直木賞受賞のベストセラー小説を映画化
数々の名作を世に送り出してきた山田洋次が、監督作82本目にして全く新しい世界へと踏み出した。
ことの始まりは、山田監督が偶然手にした一冊のベストセラー小説。
2010年に第143回直木賞を受賞した、中島京子の『小さいおうち』だ。
読了後、「自分の手で映画化したい」と熱望した山田監督は、すぐに作者に思いのたけを込めた手紙を書いた。
50年を超える監督人生の中で“家族の絆”を描き続けてきた山田監督が、今作で初めて“家族の秘密”に迫る。家族の温かさを見つめてきたその目で、更に深く人間の心の奥底に分け入り、その隠された裏側までも描き出そうとする。そんな監督の情熱から生まれたかつてない意欲作が、ついに完成した。
<ストーリー>
昭和11年。田舎から出てきた純真な娘・タキ(黒木華)は、東京郊外に建つ少しモダンな、赤い三角屋根の小さなお家で、女中として働きはじめた。
そこには、若く美しい奥様・時子(松たか子)と旦那様・雅樹(片岡孝太郎)、そして可愛いお坊ちゃまが、穏やかに暮らしていた。
しかしある日、一人の青年・板倉(吉岡秀隆)が現れ、奥様の心があやしく傾いていく。
タキは、複雑な思いを胸に、その行方を見つめ続けるが――。
それから60数年後の現代。
晩年のタキ(倍賞千恵子)が大学ノートに綴った自叙伝には、“小さいおうち”で過ごした日々の記憶が記されていた。 遺されたノートを読んだ親類の健史(妻夫木聡)は、秘められ続けてきた思いもよらない真実に辿り着く。
<解説>
小さいおうちに封印された“秘密”が、60年の時を経て紐解かれる。
切なくもミステリアスな物語
昭和初期、東京郊外に佇む赤いやねの家に奉公する女中タキが見た、ある“恋愛事件”。
その時、タキが“封印した秘密”が、60年の時を経た平成の今、タキにつながる青年の手で紐解かれていく。
真相をつまびらかにするカギは、大学ノートに綴られたタキの自叙伝と、一通の宛名のない未開封の手紙にあった。
時代が許さなかった恋愛事件の主役である女主人・時子の思いがけない運命と、彼女を慕い続けたタキ。
それぞれが胸に秘めた切ない想いとは-?
小さく可愛らしいこの家で、いったい何が起きたのか?
昭和と平成を行き来しながら、台詞一つ視線一つで謎を仕掛けるミステリアスな展開から、一瞬たりとも眼がはなせない!