“明日も明後日も生きていてください…”
母への思いを託した葉書は13年間で5000枚にも及んだ
阪神淡路大震災から半年。
兵庫県西宮市を舞台に、難病の娘と、認知症とうつ病を併発する母に挟まれながらも度重なる試練を乗り越え勇敢に生き抜く女性を描く、実話に基づいた感動の物語。
「このままでいいんや、このまま幸せになるんや」
1995年春、兵庫県西宮。
脳性麻痺の娘・望美(5歳)を抱え、介護に勤しむ美幸(38歳)は、望美の世話をできるのは自分だけと、介護に、家事に、子育てに、家の中のことを全て背負っていた。次第に追い詰められていった美幸は、長年会っていない大分に住む母・喜子(65歳)に支援を頼む。
「そげな子は、自分で育てられるわきゃないき!こっちはこっちの生活があるんやけん!」
意を決し助けを求めた美幸に対し、母の言葉は残酷だった。
見えないストレスを抱えた美幸は、見た目は元気ながらも不眠と摂食障害に悩む“仮面うつ”を患ってしまう。
そんな疲れ切った毎日で、美幸は“望美がいなかったら幸せだった…”という自分無思慮な考えにハッとするが次の瞬間、同じ団地に住み、いつも母親のようにしてくれる大守(83歳)に言われた言葉が脳裏に浮かんだ。
「全ては自分やからね」
望美のせいじゃない。全ては自分次第だ。そう思った美幸はもう一度自分らしい生き方を取り戻すべく、夢だった児童文学者への道を目指し、小説を書きはじめる。
こうして美幸が前向きになり、暗闇から抜け出そうと決めた途端、新たな試練がやってきた。母が認知症とうつ病を併発してしまったのだ…・