テント担いで四国遍路・5巡目 (高知・愛媛編) |
はじめに 区切り打ちの第2ステージとして、今回は高知駅・はりまや橋から愛媛県・宇和島駅までとする。巡拝寺は32番(禅師峰)寺から40番(観自在)寺までになるが、2年前の同時期に参拝しているので、往時を回想しながら余裕を持って歩きたいものだ。が、最近の心身の老化が著しいので、果たして思惑通りになるか一抹の不安と共に夜行バスで高知へ向かった。 2年前と同じく、今回も道中のウオーキングに重点をおき、各寺院では参拝だけにして納経は省略した。野営者向け歩き遍路の参考用としてタイム及び設営地の記録を作成した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ §1 行動の記録 実総歩行時間(除く休憩)=77時間10分(7時間/日)、総徒歩距離=256km(23、3Km/日) 第1日目 5月19日(天気 晴):高知駅から唐音バス停 実歩行時間:4時間30分(距離15Km) 夜行バスで前回の終点・高知駅へ向かう。駅からバスを利用して、最初の巡拝寺・32番(禅師峰寺)へ最寄バス停・県立大学前で下車。32番寺から遍路コースを種崎渡船場、33番(雪蹊寺)を経て予定野営地の唐音バス停近くの高速道脇に設営した。
第2日目 5月20日(天気 強風雨):唐音バス停から宇佐大橋 実歩行時間:7時間30分(距離21Km) 天気予報では午後から台風並みの悪天候になる模様。未明に出発して34番(種間寺)から仁淀川大橋を渡り35番(清瀧寺)へ。降雨に煽られながら県道39号線を南下して宇佐湾に出ると荒波の怒涛に驚く。湾沿いの36番(青龍寺)へは、歩行不能で放棄して今夜の野営地を探す。 テント設営が出来ないので、あちこち探して頑丈な遍路小屋を見つけた。
第3日目 5月21日(天気 晴):宇佐大橋から焼坂休憩所 実歩行時間:7時間20分(距離27Km) 予定では宇佐・埋立から浦ノ内湾を横浪集落まで乗船を考えていたが、昨日36番寺を断念したので、その代わりに湾沿いに約10kmを歩く。横浪から県道23号線を西進して須崎へ。須崎の大間駅から3駅先の安和駅までJR土讃線を利用し、焼坂トンネルを出た所の遍路休憩舎に設営した。
第4日目 5月22日(天気 快晴):焼坂休憩所から仁井田駅 実歩行時間:6時間40分(距離20Km) 天候が回復したのは有難いが、真夏の暑さになるらしい。熱中症を避けるべく、早朝に出発して午前中に行動を終了したい。国道56号線で土佐久礼駅を経て大坂遍路道を辿り、七子峠から影野駅に到着。更に仁井田駅から2km先の道の駅・あぐり窪川に設営した。
第5日目 5月23日(天気 快晴):仁井田駅から佐賀公園駅 実歩行時間:9時間 (距離27Km) 今日も国道56号線を進み37番(岩本寺)を参拝。南下して挙ノ川、伊与喜駅、土佐佐賀駅を通り佐賀公園駅前の土佐西南大規模公園に設営した。
第6日目 5月24日(天気 快晴):佐賀公園駅から四万十大橋 実歩行時間:7時間 (距離22Km) 昨日と同様に、国道56号線を南進。下田ノ口から国道と別れ、県道42号線に入り8km程進んで野営地の四万十大橋に到着した。
第7日目 5月25日(天気 快晴):四万十大橋から衣布利 実歩行時間:7時間 (距離25Km) 今日は国道321号線を市野瀬、久百々、大岐と海岸沿いに南下して衣布利に向かう。夏日で日射は強いが海からの風が心地よい。今日の区間はコンビニ等が少なく下ノ加江橋の1ケ所のみ。
第8日目 5月26日(天気 快晴):衣布利から天満宮 実歩行時間:6時間40分 (距離24Km) 県道27号線で室戸岬を目指す。岬の38番(金剛福寺)を参拝後に路線バスで市野瀬まで引き返す。バス停から県道46号線を西進。成山集落で土佐清水市から三原村になり上長谷集会場脇の天満宮に設営した。
第9日目 5月27日(天気 快晴):天満宮から松尾大師 実歩行時間:7時間20分 (距離25Km) 宗賀郵便局から県道21号線に入り三原役場を経て北上。土佐くろしお鉄道の平田駅を越えて39番(延光寺)に参拝する。再び国道56号線に出て宿毛駅に到着。駅から路線バスで一本松温泉バス停まで行き温泉に入浴。リフレッシュ後3km程離れた松尾大師の休憩舎に設営した。
第10日目 5月28日(天気 曇後雨): 松尾大師から須の川キャンプ場 実歩行時間:7時間(距離23Km) 今日も終日国道56号線を進み、出発して9km程で40番(観自在寺)到着。今回のステージで最後の寺を参拝。菊川郵便局、内海支所を経て海岸沿いに進み、雨天だが須の川キャンプ場に設営した。
第11日目 5月29日(天気 快晴):須の川キャンプ場から宇和島駅・帰宅 実歩行時間:7時間10分(距離27Km) 今日はトンネルが多い、まず、鳥越隧道、嵐坂隧道、最後に松尾トンネルと続く。しかし、本来の遍路道を通ればいずれも避けられる。松尾トンネルを過ぎると来村川沿いに開けて宇和島市内に入り、ほどなく宇和島駅の到着。駅からJR線で八幡浜駅に出て高速バスで新宿に向かった。
![]() 24日・四万十大橋 §2あとがき ◇前回と同様に、長期間の歩行に必要なスキルを把握出来た気がした。具体的には、疲労を翌日に持越さないこと。そのために目安として、1日の実歩行時間は6時間程度として2時間歩いて小休止これを3ピッチ。要は、2時間程度を休まずに歩くペースを身体で覚えるようにしたい。 ◇負荷の低減として、食料は現地手配を原則として荷物を軽く、衣類も最小限にして効果があった。また、カロリー摂取量も有酸素運動ベースで体脂肪の消費を促して、食べる量を少なくした(朝、昼、夕食にこだわらず少なく摂取)。 ◇老化に伴う歩行への影響としては、①歩速は従来と同様レベル、②急坂でのバランス低下により疲労感増、特に下路では転倒度増、③筋肉以外の視覚反応や聴覚反応の鈍化で判断力の低下を自覚した。これ等は好天気であれば実害は少ないが悪天候ではハンデイになるようだ。 ◇以前にもテーマにしたが、歩き方で日本古来のナンバ歩き(同じ手と足の振り)と明治以降の西洋式(手と足の振りが逆)がある。両者の違いは、西洋式が軍隊で採用されナンバ歩きより早い速度(腕の反動で足幅広くかつピッチも多くなる)で移動出来る。一方弱点として腰がネジレて腰痛の原因が考えられる。特に坂道が多い所(日本は山国で坂が多い)では腰の負担が増える傾向にある。 ◇高齢者向けとしては腰や膝への負担軽減のために西洋式よりナンバ歩きの方が適している気がした。だから、健康体操等で推奨する西洋式で<大股で手を振って歩く>は確かに運動にはなるが、腰痛や膝の故障を誘導すると思えた。 ◇そんな訳で、試しにナンバ歩きをした結果、確かに腰のネジレがなく負担は軽いようだ。反面体重の左右ブレが発生して歩きが不安定になる。また、歩速も遅くなる(それだけ軽負荷)。考えてみれば、階段等では楽なように自然にナンバ歩きをしている。また、ストツク使用はどうなるか?今後の検討テーマとしたい。 ◇今回も歩行を重点としたが、これは身体(からだ)と精神(こころ)に関わる事柄になる。さらにプラスアルファを加えると遍路歩きも豊かになるような気がした。それは、各寺院や路傍の石仏での拝礼を考える。簡単に云えば<拝み礼をする>ことで、私を含む縁者の今迄の息災に対して感謝して拝みお礼をすること。そこがパワースポットの聖域であれば、その真意も伝わり易いのではと思える。前者以外の第3の事柄・生命(いのち)の交流が出来れば、遍路歩に新たな楽しさが期待出来そうだ。 ◇5月にしては暑い日が続いた。その対策として早出(3時~4時)し、行動は午前中で終わるようにした。これはテント泊だから出来ることで民宿ではムリ。宿泊地を探すハンデイはあるが野営泊の利点を生かしたシニア向けの方法とも云える。 ◇25日に通過した伊豆田トンネル(1620m)で通過時間を測定したところ24分要した(歩数ピッチ=102歩/分)。この間を歩速度に換算すると4,05km/時間であった。 ◇ 食料について ・夕食はコンビニで入手したカップメシ、ウドン、白飯。朝兼昼食はパン類牛乳、いずれも現地調達食。 ◇装備について ・足指のマメなし(前回の教訓が生かされた)。 ・燃料使用量:90cc(コンビニ食が主流でガス消費少)。持ち帰り残量30cc(3回分)。 ・携帯電話の電源チャージを8日目に実施した。 ◇略 図 ![]() INDEX 資料編へ続く |
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