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<北海道自然歩道・ 東西横断> A4~A6 帯広市から納沙布岬
期 間:平成23年6月13日から6月24日 (12日間) |
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![]() ![]() 霧多布湿原の原野を行く |
1 はじめに 一昨年に到着した「A4路線・太平原の道」の途中・帯広駅を今回の起点とする。トレイルは釧路市・根室市を経て「A5路線・霧と湿原の道」及び「A6路線・海峡の道」を東進し、終了点の納沙布岬に至る。4年前、函館市をスタートして今回で4度目、北海道の東西横断と南北縦貫のトレースに区切りをつけたい。 歩行時のタイムやポイント等をテント泊歩行者の参考用として「別紙「資料編」を作成。 |
2 トピック&スケッチ 概略総距離=314Km。総行動時間=82時間10分(実績値・休憩時間を除く)。 第1日目 6月13日(天気 曇):羽田空港から帯広空港経由・十勝温泉・エコパーク 第2日目 6月14日(天気 雨後曇):十勝温泉・エコパークから十佛駅 距離:26km。行動7時間10分 十勝川を右手に見て根室本線沿いに南下。池田町付近は緩やかな丘陵地帯にぶどう畑が広がる。夜間の降雨に備えて十佛駅前の駐輪所に設営した。 ![]() 難しいとされていた寒冷地用ぶどうを試行錯誤のうえ開発。国際的にも有名になったブドウの若芽が眩しい。 十勝野の ぶどう畑は 青々と ワイン文化を 育む大地 第3日目 6月15日(天気 曇後霧雨):十佛駅から上厚内駅 距離:29km。行動時間:8時間 豊頃駅から通称「十勝国道(38号線)」を終日歩く。大型車が直線道路でスピード感が湧かないのと信号がないので高速道路のようだ。 ![]() 地平線まで麦やトウモロコシ畑が続き、北海道特有の直線道路が伸びている。幹線国道で大型車が途切れなく追い越して行く。 爆音と 風圧残し 大型車 小さくなって 点となり消ゆ 第4日目 6月16日(天気 曇後晴):上厚内駅から音別駅 距離:24km。行動時間:6時間 上厚内から国道と別れ、厚内経由で直別駅までの道道路1038号線は静かで、海岸沿の原野が広がりカッコーの声も長閑。音別は周辺のターミナル町で銭湯があり入浴した ![]() 人工林と違い自然林は丸味をおびて安らぎを与えてくれる。しかし、人力とわずかな道具だけで原野を耕地に変えた開拓民の苦労を想像した。 朝霧に 若芽を濡らす 広葉樹 淡い香りに 心ときめく 第5日目 6月17日(天気 曇):音別駅から庶路駅 距離:26km。行動時間:6時間30分 昨日に続き高速道路並の幹線国道を辿る。対抗車がいなければ車も反対車線に除けてくれのけど風圧で帽子が飛ばされそう。連絡区間を歩くのはムリと反省した ![]() 歩道のない国道などめったにないが、今日は1m程の路肩しかない。歩行者など通ることがない区間だから運転手もイライラしていることだろう。 国道の 歩道が消えて 改めて 車の威嚇 骨身にしみる 第6日目 6月18日(天気 霧雨):庶路駅から東釧路駅 距離:27km。行動時間:7時間 釧路地方は、年間の霧日数が日本で一番多いとのこと。海上で発生した濃霧は陸地を覆い湿地帯の植生を育むのかも知れない。十勝街道はいつの間にか釧路街道となり釧路市へ向う。 ![]() 海岸沿いに荒波の音を聞きながら東進。釧路特有の濃霧が身にまとった雨具を濡す。 北海の 原野を覆う 霧深く 旅情を誘う 無色の世界 第7日目 6月19日(天気 晴):東釧路駅から尾幌駅 距離:31km。行動時間:8時間10分 東釧路駅前の大型スーパーで食糧品を補充。この先厚岸までほとんどの集落に食料店がないので、補充を忘れると行動に支障を来たす。 ![]() 久し振りに太陽を拝む。草木は短い夏を惜しむように若葉を広げ、むせかえる香りがミトコンドリアを刺激する。 霧晴れて 初夏の陽浴びる 自然林 みどり深まり いのち輝く 第8日目 6月20日(天気 曇後晴):尾幌駅からあやめケ原入口 距離:32km。行動時間:8時間40分 厚岸湖を含む道立自然公園は文化財も多く釧路市に次ぐ観光のメッカ。海岸沿いの一般道は車も少なく、最近クマが出没したらしいので鈴を鳴らして進む。 ![]() 歩き始めて一週間が過ぎ、歩行や野営にも慣れ、加えて天候も安定。広々とした原野の開放感に浸る。 山の唄 記憶頼りに 口ずさむ 調子はずれに 小鳥が笑う 第9日目 6月21日(天気 曇後晴):あやめケ原入口から霧多布・魚協バス 距離:31km。行動時間:8時間10分 昨日同様に北太平洋シーサイドライン(123号線)を東進。この付近はコンブ出荷量日本一で今日が解禁日とのこと。当地は魚介類の宝庫で10月中旬まで忙しいと浜のオバサンが笑顔で答えてくれた。 ![]() 何々散布と名前の付いた小漁港では、今朝採ったコンブを陸上して近くの干場で忙しく並べていた。集落間は無人地帯で道路脇の「動物注意」の看板が目立。 クマ笹の 土手の向こうに 鹿2頭 頭をあげて キーンと一声 第10日目 6月22日(天気 晴):霧多布・魚協バスから厚床駅 距離:31km。行動時間:8時間 北太平洋シーサイドラインは納沙布岬まで続いており道に迷うことはないが、浜中湾沿いには設営適地(休憩舎や無人駅)がないので一度JR線へ出た。 ![]() 珍しく夜明けのご来光を拝む。こんな好天気もまれらしい。コンブ干しには最高の一日となるだろう。TVで見たアフリカのサバンナのようだ。 霧晴れて 円弧を描く 地平線 湿原萌えて 初夏の風吹く 第11日目 6月23日(天気 曇):厚床駅から西和田駅 距離:35km。行動時間:9時間30分 初田牛駅から再び北太平洋シーサイドラインに出て落石、昆布盛を経て貨車転用の無人駅・西和田駅に設営した。 ![]() 厚床から初田牛間は降雪が多いのだろか道路脇に可動式防護板が目立つ。又200m程のスノーシエルター(トンネル)を初めて見た。 シェルターと 道路を守る 防雪器 しばれる冬に 耐えてたたずむ。 第12日目 6月24日(天気 風雨):西和田駅から納沙布岬・中標津空港経由帰宅 距離:8km。行動時間:2時間10分 台風並みの悪天候で「ムリは禁物」と根室駅からバスを利用。岬のモニュメント「四島のかけ橋」や「平和の塔」を眺めて早々に根室駅に戻った。駅から中標津空港行き直通バスに乗ってその日の内に帰宅した。 ![]() 根室半島は、傘もさせない強風雨で、気温計は6度を示していた。空と海との境も定かでない自然の猛威に委縮した。 風に耐え 寒さをしのぐ 低い屋根 異国ただよう 納沙布岬 |
3 あとがき(所感) 1)北海道は梅雨の影響が少ないので、6月中旬なら好天気に恵まれるだろうと期待していたが、今回訪れた道東は濃霧と冷雨日が多く苦労した。特に最終日は、台風並の強風雨と低温のため、昔痛めた凍傷の後遺症か両手の親指がシビレて歩く意欲を喪失。根室駅からバスで納沙布岬まで往復した。 2)今回は歩行条件が快適でなかったこともあり新しいテーマを模索する良い機会でもあった。 3)定年後に継続して来たロングウオークが、昨年頃から見直しの時期に来ているような気がする。活動のベースを振り返ると、若い時代の登山に代表される<より高く>から中年以降の<より遠く>へと移行して年代に合った「面白さ」を見つけてきた。しかし、人並みに加齢を重ねて新たなヒントを掴む時期を迎えたようだ。 4)新たなテーマへの転身は、高さや距離が主体(目標)から心理面に重心をおいた「深さ」かも知れない。即ち、今までの目標と方法を逆にして、いかに充実した日々(行動)を持てるかを「面白さ」の基準したい。云うなれば、山行から歩行そして遊行への展開と考える。 5)北海道の道路網は、開拓経過から当然だが町を結ぶ連絡道路は幹線国道しかない。それも歩行者は皆無だから多くは歩道がない。これは最初訪れた時から承知していたが、この土地の広大な自然は内地では味わえないので幾度も訪れた。しかし、前述の遊行では道路環境も重要なので、今後は未舗装道か非舗装道を選びたい。 6)とは云え、非舗装道のロングウオークは日本では期待出来ないから、頻度を減らして国外の歩行先進国へ行くしかないかも知れない。 7)今回は天候不安定にも関わらず無人駅やバス停留場を利用することか出来助かった。利用者が少ないために土地の方も親切で、日本人の良さを感じた。 8)食料について ・シリカルは朝食用と考えきたが、昼の行動食としても利用。 ・味噌パックをミソ汁だけでなく、ソーメンの汁としも利用。 ・カットコンブは行動食だけでなくミソ汁の具として利用。 ・パック白飯は水を同量入れてオジヤにした。 ・行動途中に米を磨いで水密パックに入れて浸す時間を確保した。 9)装備について・原野では平地でもヤブが深く設営不可(無人駅やバス停留場を利用)。 ・ガス使用量は12日間で70%程度(余りは空港で空炊き)。 ・舗装道は歩速は早くなるが靴の消耗度が大きい(今回片減りで廃品)。 |
<テント泊の参考資料> |
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