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<南・北アルプス全山縦走>
アプローチ 編・・・駿河湾・焼津港から寸又温泉
      &高遠町から上高地
      期 間:平成18年6月10日から6月16日


1 はじめに 
 南アルプス及び北アルプスの全山縦走は、若い時から一度は試みたい<憧れのテーマ>だったが、長期間の休暇が取れないため実現出来なかった。しかし、定年で自由時間を得“チャンス到来”と体力と気力の養成に努めて6年目の今夏可能になった。
 <折角トレースするのだから、太平洋から日本海までの完全徒歩縦断を・・>と主観的な大歩行?へ夢が広がる。その第一ステージとして、今回は山岳トレイルのアプローチ部分をトレース。即ち、駿河湾の焼津港から南アルプス・光岳の登山口・寸又温泉まで。更に、南アルプス下山後の高遠町から北アルプスの登山口・上高地までの連絡コースを歩く。
 生憎、梅雨シーズンで好天気は期待出来ないが山岳コースではないので「何とかなるだろう」と焼津駅行きの最終便に乗った。

           
            千頭町          上高地・カッパ橋                                   

2 行動の記録 
 
 概略総距離=168Km。総行動時間=43時間50分(実績値)

  第1日目 6月10日(天気 晴):焼津港からびく石・ふれあい広場
                  (距離22Km)行動5時間50分
 昨夜遅くJR焼津駅に着き仮眠場所を捜すが、駅構内は名店街ビルで野宿するムードでない。5分ほど歩いて焼津港に出て魚市場の建物の隅で仮眠した。しかし、潮風と漁船のエンジン音で気分が高まり横になっておれず夜明けを待たずに駅へ引き返し出発。
今日の予定は、県道・30号線を西進し大手二交差点から215号線、西方集落から県道81号線・32号線を進んで瀬戸谷付近で野営したい。
県道・215号線沿いに藤枝霊園の大観音があり、慈悲深い姿が印象的。瀬戸谷集落の<温泉・ゆらく>は時間が早く開店前のため、更に1ピッチ前進し<びく石・ふれあい広場>に野営。設営後バスで温泉へ戻って入浴した。


  第2日目 6月11日(天気 雨):びく石・ふれあい広場から蛇塚集落
                 (距離27Km)行動7時間20分
 本降りの雨に少々ウンザリ。出発して1時間程進んで蔵田集落に着くと分岐点に<東海自然歩道>の道標があった。蔵田集落から清笹峠を経て久能尾集落まで、4年前に通った時の記憶が蘇る。久能尾で前回下山したバスを横目に国道・362号線を北進。
 この先は千頭町まで山間路の一本道だ。地元の兄さんが車を徐行して「何処まで?この先は人家もないヨ」「乗って行かない?」と声をかけてくれた「ありがとうございます。でも急ぐ旅でもないので・・」と丁寧に辞退。荷物を担いだ姿は珍しいようで同様の声かけが昨日もあった。
 蛇塚集落の手前に廃作業所があり野営地に決める。雨天時の屋根は、何よりのプレゼントだ。


  第3日目 6月12日(天気 晴):蛇塚集落から寸又温泉。
           寸又温泉からバスと電車を利用してJR伊那駅へ移動
                  (距離26Km)行動7時間
 南アルプスの深さを思わせる尾根を幾つも越えて国道・362号を北西に進む。富士城付近で分水嶺を過ぎると大きなアルプス前山の峰々が現われる。小長井トンネルを過ぎて新道を下ると千頭の町が見えてくる。朝の通学児童達の後に従って川根大橋を渡って千頭駅に到着。
 駅に荷物をデポして、ここから空身で13km先の寸又温泉まで行きバスで千頭駅に戻る。寸又温泉でバス待ち時間を町営・露天風呂に入り前半のアプローチを終了。今日中に次のスタート地・高遠町に向かう。
 富士駅から身延線の鈍行は2時間毎のダイヤで不便だが、何とか甲府に出て中央線、飯田線に乗り継ぎ深夜伊那駅に着いた。


   第4日目 6月13日(天気 晴):高遠町から権兵衛トンネル手前
                  (距離22Km)行動5時間20分
 伊那駅前から始発バスで10km先の高遠町へ向い、高遠町バス停から国道・361号線(権兵衛街道)を空身で伊那駅へ引き返した。
 今年4月に開通した新・権兵衛街道は、伊那谷と木曾谷間を1/3の時間に短縮したそうだ。しかし、単調な直進バイパス道路が延々と続き<短縮には違いないが徒歩には不適・・>とボヤキが出る。車も多く4700mの長い権兵衛トンネンの通過は明朝にして、トンネル入り口で旧道に降りて架橋下にテント設営。


   第5日目 6月14日(天気 快晴):権兵衛トンネル手前から細島集落
                   (距離28Km)行動7時間20分
 1時間以上もトンネル内を歩くのは初めてだが、早朝で車も通らず、歩道は勿論照明も完備で快調に進む。権兵衛トンネルの先にも数ケ所1kmクラスのトンネルを通過して木曾谷に出た。
 上高地まで53kmの道路標識がある中央線・藪原駅から<木曾川の源流の里>と表された木祖村を北上、町営バスの終点・細島集落の外れの配水池にテント設営。


  第6日目 6月15日(天気 曇り雨):細島集落から奈川渡・前川渡大橋
                    (距離25Km)行動6時間40分
 出発して30分で<しらかば平別荘>に着く。この別荘地は広いスペースに建物が配置されていて閑静な別荘群だ。更に笹川沿いに北上して境峠を越えると奈川村に入り、渋沢温泉、新奈川温泉を経て奈川渡ダムに出ると交通量が多い上高地線(国道158号線)に到着。 この道は、安房トンネルの開通で高山方面に抜ける車が主流との事。しかし、沢渡までの従来トンネル(奈川渡トンネル、親子トンネル、及び前川トンネル)は側道が狭くノロ状の土砂で覆われ歩き難い。上高地まで18kmの表示がある前川渡大橋のバス停にテントを張る。


  第7日目 6月16日(天気 雨後晴):前川渡大橋から上高地。直通バスで新宿駅
                    (距離18Km)行動4時間20分
 早朝は車の騒音に悩まされることもなく順調に沢渡、坂巻温泉を通過して中ノ湯に到着。ここから先はマイカー規制でバスと関係者の車だけ通過可能。旧トンネル脇に昨年開通した<新釜トンネル>を通リ見覚えのある大正池に到着。ガスで稜線は見えないが、山腹には残雪が残っている。上高地の案内所によると例年より残雪が多く稜線はアイゼン要とのこと。
 新緑の上高地見物をして午後2時発の新宿行きの高速バスに乗車した。
    
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3 あとがき(教訓と所感)

1)今回は雨天を覚悟して出発したが、本降りは1日、小雨2日間で下山出来たのは幸いだった。特に雨天時の野営に屋根下が使えたのは助かった。次回からの山岳トレイルの場合雨天でも屋外設営になるので課題が残る。

2)もう一つの課題は、山岳路(急登と急下降)の円滑な歩行法の把握。平坦路はこれまでの自然歩道歩きで大体理解出来たので、階段状の登降のトレーニングをしたい。

3)足のマメ防止に靴中敷を二枚敷きクッション性を高め、歩き始めは歩数90ピッチ/分程度を意識して局部加熱を避け効果があった。又、有酸素運動で行動するように呼吸は鼻から2ピッチで吸い、口から6又は9ピッチでユックリ吐く(4ピッチ以下の吐きは過負荷運動域)。

4)食料の有効消費のために、体脂肪を効果的に使用したい。体脂肪燃焼率を高めるために食事は一回の量を少なく回数を増やして見たら効果があった。

5)「入出力熱量のチェック」ついては以下の通り。結論から云えばカロリー不足による体脂肪の減少量は750g(6800Kcal)程度だった。
持参食料を制限して現地手配食を増やし荷物軽減。発汗防止と有酸素運動のために歩数100毎分程度を確保。

1:消費熱量(E:Kcal)
   E=E1+E2+E3=22、200Kcal(3、170Kcal/日)
   E1= 6、630Kcal・・・総基礎代謝熱量(7日間)
   E2= 2、300Kcal・・・総行動時(急登行)の熱量(4時間50分)
   E3=13、270Kcal・・・総行動時(急登行以外)の熱量(39時間)
条件:エネルギー代謝率(5&7)、性年齢補正係数(0.0162)、体重(58kg)、平均荷物重量(12kg)
   
2:摂取熱量(Q Kcal)
  Q=Q1+Q2=15、500Kcal(2、2140Kcal/日)
  Q1=9、900Kcal・・・持参食料分熱量  64%
  Q2=5、600Kcal・・・現地購入分熱量  36%
3:消耗体脂肪量(W g)
W=(E―Q)/9=744g  (体脂肪の燃焼カロリー=9kack/g)

6)食料・装備について(入山時ザック重量=13kg)
1:移動日に伊那町で食料を購入出来るので、行動食の半分だけ入手して荷物の軽減を図った。
2:今回初めてビタミン剤を持参(効果は不明だったが無いよりマシか?)。
3:チョクレートは熱さで軟化したので夏場は持参方法を検討要。
4:煎り大豆、切り干ダイコン、切りコンブを忘れた。
5:米飯に乾燥シジミを入れて試食要(フリカケ飯だけでは飽きる)。
6:コッフェル1ケでミソ汁と米飯を炊いたが、支障はなかった。(これまでは2ケ持参した)。
7:腕時計は紛失防止のために、安全ピンでポシェットに固定。
8:夏は野球帽子よりムギワラ帽子が良い。


 



  
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