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<北海道自然歩道・南北縦断>B1&A4  襟裳岬から富良野経由帯広市
・・日高山並の道から大平原の道へ・・
期 間:平成21年6月23日から7月6日 (14日間)


美生開拓百年記念之碑

 1 はじめに 
 昨年、函館市を起点に富良野経由で宗谷岬まで2ステージで踏破。長距離自然歩道としては、未整備であったが北海道ならではの景観を満喫出来た。
 今回の起点は、襟裳岬から「B1路線・日高山並みの道」をJR富良野駅まで北上後。途中の新得駅まで引き返し「A4路線・太平原の道」を東進してJR帯広駅までとしたい。
 それ以降は次回「A5路線・霧と湿原の道」及び「A6路線・海峡の道」と訪ねて根室市を経てノサップ岬を終点とする。
 
歩行時のタイムやポイント等、テント泊歩行者の参考用として別紙「資料編」を作成する


 2 トピック&スケッチ

  概略総距離=330Km。総行動時間=87時間40分(実績値)。

 出発日 6月23日(天気 晴):大洗フェリー港から苫小牧フェリー港
                 距離:0km。行動時間:0分

 大洗から苫小牧まで大型フェリーで19時間。シニア割引の特典とマイカーでの北海道見物は、定年夫婦の穴場ようだ。


     船の旅
     年金ペアが そこかしこ
     待合室は 
       ほのぼのムード


 第1日目 
6月24日(天気 快晴):
          苫小牧フェリー港から苫小牧駅経由JR様似駅・ふれあい公園
                 距離:0km。行動時間0分
 JR日高本線のワンマンカーで海岸沿いに一路終点の様似(さまに)駅へ。
 電車の本数が少ない割には、途中待ち合わせの停車が頻繁。待機時間も加算されているのか距離の割には運賃が高い。


       新緑の
       大地の中を ひた走る
       デイーゼルカーで
       襟裳岬へ
       


第2日目
6月25日(天気 快晴):
     様似・ふれあい公園から
宇遠別トンネル入口
                距離:23km。行動時間:7時間10分
  

 
 日高山脈からの山水が海を豊かにし、太平洋の荒浪がコンブを育てるらしい。

 磯に打ち寄せるコンブ度合は入江の具合と潮の流れで違うそうだ。


       コンブ干し
       襟裳の浜の 老夫婦
       腰は曲がれど
       ムダない動き


 

 

 第3日目
6月26日(天気 快晴):
      宇遠別トンネル入口からシーサイドパークキャンプ場
               距離:32km。行動時間:8時間10分

 日高山脈を越え十勝平野へ抜ける山道は不便で、海岸沿いの道路が熱望されていた。しかし、太平洋の怒涛波と日高岩の脆い尾根に阻まれ庶野―広尾間の1/3はトンネルと覆道。開通には困難を極め多額の建設を費やした。


     海原に
     日高の尾根は 切れ落ちて
     荒磯沿いに
     黄金道路


 第4日目 
6月27日(天気 晴):
       シーサイドパークキャンプ場からカムイコタンキャンプ場
               距離:32km。行動時間:8時間10分  

 

 
 日高山脈の東面・国道336・236号線を北上する。数本のカタカナ文字の清流が平野を潤す。昨日までの海岸沿いの景観と変わり内陸部の大地が広がる



   
カッコーの
     鳴く声追えば 白樺や
     牧場の樹々の
     青葉輝く
 



 第5日目
6月28日(天気 快晴):
      
カムイコタンキャンプ場から中礼内道の駅
                 距離:25km。行動時間:6時間40分 

 
 
  
広大な農場や牧場地帯を進む。農家のオヤジさんに聞くと「耕地面積は平均30町歩」とのこと。1日歩いて日高の峯々が霞の彼方に遠のいた.


      広大な
      圃場を囲む 天然樹
         樹海の奥に
      日高を望む


 第6日目 
6月29日(天気 快晴):
       中礼内道の駅から新嵐山キャンプ場

               距離:25km。行動時間:7時間10分  
 集落毎に小さな神社や社が祀られている。入植百年を経て、ユトリが出来遠く故郷を偲び、祭り事が叶う時代になったようだ。



     金毘羅の
     小さな社 開拓の
     氏子を束ね
      心支える

 直線道路は、区画整理された十勝平野を貫く。5km以上の直線路になると先端は大空に溶け込む。自然道と云うより開拓道をひたすら歩く。


      炎天下
      半断食で 自然道
      ひたすら歩く
      神威の大地



第7日目 
6月30日(天気 曇):
      新嵐山キャンプ場から十勝清水公園

              距離:32km。行動時間:8時間20分
 
 入植当時は、柏の原生林を伐採し下草を昼夜焼いて原野を開拓。「拝む小屋」と呼ばれた柱のない草葺・土間はムシロ床の小屋で苦難の日々を強いられたとのこと。百年を経て豊な圃場にした先達の勤勉さに頭がさがった。



     彼方まで
     右も左も 芋畑
     入植びとの
     魂実る


 第8日目 
7月1日(天気 小雨):
       十勝清水公園から狩勝峠

               距離:29km。行動時間:8時間



 
カタカナ名称の意味が判らないので、メモしないと覚えにくい。町名は和人語で今日は、久し振りに大きな町・御影町と新得町に着いた。


       アイヌ語の

           シンケミタイト川の橋
           南新得橋 
           とは味気ない




 第9日目 
7月2日(天気 曇):
       狩勝峠から西達布河原

              距離:33km。行動時間:8時間
 狩勝峠は「展望視野日本一」の名峠。しかし、生憎の雨天で視界ゼロ。山道の樹林帯は、子育て最中の小鳥が賑やかにさえずる。



       山鳩と
       若葉の香り 分かち合い
       その鳴き声に
       合わせて歩く




 第10日目 
7月3日(天気 ):
        西達布河原から山部町太陽の里キャンプ場

                距離:26km。行動時間:7時間 
 
 
西達布付近は、国道から外れて村道を辿る。ジャリ道の風景は、昭和初期の面影を残す。集落名のすみれ、つつじ、かえで等、草花のひらがら文字に思わず微笑む。


      砂利道に

      似合う木製 電柱は
      斜めに立ちて
      歳月刻む




第11日 
7月4日(天気 晴):
      山部町太陽の里キャンプ場から屈足町新清橋

                
距離:27km。行動時間:7時

 
 今回初めての水田風景。地形の関係で稲作不能だと思っていたが、地元の話では、30年程前から米の減反政策で畑地に転換したらしい。麦、ジャガイモ、大豆、トーモロコシ、としてピートが植え付けられていた。



     山肌は

        水を含んだ 自然林
     富良野盆地に
     稲田広がる




第12日目 
7月5日(天気 快晴):
       屈足町新清橋から音更町万年橋
 
             距離:29km。行動時間:7時間30分
 
 機械化農業の代表である当地にあって、珍しい手作業に出会う。通常は除草剤を散布するのだが、都合で出来ず昔ながらの草取りだそうだ。気が遠くなる広い耕地の手作業に、長距離歩行との共通点を覚えた。


     長旅は

     ムダない動き ムリをせず
      汗もかかずに

     息も切らさず



第13日目 
7月6日(天気 晴):
       音更町万年橋から帯広駅・・・帯広空港経由羽田空港・帰宅
                      距離:17km。行動時間:4時間30分
 
昨年は荒れた天候の歩行だったが、今回は爽やかな北海道を満喫出来た。それにしても、肥沃な土地とは云え、入植当時の苦難は想像を超える。「開拓百年記念碑」が数ケ所設置され往時の記憶を促していた。


      7月の

      十勝平野と 大空と
      爽やか風に
      別れを告げる




 
 3 あとがき(所感)

 1)
起点の襟裳岬までアプローチが長く交通の便も悪いので、何度も行くコースではない。しかし、不便なだけに観光スポットの襟裳岬以外は「自然が一杯」で北海道ならではの景観を満喫出来た。

2)名産・日高コンブの採り入れは、当地ならではの風景。特に、軽トラックの荷台に仮設した小型クレーンで磯からコンブ束の積み込はユニークだ。

3)舗装道は、膝や足首への衝撃が強く長時間の歩行は加齢と共に故障の原因となるので、今後は未舗装のコースを模索したい。これまでは「新鮮な空気と湧水」をターゲットにしてきたが、これに「未舗装」を加えると、独自のコースを探すことになる。テント泊で宿泊施設から解放されると対象コースも広がり国内であれは、登山路のアプローチや山岳林道が考えられる。又、費用では限界があるが国外には多くのコースが見込まれる。

4)歩行には、車や自転者では味わえない体験が出来る。地元のオバサンとの会話、道端の記念碑、小さな祠等土地に密着した風俗に親しめる。反面、重い荷物と気の遠くなる長い道の歩行苦とを甘受しなけらばならない。

5)十勝平野は日本でも有数の耕作地帯で見渡す限り畑と牧草地が続く。肥沃な土地と明治以降の官民の努力の成果と云える。官僚機構の歪みが問題視されて久しいが、北海道の開拓事業に関して貢献度は高い。しかし、地元の人に聞くと当地の後継者問題や少子化で将来への不安は消えない由。北方4島のように、気がついたら大陸から異民族が来襲して日本人は駆逐されるのでは。単調な道を歩いていると、こんな思いが浮かぶ。

6)カロリーの収支試算を試みた結果
 ・消費総カロリー(概算)Q37,350 Kcal
        条件:体重=58Kg、平均荷物重量=12Kg、行動時間=89Hr
 ・摂取総カロリー(概算)S23,920 Kcal
 ・体脂肪減少量 w=(Q-S)x0.4/7=767g(実績体重=1kg減)

)食料について
・朝食はお湯と食パン(マヨネース又は砂糖付き)。昼食は設営後にラーメン。夕食は洗米150g(フリカケ又は玉子オジヤ)。行動食はカリントーやソーセジ等少々。
・カニヤ製の大形カンパンは一般非常食として市販。従来に粒カンパンより食べ易い。
・今回も食料店は大きな町に限られるので行動食は常時3日分保管要。
・食パン(1欣=350g)はコンビニ等で比較的入手容易。

8)装備について(下記3新商品を試用し効果があった)
・着火用の固形燃料(4g/ケ)で200ccのお湯を沸かした(専用の炎受持参)。
・超軽量のガスバーナ(ジッポー製90g)のガスボンベ消費量は12日分+フル1時間。問題はボンベの販売店が少ない。
・超軽量テント(モンベル製 780g)ドームシェルター居住性良好。
 
 <テント泊の参考資料>          
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