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<北海道自然歩道・南北縦貫>A3&B2~B4  江別市から宗谷岬
・・拓殖の道・丘の道そしてオホーツク北海道へ・・
期 間:平成20年8月28日から9月18日(22日間)


正面の山麓まで続く直線道路

 1 はじめに 
 
 年内に再び北海道を訪れる機会に恵まれた。初回の歩行で北海道ならではの景観と開拓の歴史、そして大らかな地元の人達とのふれあいに「この国に残された数少ないサンクチャリー」と思う。何処までも続く直線道路にはウンザリもしたが、慣れて来ると「単調もまた良し!」で徒歩ならではの面白さを味わえるだろう。

 今回の起点は、前回の終点・JR江別駅とし「A3路線・拓殖の道」を辿りJR富良野駅から「B2・丘の道」「B3・豊流の道」そして「B4・オホーツク北海道」と北上したい。
 これまで通り、ゴールは目的の一部で、道中「面白い」日々に恵まれることが最重要だから、終点の宗谷岬までは身体の調子と相談して「ムリのない所」で打ち止めして来年再トライしたい。今回は歩行パターンを変え、従来の連続行動から中間帯に大休止を設け身体の疲労度を抑えみたい。
 歩行時のタイムやポイント等、テント利用者の参考用として別紙「資料編」を作成。


 2 トピック&スケッチ

  概略総距離=530Km。総行動時間=145時間10分(休憩時間を含む実績値)

 出発日 8月28日(天気 晴):大洗フェリー港から苫小牧フェリー港
           距離:0km。行動時間:0分 
  

 JR水戸駅からローカル線・鹿島臨海鉄道に乗換え大洗駅に下車。海水浴シーズンも終わり構内は閑散。駅前広場の「平和の像」が出迎えてくれた。


    少年が
   片手をあげて「今日わ」
    ブロンズ像と
   挨拶交わす






 第1日目 8月29日(天気 曇):苫小牧フェリー港からJR江別駅・泉の沼公園
           距離:1km。行動時間:20分  
 
 ガソリン値上げでトラック便が増え更に夏休みの終盤とあって船内は大賑わい。早速展望風呂に入り、暮れゆく海原を眺め旅情にひたった。

  船酔いも
  今は昔の 語り草
  ノンビリ ゆったり
  旅の始まり

 

 

 第2日目 8月30日(天気 雨後晴):泉の沼公園から中小屋圃場
           距離:26km。行動時間:8時間10分
 石狩川周辺の広大な水田を潤す篠津運河は一見「普通の川」。粗末な機材で掘削した先人の苦労を偲ぶ。




  忍耐と
  勤勉諭す 運河道
  稲穂の大地を
  貫き通す


 第3日目 8月31日(天気 晴):中小屋圃場から札比内駅
             距離:25km。行動時間:9時間20分
 
 月形樺戸博物館は明治19年建設の集治監本庁舎を移設。内部の展示品は当時使用した品々、特に独房や鉄丸と呼ばれた足鎖が眼に焼きついた。



  高い塀
  越えて過ぎ去る 白い雲 
  想い浸み込む
  監獄庁舎

 第4日目 9月1日(天気 快晴):札比内駅から砂川大橋・北光公園
            距離:26km。行動時間:9時間10分
 
 JR札沼線沿いに当別、月形、晩生内と囚人が開墾した国道は続く。一部の旧道は脇道となり、昔の馬車道が名残を残していた。



  開拓の
  礎築く 道造り
  原野を拓く
  囚人何処へ


 


 第5日目 9月2日(天気 快晴):砂川大橋・北光公園から平岸駅
          距離:30km。行動時間:8時間20分
 歌志内は炭鉱や砂金で賑わい、砂川から鉄道が引かれ景気の良い街だったとか。しかし、平成8年に廃線となり線路跡はサイクリング・ロードだが利用者は少ない。


  草刈りの
  翁の顔の シワ深く
  過ぎし 良き日を
  語りて止まず


        


第6日目 9月3日(天気 晴):平岸駅から島ノ下駅
          距離:36km。行動時間:9時間40分
 
 納屋や牛小屋は開拓時代の板壁や円形屋根だが、住居はトタン屋根で南側に大きな窓を持つ。比較的新しい家が多いのも歴史的な背景だろう。
 


  どの家も
  切妻屋根に 樋はなく
  高床式は
  積雪対策
 

 第7日目 9月4日(天気 快晴):島ノ下駅から上富良野・日の出公園キャンプ場
          距離:27km。行動時間:8時間20分

 トラックと異なる騒音に振り返ると、周囲を圧して自衛隊の車列が通過。散歩のオジサンへ聞いたら「滅多に通らない」とのこと。北海道の一面を見た気がした。



  早朝に
  十数台の 迷彩車
  眠気を覚ます
  積み荷のタンク車



 第8日目 9月5日(天気 快晴):上富良野・日の出公園から北美瑛・聖台ダム
            距離:35km。行動時間:8時間30分


 当分、お天気は続きそう。荷物も軽くなり、トレイルも不安なし・・。無思考のトランス状態は連泊効果か。



  北国を
  歩き始めて 何日目
  意識薄れて
  ウオーキング・ハイ




 大正15年・大雪山の爆発で火砕流が山麓の開拓地を襲った。開拓指導者・田中村長は失意の人々を励まし再起に努めた。現在村長宅は開拓記念館として保存されている。



  原野超え
  民家を襲う 火砕流
  丹精込めた
  田畑も消える

第9日目 9月6日(天気 快晴):北美瑛・聖台ダムから当麻町スポーツランド公園キャンプ場
         距離:38km。行動時間:11時間10分

 

 
 東川町一帯は米所で「北海道神宮の饌田」として奉納されている。近くに小さな白杭の「中国人強制連行碑」が畦脇にあった。



  先人の
  偉業を讃え 感謝しつ
  豊譲の稲田
  神に捧げる




第10日目 9月7日(天気 雨後晴):当麻町・スポーツランド公園から和寒町・三笠山公園
           距離:35km。行動時間:9時間30分



 昨夜テントを移動して屋根下で野営したが、朝まで降雨。視界も悪くボーッとして歩いていたら、当麻町から逆行して旭川方面へ3km南下、慌て引き返した。
・・・雨の日は辛い。 



  旅人の
  命縮める 冷風雨
  濡れ物干して
  お日様を待つ



第11日目 9月8日(天気 快晴):和寒町・三笠山公園から多寄・道の駅
            距離:37km。行動時間:10時間


 好天気を約束する朝霧が次第に薄くなり彼方から朝陽が昇る。今日は暑くなりそうだから、中間地点でタップリ休憩して足腰の疲労を回復しよう。



   野も峰も
   民家も畑も 包まれて
   墨絵のような
   朝モヤを行く



第12日目 6月9日(天気 快晴):多寄・道の駅から美深駅・ふれあい公園
            距離:35km。行動時間:9時間

 
 天塩川・恵名大橋の先に自衛隊の演習場があった。道路脇の敷地内で十数名の隊員が兵器を囲んで訓練中。マニアル通りの確認点呼で威勢は良いが、人力操作では実戦で少々疑問。



   訓練の
   声高々に 自衛隊
   有事に備え
   兵器の操作


第13日目 9月10日(天気 快晴):JR美深駅・ふれあい公園から音威子府道の駅
           距離:36km。行動時間:8時間40分


 懸念していた「痛風」の発症もなく、お陰で予定より3日も早く歩行。この調子で行けば縦貫コースの終点・宗谷岬に到達出来そうだ。




   嬉しいな
   今日も一日 良い天気
   緑の大地
   秋の大空


第14日目 9月11日(天気 晴):美深駅・ふれあい公園からピンネシリ・バス待合所
              距離:29km。行動時間:7時間30分


 地名の70%はアイヌ語を漢字に変えたとのこと。しかし、北へ行くに従い漢字でなくカタカナ表示の地名や川が増えてくる。ピンネシリ道の駅の前は、ピンネシリ温泉で裏山はピンネシリ山。



  土地名を
  カタカナ文字で 名を残す
  アイヌの心
  今も息ずく


第15日目 9月12日(天気 快晴):ピンネシリ・バス待合所から小頓別・バス待合所
              距離:30km。行動時間:7時間10分

 稲作の北限・美深を過ぎると畑と牧草の地帯になる。国道275号線は山間部を縫うようにオホーツク海を目指す。生活の要だった天北鉄道は平成元年に廃止、代行バスに変わった。路線沿いの各町は高校さえも廃校になる厳しい環境で過疎化は深刻。



  開拓の
  嵐が過ぎて 人は去り
  学校跡に
  夏草茂る


第16日目 9月13日(天気 曇):小頓別・バス待合所から-浅茅野・バス待合所
            距離:26km。行動時間:7時間50分

  オホーツク海に出ると厳しい冬の面影が伺われる。北風を避けるために国道沿いに防雪林が植えられ、屋根の低い数軒の集落が風を避けるように風景に溶け込んでいた。近くに食料店もなく生活も不便だろう。


   エゾ松の
   防雪林に 守られて
   天北街道
   宗谷を目指す


第17日目 9月14日(天気 晴&雷):浅茅野・バス待合所から猿払公園キャンプ場
              距離:16km。行動時間:4時間40分

 オホーツク沿岸の浜頓別付近はラムサール条約登録のクッチャロ湖やカムイ沼、ポロ沼と湿原地帯。白鳥はじめ水鳥の飛来地として太古の姿を残していた。



   湖は
   夕日に映て 音もなく
   時代を越えて
   水鳥を待つ

 浜頓別から猿払公園まで天北鉄道の線路跡はサイクリング・ロードになっている。国道から外れ原野を通るので、ケモノ道が横切り「クマに注意」の看板が目に付く。そんな所は鈴を鳴らして足早に通過した。


   細道に
   クマ出没の 表示あり
   何度も出会い
   鈴を手で振る


第18日目 9月15日(天気 晴):猿払公園から宗谷岬・・・稚内市内・中央公園
            距離:32km。行動時間:7時間50分

 宗谷岬から10km手前の峯岡付近から北方に陸地が見えた。休憩中のアンチャンに聴いたら「サハリンだネ」とのこと。意外と近くに見えたので驚いた。



   サハリンの
   山波浮かぶ 海原を
   飽きずに眺む
   宗谷の岬


第19日目 9月16日(天気 晴):稚内市内・稚内公園キャンプ場
             距離:0km

 

北門神社は稚内市内の山側にあり、境内から市内が一望出来る。由緒ある神社らしく周囲の神木に囲まれ手入れが行き届いていた。


  最果ての
  神社に詣で よくもまあ
  歩けたものと
  二度も参拝


第20日目 9月17日(天気 晴):稚内市内から旭川駅・神楽岡公園キャンプ場
              距離:0km

 昨夜は稚内市内の森林公園キャンプ場、今夜は旭川市内のキャンプ場で野営予定。旭川駅内の観光案内所へ立ち寄り「一番近いキャンプ場は?」と窓口で聞くと神楽岡公園キャンプ場を紹介された。



  自慢です
  観光都市の 旭川
  奉仕オジサン
  親切モットー


第21日目 9月18日(天気 晴):旭川駅・・旭川空港・・羽田空港・・岩槻駅
            距離:0km

旭川空港の土産店で珍しく行列が出来ていた。お目当ては人気商品・花畑牧場の生キャラメルとか。12ケ入り一箱・¥850円也買った後「この国は豊ダ!」と歩行ボケした頭で考えた。


  行列は
  人気土産の 十勝飴
  ひと箱分で
  白米2キロ



           
                     秋晴れの北海道を行く


  3 あとがき(所感)

 1)加齢に伴う「体力低下」の対応策として、今回初めて行動中に大休止を試みた。結果は良好で前回と比較して疲労感は少なく、1日平均31km(前回は26km)歩行出来た。
 このアイデアは、最近読んだ自伝書<YH創設者のリヒアルト・シルマン>からで、彼は少年達と連泊歩行時、8時間の歩行で中間に4時間の休憩(総合計12時間行動)を採用。4時間は多すぎ2時間程度を目標にしたが、実際には前半2時間前後、後半は1時間から30分程度であった(この休憩時間で洗濯や記録整理をした)。

 2)今回の時間配分は「今の体力」に合っていたが加齢と共に変るだろう。たとえ休憩4時間歩行4時間の時代が来ても、その歩行の中に「面白さ」を求めたい。歩行には量や速さではなく主観的な質に起因した「嬉しさ」が「面白さ」の先にあるようだ。

 3)中間の休憩タイムにより野営地の到着時間が遅くなるが、公園等では昼間からテントを張れないので都合良かった。

 4)連泊(ジャニー・ウオーキング)の大きな利点は、日帰り時のアプローチが不要なこと、早朝と日暮れの静寂は昼間にはない自然を感じられること。反面、宿泊環境は不備で野営泊のハンデイは避けられない。

 5)ランニング・ハイやクライミング・ハイがあるようにウオーキング・ハイもあるようだ。身体的な余裕が心理上「一種のマヒ状態」を生み「夢うつつ?」になる。粗食であっても新鮮な空気と湧水を充分体内に満たせば精神は安定するようだ。

 6)今回南北縦貫路線をトレース宗谷岬まで来た(→)。次回は東西横断路線を目指したい。即ち、富良野駅を起点に東方へ根室市・ノサップ岬まで、南方へ襟裳岬まで歩きたい。

 7)カロリーの収支試算を試みた結果
 ・消費総カロリー(概算)Q=46,00 Kcal
      条件:体重=58 Kg、平均荷物重量=11 Kg、
         総距離=530 km
 ・摂取総カロリー(概算)S=30,000 Kcal
 ・体脂肪減少量 w=(Q-S)x0.4/7=910g
  (実測値=860g・・・体脂肪率測定による)

8)歩く速度と歩幅について道路の距離標示板を基準に計測すると、

条 件

前半・荷物が重い時

後半・荷物が軽い時

備 考

荷物の重さ(Kg)

 13

 10

概略値

歩速度(分/1km)

 16,5

 12

実測値

歩 数(歩/分)

 94~98

 104~110

実測値

上記数値から時速と歩幅は

時速度(km/Hr)

  3,6

  4,9

推定平均値

歩 幅(cm/歩)

  63

  78

推定平均値

9)食料について
・主食は前回と同じ(無洗米+ナットー又は乾燥玉子スープのオジヤ)米120g/日。
・行動食は6日目以降現地のコンビニ等で購入(ドーナツ、オニギリ、食パン、ポテトフライ類)。特にドーナツは高カロリー(普通サイズ・50g/1ケで210Kcalで歩行約8km分に相当)。
・大きな町のスーパーでラーメン、ソーセージ、フランスパンを購入。
・コンビニの食品を購入した時、ポットのお湯をもらいインスタント味噌汁を飲んだ。

 10)装備について
・後半10日以降は夜半に冷え込みあり(北部は9月中旬以降は秋期)。
・ガスは320g(20日分)消費したので、平均16g/日(約25分/日)。

 


 <テント泊の参考資料>          
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