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<中国自然歩道 ・一周コース>
期 間:平成27年3月20日から3月27日(8日間) ![]() 3月27日・西粟倉から鳥取県の新雪山稜 |
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1 はじめに 今回で、中国自然歩道の山陰コースと瀬戸内コースがつながる。即ち、3年前に下山した瀬戸内コースの木野山駅(岡山・伯備線)を起点に12年前に下山した山陰コース・あわくら温泉(粟倉温泉)駅(智頭急行線)まで約220kmのトレースになる。 木野山駅へ下山した時は、3月上旬で夜間の冷え込みが厳しかったので今回は3月下旬にずらして実施。また、歩行能力の低下を考慮して2ストックを利用したノルデック・ウオークを試みることにした。どの程度バランスの補助と脚への負担軽減に効果があるか興味深い。 歩行時のタイムやポイント等、テント利用者の参考用として「資料編」を作成する。 2 トピック&スケッチ 概略総距離=203Km(実績値) 総行動時間=59時間30分(実績値)休憩時間を除く *出発日 3月19日:東京駅八重洲口から倉敷駅 夜行高速バスで倉敷駅へ向かう。横浜で車内は満席、若者達には人気がある便のようだ。 ![]() 3年振りの瀬戸内コースに出かける。年を重ねただけ、予想外のトラブルに遭遇するかもしれないが、自分の采配以外の天候や現地状況などは安泰であって欲しい。 薄眼開け 狭い座席に 身をまかせ 車窓眺めつ 無事を祈る 第1日目 3月20日(天気 晴後曇り):倉敷駅経由木野山駅から祇園寺 第2日目 3月21日(天気 晴後曇り):祇園寺から三納口バス停 距離:28km。行動時間:7時間50分。 コースは東進して有藤、加茂市場と古い町並みを経て県道373号線で三納口バス停に設営。どの町並も寂れて食料店はなく住民の暮らしが案じられた。 ![]() 里山は春たけなわで早朝から小鳥のさえずりが盛ん。過疎化とは無関係に自然は営まれている。 気ぜわしく 高くさえずり 競い合い つがい求めて 命はぐくむ 第3日目 3月22日(天気 晴後曇り):三納口バス停から美しの森 距離:30km。行動時間:9時間10分。 県道を細田まで北上、そこから東進して円城寺、畑ケ鳴峠を経て温泉がある建部町に到着。寒波で冷え切った心身を温泉でひと息、再度荷物を担ぎ今夜のキャンプ地・美しの森キャンプ場へ行く。しかし、予約なしは許可されず500m先の廃小屋脇に設営。 ![]() 寒波到来で今日から2・3日は寒い日が続く予想だ。でも、冷雨を思えば星空はありがたい。 荷を担ぎ 星空仰ぎ 底冷えの 黒き山影 めざして進む 第4日目 3月23日(天気 晴れ):美しの森から本山寺 距離:30km。行動時間:9時間。 寒さに追い立てられ行動時間が長くなる。坂本集落から尾根コースを避けて県道に迂回し有藤で合流。誕生寺駅から食料調達のため、ひと駅南下して弓削駅へ迂回。購入後コースへ戻り本山寺先1kmの林道脇に設営。 ![]() 民家の軒先に干物があると「ホッ」とする。しかし、大きな立派な屋敷は多いが生活感がない。屋敷を囲む田畑も放置されていた。 集落の 村人達は 今いずこ 廃家の庭の 梅は満開 第5日目 3月24日(天気 晴れ):本山寺から大芦高原温泉 距離:28km。行動時間:8時間。 谷間を縫い血の滝、宗形神社を経て吉井川へ出る。飯岡で吉野川が合流して水量は一段と増し南下。トレイルは川東面の台地・大芦高原を目指す。大芦高原の温泉内の休憩舎に設営。 ![]() 古道のシングルトレイルは歴史を偲ばせロングウオークの魅力のひとつだ。自然と共生したトレイルは人々の知恵が感じられた。 日だまりの 野道は愉し カサカサと 落葉踏みしめ 寒さ忘れる 第6日目 3月25日(天気 快晴):大芦高原温泉から男滝 距離:28km。行動時間:7時間50分。 大芦高原から平地へ下り、人家が少ない県道90号線を東進し小長、横川、その先から県道426号線に入り八塔寺へ向かう。八塔寺から東進すると兵庫コースになり、北上するとあわくら温泉駅へつながる。 ![]() 大芦高原の緩やかな斜面は広範囲に棚田となっている。しかし、活用されているのは一部だけで多くは他の地区と同様に放棄されたまま。 田植え待つ 棚田の畔も ヤブの中 遺構になるか 稲作文化 第7日目 3月26日(天気 快晴):男滝から宮土居・配水場 距離:26km。行動時間:7時間30分。 蓮華寺の裏からシングルトレイルになり、岡山県と兵庫県の県境沿いに北上して杉坂峠へ向け樹林帯を登る。峠の下は中国自動車道のトンネルが貫通、さらに北上して大聖寺を経て宮土居に設営。 ![]() 杉坂峠は瀬戸内から日本海へ抜ける街道として賑わっていたらしい。その雰囲気が樹林帯の静寂な空気から伝わってくる。 峠道 人馬泣かせた つずらおり 今も励ます 路傍の地蔵 第8日目3月27日(天気 晴れ):宮土居・配水場からあわくら温泉駅経由・帰京 距離:18km。行動時間:5時間。 一部シングルトレイルを迂回したことと1日の行動時間を長くしたため2日早くゴールする。立石集落から県道5号線に出て宮本武蔵駅で国道373号線を北上してゴールのあわくら温泉駅に到着。 トレイルは大原から国道429号線で後山から船木山、駒の尾山を経て若杉峠へ続いている。夜行バスの乗車変更を打診したが満席のため、新大阪駅から新幹線に変更した。 ![]() 中国山地は多くの神社仏閣が祀られている。決して煌びやかではないが信仰力が醸し出す風格に圧倒される。 山国の 歴史を伝える 文化さえ 過疎化の波に 今や危うし 3 あとがき(教訓と所感) 1)気温の低下を考慮して3月下旬にしたが、寒波到来で寒い歩行を強いられた。特に夜間の冷え込み(下記最低気温参照)に寝ておれず早起して行動を開始。その結果、歩行距離を伸ばし2日早くゴールした。 2)それに伴い帰路の夜行バス便の変更を打診したが3月末のウイークエンドで満席。仕方なく新大阪から新幹線で帰宅した。今後は身体の負担を加味して最初から新幹線利用の時期にきているのかも知れない。 3)今回のコースは起伏が多く、標高差は100m程度でも数回繰り返すとウンザリして気持ちが萎えた。登降時のリズムをつかむことが肝要だ。 4)一般的に歩行で疲れたら休憩をして回復する。しかし、シニヤ世代では回復力が遅いので疲労する前に休憩するのが賢明のようだ。個々の体力差を考えるとグループ行動での実行は難しいが単独歩行では可能だろう。そう思ってペース配分に注意して歩いたら意外と疲れず終日過ごせた。 5)ロングウオークの魅力のひとつは、疲労困憊することなく快適な歩行により「ウオーキング・ハイ」を堪能することだから「疲労の前に休憩」を念頭において今後も行動したい。 6)今回で中国自然歩道・山陰&瀬戸内コースを完歩出来た。「チリも積もれば山」の諺通り12年間を要し延べ73日、総距離1,685kmを6分割で実行。ゴールのあわくら温泉駅と周辺は懐かしく再会の楽しみを味わった。 7)ワンクールの日数は最長2週間だったが、年齢を重ねると今後は荷物軽減のためにも1週間さえ長過ぎるようで4泊5日位が適当のようだ。 8)期間短縮の効果は装備及び食料の軽減が期待出来る。さらに、天気予報は1週間先まで公表されるので雨天日を避けて入山出来る利点もある。 9)年齢を重ねると日常の自立生活が最重要になる。障害になる第一は歩行障害、次は排泄障害、最後は摂食障害とステップダウンすると云う。ロングウオークは第一障害を防止するわけだが、ロングウオーク障害の前に走行(ジョギング)がある「走れるうちは歩ける」わけだから走る意義は貴重だ。ゆっくりでも良いからジョギング(散走?)を続けたいもの。 10)食料について ・米は1回分(150g)毎に袋詰めして均等化、残量把握を容易にした。 ・夕食は米飯(切りコンブ入)とフリーズ・玉子スープ。朝食はラーメン(棒状タイプが崩れない)。行動食はパン、チョコレート類(現地調達の店少ないので要注意)。 ・自家製味噌(パック詰)は御飯のフリカケ及びスープに便利。 ・食パン用の練乳(チュブ形)は良好。・酒類:寒さ対応に効果あり(300cc程度の保管容器要)。 11)装備について ・夜間の気温が0°C近くまで低くなると現状の寝袋では睡眠不可(超軽量で低温度用の寝袋を探す)。 ・新替のトランジスター・ラジオは高感度でイヤホーンと通常音に切りかえて聴けるので便利。 ・2本ストック:ノルデック・ウオークは歩行補助(特に下降時)として効果があるが、荷持が重い(10kg程度)では上腕と肩の負担大きくなり長期間ムリ。日帰りハイクであればバランス保持にも効果があるので今後活用したい。現状では1本ストックで十分。 12)その他 ・最低気温:20日=6°C、21日=4°C、22日=2°C、23日=2°C、24日=0°C、 25日=-1°C、26日=-3°C、27日=0°C ・中国自然歩道のまとめ(実績):総距離(1,685km)、延べ日数(73日)、総時間(493時間20分) 内 訳 山陰 コース(3分割):総距離(942km)、延べ日数(42日)、総時間(268時間10分 瀬戸内コース(3分割):総距離(743km)、延べ日数(31日)、総時間(225時間10分) ![]() ![]() |
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