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       中国自然歩道 ・一周コース
瀬戸内 コース 中 編 ・・・広島・本郷駅から岡山・木野山駅
               期 間:平成24年2月25日から3月4日( 9日間)
 1 はじめに
 歩行時期について、これまでの体験から夜間の最低気温が5度以下だと野営装備が重くなり歩行に支障をきした。従って国内では対象期間の12月から3月上旬までは休眠とし、例外として数年南半球のニュージーランドのフットパスを訪れて来た。
 しかし、年々活動能力の低下に伴い、国内の冬シーズンでも何とか対策を考えて新たなフイルドを開拓したくなった。それには気象は勿論、地形やトレイル質等の考慮事項は多く、加えて今年は冬が長く立春を過ぎても関東地方でさえ夜間0℃になるありさま。こんな状況でも、あえて春を捜しに行きたい気持ちを抑え難く「ムリな時にはいつでも引き返す勇気」を忘れずに出かけることにした。
今回の起点は、一昨年春に到着した山陽本線・本郷駅からとして広島県後半と岡山県前半をトレースする。歩行時のタイムやポイント等、テント利用者の参考用として「資料編」を作成する。

 2 トピック&スケッチ
  概略総距離=190Km(広島分94km、岡山分96km) (実績値)
 総行動時間=54時間40分(広島分28時間20分、岡山分26時間20分)(実績値)
 概略総標高差=3,850m(広島分2,300m、岡山分1 ,550m) (実績値)

 *出発日 2月24日:東京駅八重洲通り
から岡山駅西口へ 
 東北急行の夜行バス停留場は東京駅前でなく、八重洲通りを500m程南下したコンビニの前にあった。高速バスの便が増えて駅前のスペースに余裕がなくなったようだ。

 寒波到来のため強い北風を避け八重洲地下街に降り休憩スペースで発車を待つ。



     止まり木に バランス保ち
     尻乗せて
     モダンな椅子で 夜行バス待つ








 第1日目 2月25日(天気 雨後曇り)三原駅経由・本郷駅から三原久井インター
           距離:14km。行動時間:4時間40分。
標高差:700m
 本郷駅から県道55号線を北上し仏通寺を経て大峰山へ。山頂付近で下山道を間違えてトレイルまで親切なオジサンの車で10Kmほど送ってもらった。
 岡山駅から山陽本線で起点の本郷駅に到着。いつの間にか雨も上がりガスが晴れ里山に春の香り。



  里山は 夜明けと共に
  雨止んで
  梅の蕾に 水玉残す 





第2日目 2月26日(天気 後晴):三原久井インターから妙得寺
       距離:22km。行動時間:6時間30分。
標高差:500m 
 尾根筋のトレイルを迂回して県道を選び八幡神宮で合流。又、竜泉ダム入口のバス停から新倉敷駅まで路線バスで行き忘れ物(クッション)を購入。その後、再びバスで木梨集落まで戻った。
 八幡町美生から竜泉ダムまでは古道を進む。峠には古い休憩舎があり案内板によると多くの旅人を癒してくれた由。



    千年の 歴史刻む

    峠路に 
    腰を降ろして 旅人偲ぶ 







 第3日目
 2月27日(天気 曇り後晴):妙得寺から山守橋 
       距離:28km。行動時間:8時間40分。
標高差:600m
 出発してから2時間ほど進むと閑静な本郷温泉街に着く。ここから急登をひと汗かいて台地に出て大谷山を捲き鈴池、
八坂田集落を通り芦田川に架かる山守橋へ下った。

 今日のトレイルは人家の少ない山間部を縫うように進む。小さな起伏をいくつも越え春を待つ山波に酔う。 



     若葉良し 枯野の落葉
    更に良し
    薄日を集め 土に還るか
 

 



 第4日目
 2月28日(天気 晴後曇り):山守橋から聖嶽駐車場
       距離:24km。行動時間:6時間30分。
標高差:200m
 早朝の駅家町市街地を北上。大日石団地から光明寺まで尾根のトレイルを避けて賀茂川沿いに県道21号線を進んだ。
 

 西運寺に隣接して郷賀茂神社あり。神木の大ケヤキは幹廻り6m、付近に古墳群もあり神社と共に昔から大事にされたようだ。
    


    神木の 風格見事
    大ケヤキ
    傷みに耐えて したたかに生き







 第5日目
 2月29日(天気 曇り後晴):聖嶽駐車場から弥高山公園
       距離:20km。行動時間:6時間30分。
標高差:700m
 夜半に積った雪を踏みしめて2時間ほどで県境の峠を越える。
弥高山付近は展望が良く低山の山波が遠方まで続いて岡山県の名前の由来に納得。

 天気予報通り夜中に降雪ありテントの回りは白一色、天気の回復を期待して岡山県に入る。



    雪止んで 早起き鳥の
    声聞けば
    疲れ癒され 寒さ忘れる





 


 第6日目 3月1日(天気 曇り後晴):弥高山公園から新成羽川ダム
       距離:26km。行動時間:6時間30分。
標高差:250m 
 
弥高山公園から成羽川合流点・市瀬橋までだらだらと下降し川の上流へ向かう。黒鳥ダム、田原ダムを経て設営予定の新成羽川ダムに到着
 巌窟谷(イワヤ)の大岸壁を谷底から奇岩、怪岩を眺める。石灰岩と角岩の混在した自然美の模様に見惚れる。



    幾つもの 大岸壁を
    仰ぎ見て
    圧倒される 自然のパワー




 


 第7日目 3月2日(天気 雨後曇り):新成羽川ダムから宇治
       距離:27km。行動時間:7時間20分。
標高差:500m 
 新成羽川ダムから岩谷川沿いに北上。奥郷、本郷集落を通り天神山山腹の県道を経由して高梁・宇治へ出た。
 2億8千万年前の古生紀に海底で生成した石灰層が隆起し島木川の浸食により下層に噴火で出来た宇治層が逆転侵入。


   逆転の 地層の元は
   島木川
   水の源 雲に問う 






 

 夜間降雨の予報に仕方なく廃家に設営。朽ちた家財や建具がこの家の歴史を語っていた。



  幾年も 置き去りされた
  家具たちの

  よどんだ臭い 闇に漂う






 第8日目 3月3日(天気 曇り):宇治から高梁・朝霧温泉
       距離:23km。行動時間:6時間30分。
標高差:400m
 早朝、廃家から撤収、ライトを灯して羽山渓谷を南下。島木川沿いに露出した地層が独特の雰囲気を漂わせている。やがて視界が開けて成羽町に出た。ここから小さな峠・満楽園を越えて苔の古道を300m登ると舗装道に出て新城池を経て高梁・朝霧温泉に設営した。設営後に今回初めての温泉で疲れを癒した。 
 

 集落の中にひときわ大きい廃家があり屋敷庭の広さが昔の栄華を偲ばせる。珍しく犬の散歩のオバサンに会った。



    集落の 要の屋敷
    人絶えて
    朽ちたカーテン 無情を語る





 


 第9日目 3月4日(天気 曇り後雨):朝霧温泉から木野山駅経由岡山駅
       距離:6km。行動時間:1時間30分。
標高差:0m
 温泉で昨日までの疲れがすっかり取れ、下山の喜びを噛みしめて一気に駅を目指して坂道を降りた。
 
 通常シーズンでは味わえないハンデイを何とか克服し駅に着いてホッとした。



     寒旅を 何はともあれ
     歩き終え
     駅のベンチで 安堵にひたる 




 
 3 あとがき(教訓と所感)

 1)懸念していた通り、夜間の冷え込みが厳しく(下記の最低気温参照)「意気込みだけでは旅は出来ない」ことを教えられた。夜間の防寒対策として持参した手製の内張り(ポリフイルム・シート製)の効果はあったが、寒さから解放はされなかった。特に、必需品のクッションシートを忘れて初日はコンクリー床に直寝となり苦労した。

 2)翌日、町へ出てクッションを入手したが車のキャラバン用しかなく1Kgは余計に担ぐことになった。思い込みや忘れ物が増え改めてシニア世代に突入したことを自覚した。

 3)今回は予想以上に高低差が大きく、特にシングルトレイルは階段ステップの急登が多く苦労した。瀬戸内コースとは云え山間部は地形が複雑で難易度は高かった。

 4)設営地について:休憩舎や公園の場所は十分あるが給水に気を使った(外の水道口は凍結防止で元栓を閉めている)。

 5)出発時間について:通常時期と同じく5時とし、ライトを6時まで点灯して行動。しかし、複雑なコースは夜明け後の6時にしたい。特に、日程に余裕を持たせて入山下山は半日行動(4時間程度歩行)が良い。今回の計画で初日は19Km(標高差900m)行動時間時間の設定にムリがあった。そのため焦りが出てコースを間違えてしまった。

 6)シニヤ・ウオーカーの寿命を延ばすために、自然歩道のトレイルに余り拘らず、その時の体調や現地の状況により迂回コースを見つけ自由度を高めてルートを選択したい。

 7)休憩時間について:通常は行動量の半分で1時間ほどの長い休憩をとり歩行をリセツトをして来たが、今回は寒くて2時間ピッチで5分程度の短時間の休憩とした。

 8)カロリーの収支試算を試みた結果
   ・消費総カロリー(概算)Q25,460 Kcal 
      条件:体重 58Kg、平均荷物重量=11Kg
         総距離=190km  標高=3,850m 
   ・摂取総カロリー(概算)S19,000 Kcal
        条件:事前購入食料=13,000 Kcal
          現地購入食料= 6,000 Kcal、  
   ・体脂肪消費量(概算)S1(S-Q)/7=-920g(3月3日実測値=-1.2kg

 9)食料について 
 ・夕食は無洗米(150g)+半ラーメンとミソ汁を基本食として問題なし。
 ・朝は半ラーメン。行動食は入手容易な食パン主体。他にビスケット類。
 ・切りコンブはミソ汁の具にしたり、行動食の飴代わりした。
 ・トレイルの道中に食料店がなく食料補給に気を使った(行動時間が早いので店の開店時間と合わない場合あり)。
 ・体内脂肪を燃焼させるために行動食は量を少なく頻度を多く(2時間毎程度)した。
 ・行動食や朝食用としてシリアルを用意したい(大型スーパーで入手可)。

10)装備について
 ・ポリシート製の内張りは外気との差が大きいと結露が著しい(材質検討要)。
 ・テントの補修用テープ持参要(ポールを張る時本体に傷をつけた)。
 ・ザックの両サイド補助袋の固定方法を改造要(現在紐で結んでいるので面倒)。

11)その他
 ・自然歩道のトレイル整備は両県とも良好だった
。ガイドブックも小冊子で持ち歩きを考慮され的確な資料であった。特に岡山県の地図は道路区分(舗装、砂利)や標高差が表示され助かった。
 ・夜間の最低気温(設営地の標高加味:-0.6/100m
  2/25(4),2/26(1),2/27(-1),2/28(-2),2/29(-1),
  3/01(-1
),3/02(7),3/03(4)

 
 <テント泊の参考資料>          
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