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**** <北米・カリフォルニア西海岸のハイキング> ****
ヨセミテ公園とサンデイエゴ

期  間:平成23年7月21日から8月2日 (13日間)
参加人員:5名              記:飯星宏徳



ヨセミテ公園・ハーフドーム



  

 
1 まえがき
 テレビの地デジ化やBS放送の普及で「迫力ある景観」を居間で楽しめる世の中になった。しかし、バーチャル世界では味わえないリアルな世界の重要性が見直されている現在、五感で感じる風音や香りの「天然」を味わうべくジョギングの仲間と本計画を提案。
 自分達の身の丈に合ったスケジュールを模索して数度のトライアル・ハイクと打合わせの結果<宿泊はテントやユースホステルを利用、自炊を基本>として、初回の海外ハイキングを実行することになった。これを機会に、国内外にこだわらず年代にあったハイキングの幅を広げて行きたい。

 格安の航空券手配から宿泊予約、ハイキングコースの選定をしていると月日は瞬く間に過ぎ出発の日を迎えた。初めての試みだから多少のトラブルは「想定内」として、無事に成田空港へ全員集合出来てホッと一息。ヨセミテの山波に胸を膨らませて機内の人となった。



  日   程

7月21日 成田空港から米国・ロスアンゼルス空港
                  ロスアンゼルス市内  (カワダホステル泊)
7月22日 ロスアンゼルスからヨセミテバリー 移動日 (バンガロー泊)
7月23日 ヨセミテバリー・ハイキング (バンガロー泊)

7月24日 ヨセミテバリーからツオルミー 移動日&ハイキング (テント泊)
7月25日 トウオルミー・ハイキング (テント泊)
7月26日 トウオルミーからヨセミテ・バリー 移動日&ハイキング (テント泊)

7月27日 ヨセミテバリー見物後マセイド市内下山 (ユースホステル泊)
7月28日 マセイドからロスアンゼルス経由サンデイエゴ市内
                        移動日 (ユースホステル泊)
7月29日 サンデイエゴ・ハイキング  (ユースホステル泊)
7月30日 サンデイエゴからロスアンゼルス市内 (カワダホステル泊)
7月31日 ロスアンゼルス見物  (カワダホステル泊)

8月 1日  ロスアンゼルス市内からロスアンゼルス空港
8月 2日 成田空港


 
2 トピック&スケッチ

第1日目 7月21日(天気 曇り):成田空港から米国・ロスアンゼルス空港
                     ロスアンゼルス市内 (カワダ・ホテル泊)
 9ケ月前から日程の調整や宿泊の予約で試行錯誤の末、一応の設定をしたがテント地が先着順受付のため不安を残して出発。

 我々の出発日に限って大型台風・6号が来襲するとは・・・「世の中、皮肉なものだ」と2・3日前から不安な日々を強いられた。


   台風で 欠航案じ
    空港へ
     ボードの表示に ホッと一息





2日目 7月22日(天気 快晴):ロスアンゼルスからヨセミテ・バリー 
                   移動日 (カレービレッジ・バンガロー泊)
 ヨセミテ公園への入山口・マセイドからバス便が午前3便、午後1便と少なく、公園に着くのは20時前後になる。十年振りのヨセミテ・バリーに戸惑いながらも無事宿に到着。
 
  最終便で夕闇迫るヨセミテ公園に到着。寝不足の眼を凝らしてバンガローを探す。


    ヨセミテの 谷に広がる
     夕闇に
      追われる如く 我が宿捜す







第3日目 7月23日(天気 快晴):ヨセミテ・バリー  ハイキング(バンガロー泊)
  ヨセミテ公園の概念を把握するために、代表的なヨセミテ滝、ミラー湖及び谷周辺の地形を無料のシャトルバスを利用して終日を過ごした。

 氷河の爪痕は時を越えて今にとどめ、大自然のパワーに圧倒される。岸壁上部帯の残雪が融けて谷底へ集まり数個の湖を形成している。


    鏡湖の 名前の通り
     ミラー湖は
      大岩壁を 見事に映す






 清水は湖から流れ出てマセイド川となり谷間を縫って平原へと導かれ一大穀物地帯を育む。


   湧きあがる 白雲従え
    鎮座する
     ハーフ・ドームに 神霊宿る 




第4日目 7月24日(天気 快晴):ヨセミテ・バリーからトウオルミー
                     移動日&ハイキング (テント泊)
 日程に余裕があれば、ヨセミテ上部のトウオルミーは是非訪れたいスポット。日帰り可能なバス便もあり代表的なレンバート・ドームのトレース可能。標高2600mのため夜間の冷え込みは標高1200mのヨセミテ・バリーに比べて厳しかった。
  ヨセミテのドームと云えばハーフ・ドームだが我々にとっては、トウオルミーのレンバート・ドームの印象が強い。その頂上から360度の展望は筆舌に尽し難い。

   残雪の 山波遥か
    切れ目なく
      天地の鼓動 五感にしみる





第5日目 7月25日(天気 快晴):トウオルミー・ハイキング(テント泊)
 当初1泊2日でヨセミテ・バリーへ下降の予定だったが、平年の2倍の残雪量がありトレイル上にも雪で中止して往復3時間ほどのエリザベス湖に変更した。
 湖周辺の沢も例年であれば飛び石伝いに渡渉出来るが、今回は靴を脱いで渡る

   雪解けの 沢の浅瀬は
    冷たくて
     短い夏の 渡渉愉しむ





6日目 7月26日(天気 快晴):トウオルミーからヨセミテ・バリー(テント泊)
  残雪のために、歩行でなくバス便でヨセミテ・バリーへ戻る。トレイルの許可証を入手しているので、一般のキャンプ場とは別枠のバックパッカー用のスペースにテントを設営。
 車窓から眺める途中の原野は、毎年秋に発生する山火事のため立枯れた樹木が目立つ。
 民家に影響しない限り火災は放置され自然沈火に委ねられているとの事。
    山火事で 黒肌さらし
     立枯た
      パインの脇に 若木伸びゆく






第7日目 7月27日(天気 快晴):ヨセミテ・バリー ハイキング後
                     マセイド市内下山(ユースホステル泊)
 下山のバス便まで半日あるので、テントを撤収後にハーフ・ドームの展望コース・フオーマイル・トレイルを歩く。山頂のグレシア・ポイントまでバス便があるが、当日では朝一番便は満席でダメ。時間が許すだけ登行して展望後に引き返した。
   毎日がお祭りのような賑やかで愉しい山旅も今日で終わる。パラダイスの避暑地から灼熱の下界へ戻ると思うとウンザリする。

    樹々の間に ハーフ・ドームの
     勇姿見え
      想像越える 氷河の力






第8日目 7月28日(天気 晴):マセイドからロスアンゼルス経由サンデイエゴ市内
                    移動日(ユースホステル泊)
 早朝一番バスでロスアンゼルスへ南下、ダウンタウンで乗り換えて更にサンデイエゴまで南下、待ち時間を含めて12時間の長旅になった。

 久振りに車窓から朝焼けと茜雲を見た。猛暑にふさわしい赤味をおびた雲がジワッと浮かんでいる。車内では母娘が寄り添いながら仮眠を取っていた。

   車窓から 朝日さし込み
    まどろみて
     毛布を被る 母娘を照らす




第9日目 7月29日(天気 快晴):サンデイエゴ・ハイキング(ユースホステル泊)
 メンバー・石さんの娘さん夫婦の案内で無駄なくサンデイエゴ市内の見学とハイキングを満喫。
 当地は恵まれた気候と海に面した立地条件で大きな発展を遂げ、多くの観光スポットが人気を集めており、数日滞在する価値がある。

 海流に乗って訪れるクジラやアザラシのウオッチング。バルボア公園やオールド・ダウンのメキシコ料理、更に夕日を眺めて差し入れの手作りオニギリは忘れ難い。

   夏の日の 夕日を受けて
    海光り
     寄せては返す 磯の波音



第10日目 7月30日(天気 快晴):サンデイエゴからロスアンゼルス市内(カワダ・ホテル泊)
 後半のサンデイエゴ訪問も無事終わり、いよいよ帰国に向けて旅の整理をする。ダウンタウンの宿の近くに日本酒も販売している大型市場があるので食材の入手が便利だ。明日は終日ダウンタウンの散策になるので、午後はその下調べをした。

 食事は殆ど自炊だから食材の入手が容易なのは助かる。新鮮な野菜、果物、テイクアウト品など、日本の半値で買えるので会計担当者はご機嫌上々。

   新鮮で 安くて旨い
    食市場
     呼び込み声も 庶民の味方




第11日目 7月31日(天気 曇り):ロスアンゼルス見物(カワダ・ホテル泊)
 朝食前にドジャース球場まで4kmほどジョギング。その後ダウンタウンの定番・リトル東京、ユニオン駅傍のオルベラ街、チャイナタウン等のウインドーショピング。

 リトル東京の片隅に、昔懐かしい二宮金次郎像が建っていた。近代的なビルにマッチしたそのモチーフはアメリカナイズされ、少々違和感もあったが祖国を想う邦人の心意気を感じた。

   本を読み 薪背負った
    金次郎
     祖国を偲ぶ 移民の想い



第12日目 8月1日(天気 曇り):ロスアンゼルス市内からロスアンゼルス空港
 空港までの時間に余裕があるので、スーパーシャトル便でなく地下鉄で3度乗り換えて空港へ。地下鉄は市民の足として親しまれ乗客も多いがどちらか云えばヒスパニック系や黒人層が主流のようだ
 太り過ぎて電動椅子で移動のオバサンが乗車して入口を塞いだが文句を云う人もいない。

 弱者への配慮は成熟社会のバロメーターか、バスも特殊なステップが張り出て乗車出来る。


   太り過ぎ 電動椅子を
    軋ませて
    電車に乗りて 入口塞ぐ



第13日目 8月2日(天気 曇り):ロスアンゼルス空港から成田空港・帰宅 
 出国手続は荷物検査も身体検査も簡素な半面、米国での入国手続は指紋採取や写真撮影と煩わしい時間を費やしテロ対策の厳重さを感じた。
今回は、成田空港まで日暮里駅経由でなく、新鎌ケ谷駅経由・成田スカイアクセス線を選んだ

                * * * * * * * *

 3 あとがき&教訓
 
1)今回5度目のヨセミテ訪問になったが、その度に、新たな感動を与えてくれた。特に、トウオルミー2日目のレンバート・ドームからの展望は素晴らしかった。今夏は例年の2倍の残雪量とかで、これまで記憶にない山波の迫力に思わず「今後は二度と出会えまい」と哀しくなるほど強い印象を受けた。

2)ドームの山頂付近は花崗岩の一枚岩でフリクションが効き、岩登りの感触が甦り周囲の景観に酔い登行の血が騒いだ。その為に他メンバーに不安を抱かせて迷惑をかけてしまった。

3)案内所の指導員によると、予定していたトウオルミーからヨセミテへのロング下降路には途中残雪が残っているとのこと。遠目にも峠付近は雪で覆われているので、トレイル跡はあるにしても、慣れない荷物を担いでの歩行はムリと思い中止した。考えてみれば、ハイキングレベルでトレースするコースではなく、それなりにスキルを習得したバックパッカーにのみ許される領域と云える。ヘロヘロになってトレースするのはもったいないトレイルだから相応しい力と知恵を得てから余裕を持って臨みたい。

4)初めてグループで国外のハイクに出かけた。ソロ(単独)と比べて調査や調整にかなりに時間が必要なことが判った。活動の負荷を10とすれば、成田出発まで3割、現地初日宿までが2割、ハイキング終了で3割、残り2割は帰国までと思えた。

5)参加者5名とも日頃から気心がしれた仲間なので「旅の目的」をお互いに理解し楽しい日々を過ごすことが出来た。又各自に担当を分担して負荷が偏らないように考慮した。しかし、会計&食料調達担当の女性2名・市さん、花さんには毎日細かい作業を強いられ申し訳ないことをしたと反省している。

6)懸念していた「ヨセミテのテント地」については、入山許可書を貰ったのでバックパッカー専用のキャンプを利用出来て解決した。連日のテント泊は慣れないため疲労感が蓄積するので、バンガロー利用して日常に近い生活環境が賢明。

7)13日間の日程で半日程度も含むとは云え7日間の移動日は多過ぎた。4日位が適当のようだった。

8)食事は自炊ベースだから自分達で選択出来て効果あった。特に、野菜や果物・牛乳を豊富に摂取出来た。

9)食材は現地調達としたので、荷物は装備品だけであったが11kg程度あり重過ぎるようだ8km程度に見直し要。

10)コンロ用ガスは普通サイズ(225g)を2ケで4日間OK。バンガローは火気禁止、ホテルは利用可(余分のカートリッジはホテルで引取った)。11)バンガローは最大人数5人だが、ダブルベット+シングル3ケの構成。


                 * * * * * * * *                                                  
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