主人公の実直な豆腐屋を演じるのは、76才にして本作が初主演となる国民的名優・小林稔侍。
東日本大震災で家族全員を失った少年に優しく寄り添いながら、少年の心の再生を見守る昔気質の男を存在感たっぷりに演じる。
豆腐屋の娘を壇蜜、料理屋の女将を高島令子が演じるほか、平田満、六平直政、神戸浩ら実力派俳優が脇を固める。
ものづくりのまち愛知県豊田市全域でロケを行い、人と自然に誠実に向き合い、額に汗して働きていねいに生きる人びとの物語が誕生しました。
妻を早くに亡くし、一人娘の志保と二人暮らしをする主人公の島田勇作。京都で豆腐作りの修行を積んだ勇作は、毎朝じくりと手間と時間をかけて美味しい豆腐を作り、町の主婦や料理屋に届ける生活を続けていた。
そんなある日、勇作の元に、警察官に付き添われ、東日本大震災で津波により家族全員を一瞬で失った少年・政美がやって来る。亡き妻の遠縁にあたるという政美。突然の不幸により心に傷を抱える政美を、勇作はただ静かに見守り続ける。
自然に根差した自給自足の勇作との暮らしの中で、薄皮が一枚、また一枚とはがれるように、少しずつ心を再生させていく政美。
しかし勇作がひとりで配達に出ている最中、町が大きな揺れに襲われ、一人で留守番をしていた政美は震災の恐怖がよみがえり、姿を消してしまう…。