山田洋次監督「家族」映画の集大成
時にやさしく温かく、時に厳しくほろ苦く、家族を見つめ続けてきた山田洋次監督。
『家族』、『幸福の黄色いハンカチ』、『息子』、『学校』シリーズ、『おとうと』、そして『男はつらいよ』シリーズ---そこには時代によってうつりゆく日本の家族の様々な姿が刻みつけられています。
監督作81本目となる最新作『東京家族』は、日本映画史上最も重要な作品の一つで、2012年に世界の映画監督が選ぶ最も優れた映画第1位に選ばれた『東京物語』をモチーフにした、“今の家族”の物語です。
東京で再会した家族の触れ合いとすれ違い
これは、あなたの物語です。
<ストーリー>
2012年5月、瀬戸内海の小島で暮らす平山周吉と妻のとみこは、子どもたちに会うために東京へやってきた。
郊外で開業医を営む長男の幸一の家に、美容室を経営する長女の滋子、舞台美術の仕事をしている次男の昌次も集まり、家族は久しぶりに顔を合わせる。
最初は互いを思いやるが、のんびりした生活を送ってきた両親と、都会で生きる子どもたちとでは生活のリズムが違いすぎて、少しずつ溝ができていく。
そんななか、周吉は同郷の友人を訪ね、断っていた酒を飲み過ぎて周囲に迷惑をかけてしまう。 一方、とみこは将来が心配な昌次のアパートを訪ね、結婚を約束した紀子を紹介される。翌朝、とみこは上機嫌で幸一の家に戻って来るが、突然倒れてしまう─。
つれない子どもたちの態度に、仕方ないと思いながらも、淋しさを抱く父と母。
親を気にかけながらも仕事に追われる長男と長女、いくつになっても口うるさい父親につい反抗してしまう次男。
大切なのに煩わしい。誰よりも近いはずなのに、時々遠くに感じてしまう─。そんな、どの年代のどんな人が見ても、「そうそう、うちもそう」と思わず共感してしまう。
これは、あなたと、あなたの家族の物語です。
日本映画を支える実力派キャストが演じる、愛すべき人々
口数が少なく頑固だが一本筋の通った父・周吉を演じるのは、味わい深い演技で幅広い役柄に扮してきた橋爪功。おっとりしていて茶目っけのある母・とみこには、品の良さと親しみやすさをあわせ持つ吉行和子。
長男・幸一は西村雅彦、妻・文子には夏川結衣、長女・滋子に中島朋子、その夫・庫造は林家正蔵が扮しています。
次男・昌次には日本の若手俳優を代表する存在となった妻夫木聡、その恋人・紀子に『おとうと』に続く山田監督作品出演となる蒼井優。 さらに、小林稔侍、風吹ジュンら実力派キャストが顔を揃えました。
音楽は、初の山田組参加となる久石譲。優しく叙情的な旋律で、家族のエピソードを際立たせています。
慈しむように丁寧に映し出される、どこにでもある家族の風景。
切なく、希望に満ちたエンディングの後に込み上げるのは、「家族に会いたい」という想いです。
“今”を、生きる家族を通して、大きな共感の笑いと涙を届けます。