直線路が基本。歩道の無い所もあったが車数が少なく危険はなかった。自転車と自動二輪のツーリングには頻繁に出会ったが歩行者は皆無で歩道は貸切だった。

 3)根室半島を歩いてみてバスでは判らないもの、例えば植生の様子や草花群生、人家のつつましい暮らしぶりを感じた。

 4)地の果てと云われる東北海道の各所に遺跡が残っているのに驚いた。標津町のホー川史跡には1万年前の竪穴住居跡があり、解説によると冬は氷点下20度を下回るが、湧き水と鮭とミズナラの森が人々の生命を支えていたとのこと。また、網走のヨモロ貝塚は1500年前とは云え、北方狩猟民族のオホーツク文化は貴重な歴史として印象深い。

 5)別海町の新酪農村は酪農日本一とのこと。現在の繁栄は、明治以降に入植した開拓者達が多くの苦難を乗り越えた結果だ。昭和記念館の碑に刻まれた冷害、空腹、病弊に耐えた歳月について先人達の心意気を感じた。

 6)加齢に伴い感覚(視覚、聴覚、味覚等)の劣化は自然の流れで嘆くにあたるまい。それに代わる知覚(心情、知恵、感情)に期待して「きらめきと感動」を深めたい。

 7)具体的には、最終日の2日間は舎営泊(ユースホステル)とした。舎営は野営に比べて歩行負荷が軽減される。即ち、野営地探しや夕食の手配不要(費用はアップ)。また、野営泊でも連泊して空身行動が可能になった。こうした歩行スタイルはシニア時代のロングウオークとして今後採用したい。

 8)更に、日数も10日間程度に短縮、連泊2ケ所(舎営4日間、内2日は空身)にしてテント泊を減らして心身の負担軽減に努めたい。なお、コースの選定は宿泊地を基準になるが自主設定も旅の面白さを期待出来る。 

 9)日帰り温泉と舎営泊で7日間入浴出来た。シニア・ウオークとしては歓迎パターンだから今後も計画に織り込みしたい。

 10)食料について 
・朝食はラーメン、夕食は無洗米(140g)+塩コンブのオジヤ。
・行動食は食パン+マヨネーズとチョコレートやピーナツ類で汎用性がある食品。
・コンソメ素+切コンブは朝食パン時のスープになった。

 11)装備について
・燃料ガスは230gボンベで消費時間は10日間(朝夕使用)+20分空燃焼。
・雨具は手製の大型ビニールシートで荷物と肩まで全部覆う。
・行動食やカメラの保管用として小型ポシェトをザックの腰バンドに取り付けた。
・雨傘は膝下にさし靴濡れ防止に効果大。
・録音付きの携帯ラジオあり、雨天時のメモ用として検討要。


         
           斜里町・天へ続く道(十数キロの直線道)
 
 「テント泊の資料編」  
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