1 はじめに 歩行時期について、これまでの体験から夜間の最低気温が5度以下だと野営装備が重くなり歩行に支障をきした。従って国内では対象期間の12月から3月上旬までは休眠とし、例外として数年南半球のニュージーランドのフットパスを訪れて来た。 しかし、年々活動能力の低下に伴い、国内の冬シーズンでも何とか対策を考えて新たなフイルドを開拓したくなった。それには気象は勿論、地形やトレイル質等の考慮事項は多く、加えて今年は冬が長く立春を過ぎても関東地方でさえ夜間0℃になるありさま。こんな状況でも、あえて春を捜しに行きたい気持ちを抑え難く「ムリな時にはいつでも引き返す勇気」を忘れずに出かけることにした。 今回の起点は、一昨年春に到着した山陽本線・本郷駅からとして広島県後半と岡山県前半をトレースする。歩行時のタイムやポイント等、テント利用者の参考用として「資料編」を作成する。 |
2 トピック&スケッチ 概略総距離=190Km(広島分94km、岡山分96km) (実績値) 総行動時間=54時間40分(広島分28時間20分、岡山分26時間20分)(実績値) 概略総標高差=3,850m(広島分2,300m、岡山分1 ,550m) (実績値) *出発日 2月24日:東京駅八重洲通りから岡山駅西口へ 東北急行の夜行バス停留場は東京駅前でなく、八重洲通りを500m程南下したコンビニの前にあった。高速バスの便が増えて駅前のスペースに余裕がなくなったようだ。
第1日目 2月25日(天気 雨後曇り):三原駅経由・本郷駅から三原久井インター 距離:14km。行動時間:4時間40分。標高差:700m 本郷駅から県道55号線を北上し仏通寺を経て大峰山へ。山頂付近で下山道を間違えてトレイルまで親切なオジサンの車で10Kmほど送ってもらった。 |
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岡山駅から山陽本線で起点の本郷駅に到着。いつの間にか雨も上がりガスが晴れ里山に春の香り。 里山は 夜明けと共に 雨止んで 梅の蕾に 水玉残す |
第2日目 2月26日(天気 曇り後晴):三原久井インターから妙得寺 距離:22km。行動時間:6時間30分。標高差:500m 尾根筋のトレイルを迂回して県道を選び八幡神宮で合流。又、竜泉ダム入口のバス停から新倉敷駅まで路線バスで行き忘れ物(クッション)を購入。その後、再びバスで木梨集落まで戻った。 |
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第3日目 2月27日(天気 曇り後晴):妙得寺から山守橋 距離:28km。行動時間:8時間40分。標高差:600m 出発してから2時間ほど進むと閑静な本郷温泉街に着く。ここから急登をひと汗かいて台地に出て大谷山を捲き鈴池、八坂田集落を通り芦田川に架かる山守橋へ下った。 |
今日のトレイルは人家の少ない山間部を縫うように進む。小さな起伏をいくつも越え春を待つ山波に酔う。
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第4日目 2月28日(天気 晴後曇り):山守橋から聖嶽駐車場 距離:24km。行動時間:6時間30分。標高差:200m 早朝の駅家町市街地を北上。大日石団地から光明寺まで尾根のトレイルを避けて賀茂川沿いに県道21号線を進んだ。 |
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西運寺に隣接して郷賀茂神社あり。神木の大ケヤキは幹廻り6m、付近に古墳群もあり神社と共に昔から大事にされたようだ。 |
第5日目 2月29日(天気 曇り後晴):聖嶽駐車場から弥高山公園 距離:20km。行動時間:6時間30分。標高差:700m 夜半に積った雪を踏みしめて2時間ほどで県境の峠を越える。弥高山付近は展望が良く低山の山波が遠方まで続いて岡山県の名前の由来に納得。 |
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天気予報通り夜中に降雪ありテントの回りは白一色、天気の回復を期待して岡山県に入る。 雪止んで 早起き鳥の 声聞けば 疲れ癒され 寒さ忘れる |
3 あとがき(教訓と所感) 1)懸念していた通り、夜間の冷え込みが厳しく(下記の最低気温参照)「意気込みだけでは旅は出来ない」ことを教えられた。夜間の防寒対策として持参した手製の内張り(ポリフイルム・シート製)の効果はあったが、寒さから解放はされなかった。特に、必需品のクッションシートを忘れて初日はコンクリー床に直寝となり苦労した。 2)翌日、町へ出てクッションを入手したが車のキャラバン用しかなく1Kgは余計に担ぐことになった。思い込みや忘れ物が増え改めてシニア世代に突入したことを自覚した。 3)今回は予想以上に高低差が大きく、特にシングルトレイルは階段ステップの急登が多く苦労した。瀬戸内コースとは云え山間部は地形が複雑で難易度は高かった。 4)設営地について:休憩舎や公園の場所は十分あるが給水に気を使った(外の水道口は凍結防止で元栓を閉めている)。 5)出発時間について:通常時期と同じく5時とし、ライトを6時まで点灯して行動。しかし、複雑なコースは夜明け後の6時にしたい。特に、日程に余裕を持たせて入山下山は半日行動(4時間程度歩行)が良い。今回の計画で初日は19Km(標高差900m)行動時間7時間の設定にムリがあった。そのため焦りが出てコースを間違えてしまった。 6)シニヤ・ウオーカーの寿命を延ばすために、自然歩道のトレイルに余り拘らず、その時の体調や現地の状況により迂回コースを見つけ自由度を高めてルートを選択したい。 7)休憩時間について:通常は行動量の半分で1時間ほどの長い休憩をとり歩行をリセツトをして来たが、今回は寒くて2時間ピッチで5分程度の短時間の休憩とした。 8)カロリーの収支試算を試みた結果 ・消費総カロリー(概算)Q=25,460 Kcal 条件:体重 58Kg、平均荷物重量=11Kg、 総距離=190km 標高=3,850m ・摂取総カロリー(概算)S=19,000 Kcal 条件:事前購入食料=13,000 Kcal、 現地購入食料= 6,000 Kcal、 ・体脂肪消費量(概算)S1=(S-Q)/7=-920g(3月3日実測値=-1.2kg) 9)食料について ・夕食は無洗米(150g)+半ラーメンとミソ汁を基本食として問題なし。 ・朝は半ラーメン。行動食は入手容易な食パン主体。他にビスケット類。 ・切りコンブはミソ汁の具にしたり、行動食の飴代わりした。 ・トレイルの道中に食料店がなく食料補給に気を使った(行動時間が早いので店の開店時間と合わない場合あり)。 ・体内脂肪を燃焼させるために行動食は量を少なく頻度を多く(2時間毎程度)した。 ・行動食や朝食用としてシリアルを用意したい(大型スーパーで入手可)。 10)装備について ・ポリシート製の内張りは外気との差が大きいと結露が著しい(材質検討要)。 ・テントの補修用テープ持参要(ポールを張る時本体に傷をつけた)。 ・ザックの両サイド補助袋の固定方法を改造要(現在紐で結んでいるので面倒)。 11)その他 ・自然歩道のトレイル整備は両県とも良好だった。ガイドブックも小冊子で持ち歩きを考慮され的確な資料であった。特に岡山県の地図は道路区分(舗装、砂利)や標高差が表示され助かった。 ・夜間の最低気温(設営地の標高加味:-0.6℃/100m) 2/25(4℃),2/26(1℃),2/27(-1℃),2/28(-2℃),2/29(-1℃), 3/01(-1℃),3/02(7℃),3/03(4℃) |
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