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**** 憧れの南島・トラッピング****
   ミルフォード・トラック&ケプラー・トラック
 <食料><装備>及び<会計>は別紙「ジョギングと山旅・編」をご覧下さい


 
1 登山の準備
 1−1 ルートの検討
 昨年の秋、ミルフォード・トラックの入山を申し込んだが、既に1日・40名の定員オーバーで受け付けて貰えずルートバーン・トラックへ行った。
 今年はぜひ「世界1の散歩道」と云われるこのトラックを歩きたいと、受け付け開始の7月1日を待って申し込み予約を得た。
  <申込窓口> E-mail:greatwalkbooking@doc.gove.nz

 せっかく行くのだから「一つだけではもったいない」と、いつものケチな根性が出て同一地域のケプラー・トラックも加えて計画する。
 こちらは、面倒でなく現地で申し込めば良い(定員60名)。
 ガイドブックによると、その他代表的なトレイルが国内に50数コースがあるようだ。
 次回の候補地として、クライストチャーチの近くにある「バンク・ペネンシュラ・トラック」が手頃のようなので今回調査してみたい。

 1−2 航空券の予約
 大韓航空のソウル経由便が一番安いチケットで今回も世話になる。残念なのは同社で、以前はオークランドからクライストチャーチまで運行していたが今年は廃止されているので、国内便を使うしかない。
 ニュージーランド国内便は割高で、加えて米国のテロ惨事の影響か「出入税¥7,500−」が追加された。経費低減のため、オークランドからクライストチャーチまでは飛行機を使い、クライストチャーチから先のテ・アナウまではバス利用とする。

 1−3 食料・装備の準備
 日程の半分は食料調達可能な宿泊なので、日本から持ち込むのは白米(洗米)、調味料等出来るだけ少なくする。
 国内にしか無い物(パック飯の五目飯・山菜飯、フリカケ、一口羊カン、乾燥野菜、)を用意する。
 山中の行動食は(4日間X2回分)現地で不足分を購入する。テントは担いで行動しないので、居住性を重視して2人用を持参する。
 小屋泊り用のザックは、シュラーフをザック下に取付けるためのバンド追加した(日帰り程度の小さなザック20L使用で軽量化する)。
 入下山後の数日間はジョギングをするので、シューズ、シャツ類を持参する。
 テント泊時のガソリンはテ・アナウで購入する(1L入り・樹脂製ポトル)。 写真はカメラ付きフイルムを2本用意する。


 
2 登山の記録
 2−1 まえがき
 2度目の訪問でテ・アナウの店や地理が判っているので助かる。問題は天候で、目的地の周辺は南島でも年間降雨量が多く晴れる日が少ないそうだ。
 入山日までの4日間も晴れ間が少ない。地元の話では「まだ夏の好天気の安定した気圧配置になっていない」そうだ。
 雨天のトレースは避けたいが、指定入山日は変更出来ないので雨天対策を充分して入山する。
 

 
2−2 行動の記録
 *** ミルフォード・トラック***
 12月4日・雨(テ・アナウからクリントン小屋)徒歩4,7Km。
 タイム:テ・アナウDOC前(9:45)-グレイド(11:40)-クリントン小屋(12:35)。
 ポンチチョを被り集合場所のDOCビジターセンターに行く。約40名の同行者とバスでボート場まで20分程乗り、そこからテアナウ湖の対岸で登山口のグレイドまで専用の80人乗り位のボートに乗る。
 今日の行動は1時間で着くクリントン小屋まで。小降りの雨で視界はサッパリ。平坦な山道は幅1.5m程度で、良く整備され落ち葉と砂利のクッションが心地良い「さすがは世界一の散歩道」と納得。
小屋に着くと、早速備え付けのLPGガスコンロで中食を作り温まる。清潔な小屋(二段ベット・マットレス付き)は好感が持てる。雨天のテント泊でないを思うと天国である。

 
12月5日・雨(クリントン小屋〜ミンタロ小屋)16,5Km。
 タイム:小屋発(6:10)-ミンタロ小屋(10:40)
 夜が明けるのが5時半ごろなので、昨日と同様6時過ぎ小屋を出る。
 朝食は軽くナッツ類を食べるだけでコンロは使わないので、起きて30分もあれば出発出来る。他の連中はこれから又一眠りする時間のようだ。
 トレイルは一本道で迷うことはない。今日も平坦な道を17Km程なので半日行動だ。小屋泊のお陰でザックの重さは10Kgもない。雨降りで休むと寒くなるので、食事もそこそこにして歩いている内に小屋に着いた。
 後発組が着くまで2時間程小屋は貸切になる。コンロで温かいラーメンとお茶で今日の疲れを癒す。
 夕方は9時まで明るいので、室内はザワついてベットに入っても眠れない。
 同宿者たちは<夜遅く朝も遅い>ようだ。登山者と云うより、ハイキング程度の気分で主にヨーロッパから来た人が多い。日本からは2人組の娘さんが同行している。いずれにしても、これから3日間同じ小屋に泊まることになる。
 小屋の屋根下で雨宿りしている「ケア」(オウムの一種)が人慣れしているのか近ずいてくる。乾していた山靴に穴を明けている写真と共に「この鳥は鋭いクチバシで突付き要注意」とあった。
 レンジャーによると、何にでも興味があり突付く習性があるそうで、人の頭や耳を襲うこともある危険な鳥だそうだ。


 
12月6日・雨(ミンタロ小屋〜ダンプリング小屋)14Km/標高差800m。
 タイム:小屋(6;15)-マッキノン峠(8:15)-ダンプリング小屋(11:00)。
 昨日同様の時間に出発する。<早出・早着き>は山登りの鉄則を思うので、このペースを変えるつもりはないが、他の連中は、朝食をユックリ取り9時ごろから出発しているそうだ。
 早朝発のお陰で今朝は、直ぐ近くで稀鳥「キユイ」と会った。剥製か飼育した鳥しか見ていなかったの「早起きは三文の得」と興奮して歩く。
 峠付近は、ガスが激しく流れ視界も10mほど。案内杭がガスで見えずモニュメントの建つマッキノン峠でウロウロした。天気が良ければ<ここからの眺めは素晴らしい>とのことだが残念だ。
 雨が激しいので早々に下山路を下る。
 アサー谷に沿って1000mの下降である。途中急な沢沿いになり、日本の場合だと鎖場の下降だろうがさすが「世界1を誇るトレイル」だけあって、要所はすべて立派な階段(手すり付き、踏板はメッキ付き鋼板製)
が設置されている。
 下降路の随所にこの階段があり相当な設備費をかけたトレイルと感心する。
沢芯付近は増水時にトレイルが水没するためだろう、両路肩に目印のポールを立ててある。雨の多い場所ならではの配慮である。
 天気予報では「明日は晴れ」だそうで、1日違いのズレに恨めしく低い雲を眺め夕食の準備をする。

 
12月7日(ダンプリング小屋〜ミルフォド・サウンド〜テ・アナウ)16Km。
 タイム:小屋(6:20)-サンドフライ・ポイント(11:00-14:30)-ミルフォード・サウンド(14:45-15:30)-テ・アナウ(15:30)。
 予報通り雲が切れ始めると、澄んだ青空がグングンと広がる。昨日までの雨で、周囲の樹林や地面を被うシダやコケ類は一段と艶をだして今にも動きそうだ。
 巨木にも全面コケが覆っている。自然の姿とは云え、高さ40mもありそうな大木がその全身にコケを被り立ち枯れた様子は、「壮烈と云うか痛ましさ」を感じる。それは「働き続きで倒れた企業戦士」のイメージに似ている。
 このトレイルは一方通行しか許可しないため、誰とも行き会うことない。両岸から流れる出る滝と標高が低い割にはアルペン的な山稜を眺めて歩く。
 トレイルの終着点で対岸のミルフォード・サウンドへ渡るためのボートを待つ。
ミルフォード・サウンドはバスでテ・アナウやクイーズタウンから来た観光客で大賑わいである。船着き場から眺める湖畔と対岸のピークはさすがに素晴らしい。
 帰路はミルフォード・ロードえをバスに2時間揺られてテ・アナウに着く。
 
 
  
***ケプラー・トラック**
 12月8日晴後曇(テ・アナウからラックスモア小屋)8,5Km/標高差1000m。
 タイム:テ・アナウ発(8:25)-ロードベイ登山口(8:40)-ラックスモア小屋(11:00)
 トレイルの開始地点は5Km程手前のコントロール・ゲイトからだが、テ・アナウからボートで直接対岸のロードベイ登山口に渡れるので、こちらを選ぶ。ペアーの1組と3人でアッと云う間に登山口に着く。
今日はこのトラックを使って「クロスカントリー走」があるとか。係員から「下山してくる走者に道を譲って下さい」と依頼される。
 20分ほど歩くとトップの走者が韋駄天走りで下りて来た。そのうち続々と走者が続き100名ほどと行き交う。
高度差1000mを各自ベストを尽くしている姿はさわやかだ。「今日は応援日だ!」と道を開けてエールを送る。トップ集団は返事どころではなく、目を吊り上げて走っていくが、後ろの方は「イヤーありがと・・」とゆとり顔で返事が帰る。
 又苦しそうな顔でゼーゼー云っているのは中間層のランナーに多いもの興味深い。
 ともかく、ニュージーランドの走者を応援出来て良い1日だった。稜線に出るとガスと小雨模様になり、急いでポンチチョを被り30分歩いて小屋に着く。
 時間が早いので、まだ今日出発する最後の1組はモタモタと雨具の準備をしていた。このトレイルも全長60Kmの距離で、3泊4日でなく無理すれば¥2泊3日でトレース出来るので朝早く出る必要もない。

 12月9日曇り(ラックスモア小屋〜アリス小屋)18,6Km。
 タイム:小屋発(6:10)-フォエスト避難小屋(7:30-40)-ハンギングヴァリー避難小屋(8:40)-アリス小屋着(10:10)
 昨夜、レンジャーのミーテングがあり「明日は荒れ模様の天気だから充分に注意して行動するように」との事。稜線は横風が強い、煽らがら進むと避難小屋に着き中で小休止。
 道ははっきりしているので、迷うことはない山腹沿いに更に進むと2つ目の避難小屋に着く。ここからは下山路になり、ガスも切れ始めて晴れ間から今日の小屋があるアイリス川が見える。
 第2に避難小屋から標高差900m下降してアイリス小屋に着く。天気はすっかり上がり紺碧の空の下で日向ボッコを楽しむ。
 2時間ほどして後続パーテイーが着く。その中に日本の高校の交換学生が1人混じっていて、「久しぶりに日本語を話しました」と懐かしがってくれた。
 この年代で良い経験をしているナーと頼もしくなった。

 12月10日 晴れ(アリス小屋〜モツラウ小屋)17,2Km。
 タイム:小屋発(6:20)-モツラウ小屋(9:40)。
 今日の行動距離も半日歩きだ。それも川に沿って良く整備された山道なので、ピッチも快調。歩数を計測すると約120歩/1分間だから時速約5Kmの速度になると思う。
 実際これまでの行動時間から換算しても合致する。
 普通の登路は約100歩/1分で4Km前後だがこの程度のザック重(10Kg)さが無理のない負荷のようだ。このペースは疲れて休むことなく、水や食事補給のために5分位の小休止して行動出来る。自分にとっては経済速度と云える。
このトラックの小屋の注意事項に<生水は飲まない事>とある。
 理由は、水中に微生物(ジアデイア)がいる場合がある。これが体内に入ると、下痢、胃痙攣、脱水状になり行動出来ないそうだ。対策として5分間以上の煮沸するか、フイルターで濾す方法が一般的。澄み切った湧き水や沢水が飲めないとは「新鮮な空気と美味い湧き水」を求めて来たのに興味が半減する。
 米国・ヨセミテの山も同様の注意があったので、湧き水を安心して飲めるのは日本だけなのだろうか?ミルフォード・トラックでは気がつかなかったので、地区により異なるのかも知れない。

 
12月11日 晴れ下山。(モツラウ小屋〜テ・アナウ)6,2Km。
 タイム:小屋発(7:00)-レインボウ・リーチ登山口(8:00-10:30)-テ・アナウYH(12:00)。
 アイリス小屋泊のトナンパーの半数はモツラウ小屋に泊まらず、下山して行ったので昨夜はガラガラの部屋に寝れた。
朝のさわやか中を樹林帯の木漏れ日を楽しみながら、1ピッチ歩いてバス停に着く。後から追いついたオランダから来た空手が趣味の青年は「せっかく来たのだから先まで歩く」と云って更に10Kmワイアウ川に沿ったトレイルに消えた。
 車道があるのに歩く気にはならずバスでテ・アナウへ戻った。明日は14日振りにクライストチャーチへ戻る。



 3 あとがき と 所感
3−1 第一の目標である「2つのトラックのトレース」は計画通り実行出来た。しかし、これまで行動パターンの「テント泊」は出来ず。全て「小屋泊」のため充実感はイマイチ。
 その上トレイルのレベルはハイキング程度で殆ど半日行動だった。日数の割には登山の負荷は軽く期待が大きかった分物足りない気持ちがした。

3−2 この国は「バックパッキング」とは云わず「トランピング」と呼ばれて小屋泊が主流のようだ。
 ガイドブックには「キャンプ場は120ヶ所・小屋は900ケ所」と紹介されているので、「テント泊」はマイナーで、スキル的には70歳代位でも楽しめるだろう。

3−3 トレースに不要な荷物(テントやジョギング用具)をデポするため入山前後はYHAを利用した。
 テントを町場で張る場合、全国チエーンの「ホリデイ・パーク」でもデポを受け付けるので、こちらの方がテントでユックリ出来暮らし易い。

3−4 当地は、環境は静かで新鮮なマイナスイオンの空気はタップリで申し分ないが、もう一つのポイント
「新鮮な湧き水」は微生物がいて飲むことは出来ない。これにはガッカリした。
 2つの条件を満足してくれるところを新規に探したい。

 <食料>、<装備>及び<会計>は別紙「ジョギングと山旅・編」
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