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<首都圏自然歩道・神奈川・千葉・茨城県>
千 葉 編 ・・・鋸南町・保田駅から佐原市・水郷大橋 
期 間:平成18年10月16日から10月28日
   
安房小湊の入道岬と雀島               和泉浦と大東埼                      

1 はじめに
 今回の千葉県・自然歩道は、東京湾に面した県立富山自然公園内のJR内房線・保田駅を起点に房総半島の丘稜を東進。太平洋の荒波寄せる外房総に出て海沿いに北上し、北総地帯を経て終点の佐原市・水郷大橋で茨城県へと続く。
 全長約290kmのコースは殆んどが舗装道で足底の負担が気になるが、1ケ月前の南北アルプス登山に比べて平坦コースだし、お天気も安定しているので、秋の静かな山里と史跡巡りを期待しよう。 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


2 行動の記録  
   総距離278Km―総行動82時間20分(実績値)


 第1日目 10月16日(天気 晴):保田駅から鋸山・林道口
       (距離5Km)行動1時間10分
 最終電車で保田駅に行き駅で仮眠するつもりだったが、秋晴れの天気に誘われて早めに家を出た。保田駅に着きテント場を探して最初のモデルコース<東京湾を望むみち>を鋸山へと進む。鋸山ダムまでは沢沿いで「この先にも水場はあるだろう・・」と安易に考えて野営予定の林道口まで進んだが水場がなく、ダムまで1,4km水汲みに下った。


 第2日目 10月17日(天気 晴):林道口からマザー牧場の先2km
       (距離25Km)行動7時間40分
 樹林帯を抜け早朝の鋸山展望台に立つと、眼下に東京湾が一望出来る。この山は房州石の産地として知られ<車力道>の案内板によれば運搬用の台車を麓から運ぶのは女性の仕事で1日3往復の重労働だったとのこと。往時の苦労が狭い石畳みの轍の跡に偲ばれた。
 モデルコースはJR浜金谷駅で終り、国道と県道を北上してマザー牧場で次のコース<九十九谷をたどるみち>に合流。マザー牧場は「入園料1500円也」で遊園地化され平日と云うのに観光客で賑わっていた。駐車場で水を確保して林道を30分程進みトンネンル出口の道脇にテント設営。


 第3日目 10月18日(天気 晴):マザー牧場の先2kmから香木原バス停
          (距離22Km)行動7時間
 久し振りのテント泊で寝過ごしてしまい慌てて出発。房総丘陵の低い山々が幾重にも重なる未舗装の林道を進む。幸いトレイルの表示板は完備され迷うこともない。石射太郎山でモデルコース<ニホンザルと出会うみち>と合流し南下して高宕観音に着いた。岩屋の社には奈良時代の行基作の観音像が祀られ岩隅から湧き出る清水で喉を潤す。
 奥畑集落から県道になり「この先は舗装道か」と思っていたら途中のロッヂ村・大滝から山道になり30m前後の階段ステップの登降が十数回繰り返し「これが房総丘陵トレイルか!」とウンザリ。階段から開放され香木原バス停に到着。ホッと一息するが明日も同様の鋸歯登降のトレイルを案じつつ鴨川有料道路・入口の空き地にテントを張る。


 第4日目 10月19日(天気 晴):香木原バス停から麻綿原
          (距離20Km)行動6時間40分
 有料道路を1時間南下して金山ダムバス停に到着。ダムから昨日同様の階段登降となる。この付近が房総丘陵の核心部らしく3時間の繰返し登降に心身共に疲労が溜まるが、周囲の山で一段高い元清澄山を越えてからやっと平坦路になる。トレイルは西進して元清澄山入口から舗装になり清澄寺でモデルコース<アジサイのみち>になる。
 清澄寺は日蓮上人が初めて題目を唱えた日蓮宗立教開宗の寺だそうで歴史の趣を感じた。案内書によると、この先の麻綿原高原入口に休憩舎があるので野営しようと進む。しかし、現地にはベンチしかなく道脇の空き地にテントを張る(炊事水は清澄寺で汲む)。房総半島を丸3日かけて鋸歯のような独特のトレイルを横断したが、明日からは海岸沿いで楽になるだろう。


 第5日目 10月20日(天気 晴):麻綿原から勝浦市・八幡岬公園
           (距離27Km)行動8時間
 星空を仰ぎながら1時間南下して県民の森に到着。更にモデルコース<海と森をつなぐみち>を南下して内浦湾に出て安房小湊駅で国道128号線と合流。朝の通勤車で交通量が多く狭い路肩を気にして勝浦へ向かう。数ヶ所の浜辺では早朝からサーファーが波乗りを楽しんでいた。硬い舗装道で足指にマメが出来「先が長いのに困った・・」と案じつつ歩速や下敷きを調整しつつ今夜の野営地・八幡岬公園に到着。休憩舎の下にテントを張り行動シャツと靴下を洗濯した。


 第6日目 10月21日(天気 晴):八幡岬公園から大原町・塩田
          (距離22Km)行動5時間50分
 ライトを灯し勝浦市内を抜けて部原三又バス停から次のモデルコース<御宿海岸を歩くみち>まで4kmは連絡コースの国道128号線を歩く。
 御宿では海岸の砂浜をモチーフした童謡・月の砂漠のモニュメントを見て岩船入口から再び連絡コースになり大原町へ向かう。大原町の北端の塩田川を渡り河口の休憩舎にテントを張る。日在浦(大原海岸)から和泉浦へと続く砂浜はサーフインのメッカで低気圧の接近で白波の中を大勢のサーファーが楽しんでいた。
 明日はモデルコース<黒磯の潮騒をきくみち>になっているが海岸沿いのトレイル・サイクリング道は水浸しのため旧道を選らぼう。


 第7日目 10月22日(天気 晴):塩田から睦沢町・上之郷
          (距離24Km)行動6時間20分
 時折り通る新聞配達のバイク以外は寝静まった集落を幾つも過ぎ日の出の頃、江東橋で夷隅川を渡る。ここからモデルコース<九十九里の砂浜をふみしめて歩くみち>と<大海原を望むみち>を辿り海岸から離れ一宮カントリーゴルフ場の北端を通り、洞庭湖を経て終点の睦沢公民館へ向かう。
 睦沢町の休憩舎で野営予定だったが、今日は町民の秋祭りで1日中大賑わい。テントを張る環境でないので近くの小公園の休憩舎に移動した。公民館に併設された民俗資料館を見学していると予報通り夕方から小雨になった。


 第8日目 10月23日(天気 雨):上之郷から笠森観音
         (距離18Km)行動5時間50分
 上之郷からのモデルコース<先住民の歩いたみち>は名前の通り多くの古墳群を通る。数年前に九州・宮崎県の西都原古墳群を訪れた時の印象を想い出しながら進むが、生憎の大雨で視界も悪く県内最古で最大規模の能面寺古墳郡や油殿古墳群もそこそこに通過して県立笠森鶴舞自然公園を西進。
 本降りの雨で歩行が萎える頃、保養施設・ユートピア笠原に着く「風呂に入れるのでは?」と期待して来たが案内嬢の「入浴は11時から」にガックリ。更に1ピッチ進んで笠森観音の休憩舎にテントを張る。この観音霊場は最澄により開創され板東31番寺とのことで、見上げる観音堂は桃山時代の建立で四方懸造りと云う特異な構造らしい。


 第9日目 10月24日(天気 雨):笠森観音から昭和の森
         (距離21Km)行動6時間30分
 千葉県下に大雨注意報が出て未明から激しい雨音が続く、屋根下だが壁が無いのでテントはズブ寝れ。大雨の中を歩き出して直ぐ靴内がグチャグチャで数回靴を脱いで靴下を絞りながら進む。
  笠森観音からモデルコース<森と森つなぐみち>と<山里のみいち>は山道のようで雨の中を歩く気がしせず敬遠して並行した県道を選ぶ。真名CCから東急700Cの各ゴルフ場を通り昭和の森に南端に着き公園内の休憩舎テントを張った。



 第10日目 10月25日(天気 晴):昭和の森から成東町・遠久田
        (距離23Km)行動7時間
 2日間雨の洗礼を受けが今日から高気圧圏内になり太陽の恵を感謝。JR外房線・土気駅付近で線路を越えてモデルコース<昭和の森をたずねるみち>から<桜をめぐるみち>に入り県神社、子安神社、八坂神社そして八幡神社と神社巡りをして東金駅に到着。
 昨日までの雨で右足小指と薬指のマメが悪化気味のため、この先のモデルコース<伊藤左千夫のみち・15,6km>は並行して走る旧県道を成東駅まで進む。予定では9km先の古和本郷集落までだったが「ムリは禁物」と成東駅近くの光明寺で給水して途中の両総用水脇の空き地にテントを張る。
 夕食の準備をしていると近くのバーチャンが通り不思議そうに色々質問して「風邪引かんように・・」と帰っていった。 


 第11日目 10月26日(天気 曇):遠久田から成田市・公津の杜公園
          (距離28Km)行動7時間50分
 昨日野営予定地の古和本郷付近でライトを消す。ここからは約8kmはモデルコース<埴輪と遊ぶみち>になる。一帯は殿塚、姫塚に代表される芝山古墳群で古墳を縫うように農道を進んでハイライトの芝山仁王尊に到着。
 芝山仁王門の屋根は総欅銅板葺で広さ200坪の見事な門だ。両脇の仁王尊も光仁天皇の勅命により祀られた由、歴史の重みを感じた。
 小池バス停でモデルコースは終り連絡コースが20km先の印旛沼に面したモデルコース<水鳥のみち>迄続く。しかし今日は途中で野営するので「空き地はないか・・」と捜しながら進むが生憎人家や私用地ばかりで適地がない。ようやく京成電鉄・公津の杜駅を過ぎた所で公園を見つけてテントを張る。この公園は大袋尋常小学校跡で遊水池に隣接して駅が近いのでマンション群の住人の憩いスペースになっているようだ。


 第12日目 10月27日(天気 晴):公津の杜公園から下総運動公園
          (距離25Km)行動7時間20分
 北総地帯は房総半島の丘稜地形と異なり印旛沼や利根川水系の影響を受けて田園風景が広がる。明日はゴールの水郷大橋に着くので元気湧いてくる。モデルコース<水鳥のみち>の起点・甚平衛の森は甚平衛大橋が開通するまで<沼の渡し場>として親しまれ見事な老松が沼風を受けて往時を偲ばせる。
 道沿いに「名物うなぎ」の看板が人待げに連なっている。成田線・下総松崎駅からモデルコース<古墳をたずねるみち>に進むと房総風土記の丘を中心に広範囲に古墳群帯を通る。いずれも小さな古墳(高さ2m、径15m程度)で古代からの人々の生活が現在に引き継がれている。
 終点の滑河観音バス停から1km東方の下総運動公園に到着。陸上場では地区のゲートボール大会中で500名程の老年男女で賑やっていた。キャンプ場を併設されていたので事務所に申し込み施設内の歴史郷土資料館を見学。20万年前のナウマン象の頭骨化石が下総町・猿山の土砂採集場から発掘されたこと、同地区の古墳は勿論十数万年前の先土器時代の石器類が数ケ所から出土。展示物を眺めて「その子孫が外でゲートボールをしている」と改めて人の営みを実感した。


 第13日目 10月28日(天気 晴):下総運動公園から佐原市・水郷大橋経由佐原駅
         (距離18Km)行動5時間10分
 トレース最終日は国道356号線を進み神宮寺から利根川沿いの堤防に出る。晴天であれば北方に筑波山が望まれるらしいが雲の中。無事に最終日まで歩けた達成感を味わいながらゴールの水郷大橋を目指して東進した。水郷大橋から2kmでJR佐原駅に到着すると運良く快速電車に乗ることが出来た。






3 あとがき(教訓と所感)

1)今回は野営地の上之郷と下総運動公園の2ヶ所で歴史資料館を訪れ面白かった。行動中にも<房総風土記の丘>や<芝山はにわ博物館>等があったが素通りした。今後はこうした地元ならではの民俗資料館の見物も加えて日程を組みたい。

2)夜明けが遅くなり早朝の出発は厳しいが<早立ち早着き>が長旅には重要な要素で今後も継続したい。特に今回のように古くから人類が住んでいた土地は、夜明け前の山影の風景は時代を越えて人々の営みが感じられ独り旅の醍醐味を味わえ<早立ち>メリットだろう。


3)とは云え、加齢に伴ない単独行には限界が生じ同行仲間が欲しくなる。しかし、従来の編成形式では開放感や自由度が失われるので、行動は一緒でも自前で装備や食量は持参(個人テントで各自炊事)する。そうした自立したパーテイーも面白そうだ。


4)舗装路の硬い路面に靴が合わず足指や足底にマメが出来た。クッション性が低下した中古靴で足の負担が多かったようだ。劣化が激しい靴は履かないのは当然だが、二日目位までは身体が慣れるまで歩速を意識して遅くしたい(通常は110歩/分程度を90歩/分目安)。

5)食料・装備について
1:頻繁に市街地を通過する日が多いので不足分の行動食及び夕食オカズ等現地で購入した。その結果、食べ過ぎで入山時より体重が1kg増えて帰宅た。

2:設営後、昼は半ラーメン+α米(40g)。夕食は洗米(200g)を主食にした。

3:装備の軽量化対策として、ザック、ガスバーナ、雨具(ズボン)を検討要。

4:設営時に水を2,5L確保すれば、身体拭きを含めて賄えた。

5:フイルムが25枚X1本で不足した(デジカメに変更要)。

6:燃料ガス使用量=180g(12泊分)。

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