テント担いで四国遍路・3巡目 夏編(愛媛) |
はじめに 四国遍路のシーズンは、春と秋で夏冬は適していないと云う。その常識に従って、今までは春と秋の季節を選んで巡拝してきた。だが「どの程度の難度差があるだろう?」と体験してみたくて今回は、梅雨明けの時期に実行することにした。 まずは暑さ対策が最重要だから、ムリせずに「身の程をわきまえ」実態に合わせて行動したい。幸い、電車やバスの利用も可能なコースだから歩行だけにこだわらず必要に応じて交通機関も利用する。また、天気予報によると熱帯低気圧が南海に発生したので、1日早めに出発して余裕を持った。 しかし、起点の40番寺までのアプローチに時間がかかり、通常では行動終了時刻から歩き始めるのが気がかりだ。 野営者向け歩き遍路の参考用としてタイム及び設営地の記録を作成した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ §1 行動の記録 総徒歩距離=243km、実働総時間=72時間10分 第1日目 7月24日(天気 快晴) 愛媛・40番観自在寺から愛南町・須ノ川 (須ノ川公園) 実歩行距離14Km 実歩行時間 4時間10分 夜行バスで八幡浜駅に到着。八幡浜駅から予讃線で宇和島駅へ南下して、駅から路線バスで1時間ほど更に南下して起点の御荘町・40番寺札所前に正午ごろ下車した。ムツとする炎天下を今来たバス道を14km引返して須ノ川公園に設営した。
第2日目 7月25日(天気 快晴) 須ノ川から宇和島市内 (天赦園公園泊) 実歩行距離25Km 実歩行時間 7時間40分 前日の余熱が残る早朝「午前中だけ歩き午後は休養しよう」と国道56号線を宇和島へ向かう。しかし、10時ごろには炎天下になり容赦なく体温は上昇。何とか設営予定地の天赦園公園到着した。
第3日目 7月26日(天気 快晴) 宇和島市内から上宇和駅 (上宇和駅泊) 実歩行距離22Km 実歩行時間 7時間30分 昨日の教訓から熱中症防止のため、歩行距離を短縮(平均25kmから20km)し、一部鉄道を利用。41番寺で今回初めての巡拝をして卯之町駅へ。駅に適切なテント場がないので、ひと駅先の上宇和駅へ移動した。
第4日目 7月27日(天気 快晴) 上宇和駅から内子駅 (内子駅泊) 実歩行距離19Km 実歩行時間 5時間10分 国道56号線を北上して大洲駅に到着。連日の熱帯夜で睡眠不足と脱水気味なので今日は負荷を軽くして大洲駅から内子駅まで電車を利用。
第5日目 7月28日(天気 快晴) 内子駅から田渡・薬師堂 (休憩所泊) 実歩行距離23Km実 歩行時間 6時間30分 内子から山間部になり小田川ぞいの谷間のコースは幾分暑さがやわらぐ。久万高原帯に入ると更に涼風を感じ体調は回復して、予定通り午前中に設営地の薬師堂に到着。
第6日目 7月29日(天気 快晴) 薬師堂から久万町 (久万公園泊) 実歩行距離24Km 実歩行時間 7時間10分 標高500mの久万高原は空気が乾燥して炎天下でも木影はさわやか。今日45番寺へ片道(9km)バス便を予定していた。しかし、休日(土・日)は本数が少なく明日に持ち越す。44番寺だけ巡拝して公園内のシャワー施設を利用してさっぱりした。
第7日目 7月30日(天気 快晴) 久万町から久谷町 (奥久谷公園泊) 実歩行距離19Km実歩行時間 6時間30分 半日行動でも1週間のテント泊では心理的にも疲労が蓄積。対策として、松山市内には人気のユースホステルがあるので、リフレッシュのために31・1日の連泊を予約した。熱帯夜から開放されると思うと足取りも軽くなり三坂峠を越えて設営予定地の奥久谷公園に到着した。
第8日目 7月31日(天気 快晴) 久谷町から松山市・道後温泉 (松山ユースホステル泊) 実歩行距離20Km 実歩行時間 6時間10分 松山市内に点在する46番寺から51番寺まで巡拝して道後温泉の松山ユースホステルに投宿。チェックインは3時からで、荷物を預けて市内見物に出かけた。
第9日目8月1日(天気 快晴) 道後温泉から伊予北条駅(空身) (松山ユースホステル泊) 実歩行距離26Km 実歩行時間 7時間 早朝に宿を空身で出発。市街地を通り52番寺から53番寺を経て国道196号線を北上して今日のゴール地・伊予北条駅に到着。電車で松山駅を経由して宿に戻った。
第10日目 8月2日(天気 快晴) 伊予北条駅から大西町・星の浦 (海浜公園) 実歩行距離22Km 実歩行時間 5時間40分 昨日乗車した伊予北条駅から歩き始める。養護院、鏡大師、遍照院そして青木地蔵を経て設営予定地の星の浦海浜公園に到着した。
第11日目 8月3日(天気 曇後快晴) 大西町・星の浦から壬生川駅 実歩行距離29Km実歩行時間 8時間40分 猛暑に悩まされた<夏ヘンロ>も今日が最終日。国道196号線を東進して54番寺から今治市内に入り55番寺、56番寺、57番寺そして作礼山頂の58番寺では一汗流した。平地に下り伊予富田駅から県道156号線に出て59番寺に巡拝し予讃線沿いに南下。 夜行バスの乗車駅・壬生川駅まで歩く予定を「ムリは禁物」と自制して6km手前から路線バスに乗った。
![]() 日の出前の松山市郊外 §2 あとがき ◇ 初めて試みた<夏遍路>は予想以上に厳しかった。例年、梅雨明け1週間は好天気だが今年は特に気温が高く熱帯夜が続いたようだ。考えてみれば、夏のテント泊は高地登山で平地では初体験だった。 ◇ 特に炎天下の舗装道路は照り返しが強く、国道では車の排ガスと騒音で心身共に疲労感が増した。特に初日は体が慣れていないうえ、午後の一番暑い時からのスタートで苦労した。こうした環境から脱出するために、午前中で行動を終わるべく距離を短縮。また、水分補給に時に調理用の食塩を加えた(かって、登山の新人時代に夏バテした時に食塩の効果を体験した)。 ◇ 食塩の効用は五感で自覚する前に潜在意識が過去の体験から呼び戻して浮上した。このような対応は体験があればこそ活用出来ると思えた。云うなれば<経験は力>で、昔老人が尊敬されていたのも理解出来る。しかし、そんな時代も情報化社会になり不要になってしまった。スマホは勿論ケイタイからも背を向けた<ヘンロ老人はヘンナ老人>として世間の片隅で「身の丈」を求めて暮らすしかあるまい。 ◇ 歩き遍路は勿論、バスツアー遍路群も皆無で寺門前の案内所も開店休業状態。この時期はシーズン・オフと云うことに納得(剥き出しの自然に触れることが出来た)。 ◇ マスコミでは看護は<頑張らない・あきらめない>と云うが、炎天下のヘンロで判ったのは<ほどほどに頑張る・ほどほどであきらめる>ことで「身の丈」が見えてくるようだ。 ◇ 今回初めて後半にテント泊から舎営泊(松山ユースホステル・2泊)に変更した。今後は混合型の宿泊方式を採用し、負荷の軽減化により歩行寿命を延ばしたい。 ◇ いつも不安と期待で出発するが、ゴールに到着する時はいつも安堵感と満足感にひたれる。それは無事に帰宅出来る喜びで「帰る場所がある」喜びでもある。 ◇ 食料について ・夕食(餅米オジヤ)にスパゲテイーソース及び煮豆が旨い(ナット、山菜、小豆)。 ・朝食はラーメン又は、パンとウドンスープ。 ・現地購入の白飯及び山菜飯を夕食にした。 ・便通を良くするために毎日牛乳(500cc)及びヨーグルト摂取。牛乳は購入時に300cc飲み残り200ccはプラカップ(焼酎容器)で持参。頻繁にコンビニ等で水分補給。 ◇ 装備について ・靴下は新品(中厚)使用した(5本指靴下なし)。 ・燃料使用量:50g(4回分・暑さで火使用せず)。 ・下着は各1枚で充分・寝袋は不要。 概 略 図 ![]() INDEX 資料編へ続く |
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