大阪北浜。大都会のド真ん中に、ちょっと訳ありの母娘が住んでいる。
母は認知症、娘は自宅マンションでギャラリーを営む。
昼夜の別なく徘徊する母と見守る娘の姿は、近所の誰もが知っている。
徘徊モードが一息つけば、母娘一緒に居酒屋やバーにも寄る。
そんな二人の生活は6年になる。
「老いには勝てぬで、徘徊もショートになってきましたが…」
不条理な生活をユーモアでしのぐ。
認知症を受け入れるとは…、老いとは…、人間とは…。
犬の散歩なら30分で終わる。
ジョギングなら疲れたらやめられる。
ところがどっこい徘徊は、時間も距離も予測不可能。
感情のジェットコースターにノッて突き進む。
6年間で歩いた距離は、なんと大阪・東京3往復分。
でも、認知症だって、一生に一回のママリンの老後。
今日もママリンは、風をあつめて街を歩く。